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私が履修した放送大学のおすすめ科目(自然と環境コース以外)

 放送大学を卒業するに当たって、私が受講した科目のレビュー記事として、自然と環境コースの科目については以下の記事を書きました。

 この記事では、自然と環境コース以外で私が受講した科目の中から、特に受講してよかったと思う科目を抜粋してレビューします。


基盤科目

日本語アカデミックライティング(’22)Academic Writing in Japanese ('22)

 おすすめ度:★★★★☆
 卒業研究を履修する方は必ず履修するように指示される科目です。主任講師の滝浦先生が毎回異なる分野の先生をゲストに学術的な文章の書き方についてレクチャーするという授業です。
 滝浦先生は放送大学の名物先生とも言える先生のうちのお一人で、文章についての科目を他にも開講しています。私は日本語アカデミックライティングしか受講していませんが、他の科目もあわせて受講すると文章力が鍛えられるのではないでしょうか。
 ちなみに、前の記事で触れたTeXについて簡単に解説する回もあります。

英語で読む大統領演説(’20)Reading Presidential Speeches in English ('20)

 おすすめ度:★★★★★
 放送大学の履修科目案内図では、英語科目の中では一番難易度の高い科目に位置付けられています。したがって他の英語科目を履修して大学1年生レベルの英語力を身につけてから履修するようシラバスには書いてあります。
 内容は過去の米国大統領が歴史の節目節目に行った演説を、本物の映像または音声を聴きながら解説するというものです。印刷教材には演説の全文が掲載されていますので、文章を読みながらであれば容易に演説の内容についていけると思います。宮本先生の雄弁な語り口もあって、英語そのものだけでなく米国の歴史に臨場感を持って立ち会える科目です。
 特に印象的だったのは、キューバ危機に際してケネディ大統領が行った演説を取り上げた回です。歴史上最も核戦争の危機が迫っていた瞬間の緊迫した空気を痺れるほどに味わうことができます。
 単位認定試験は授業で扱った英文からの問題のほか、初見の英文読解もありますが、この授業で英語力をしっかり身につければさほど難しくないと思います。

生活と福祉コース

生活環境情報の表現-GIS入門(’20)Expression of Living Environment Information (Introduction to GIS)('20)

 おすすめ度:★★★★★★★★★★ 
 オンライン科目です。この記事で私が一番おすすめしたいのはこの科目です。特に私と同じ地方公務員の方は絶対に履修してほしいと思います。
 この授業ではGIS(地理空間情報システム)のうち無料で使えるソフトであるQGISの利用法を学びます。GISと聞いてもなんだかよくわからないかもしれませんが、要するにGoogle Mapのように地理空間情報を表現できるようにするものという理解でいいと思います。8回の授業を終える頃には自由自在にソフトを使いこなして地理空間情報を地図の上で表現できるようになるはずです。
 特に地方公務員の方は、どんな部署にいても常日頃から色々な地理空間情報を扱っています。お金のある自治体は全庁的にGISを導入しているところもありますが、私のようにそうでない自治体にお勤めの方でも、QGISは無料のソフトなので手弁当で何でもできるようになります。GISが使えるというだけで、公務員としてできる仕事の幅が格段に広がることは間違いありません。
 最終レポートはQGISを使って地図を作ればあとは何を論じてもいいというものです。私は図書館の古い本に載っていた旧街道の道筋を現代の地図にジオリファレンスを使って重ねて、その地図をもとに現地でフィールドワークを行い旧街道の道筋がどれだけ残っているか調べるというずいぶん手の込んだレポートを書いたところ、それなりに高い評価を頂くことができました。

社会と産業コース

雇用社会と法(’21)Basics of Labor Law ('21)

 おすすめ度:★★★★★
 社会に出て働くすべての人が受講すべき科目ではないでしょうか。
 労働法の基礎について、ワークライフバランスやハラスメント防止など現代的な問題に絡めて解説していただけます。労働法は公務員試験を受験するときに一通り学びはしましたが、当時はあまり面白い科目だとは思っていませんでした。この科目を受講してから、いわゆる「働き方改革」は働かせる側というよりも、むしろ働く側がきちんと労働法の知識と労働者としての自覚を持って主張すべきことは主張していかないと実現しないと考えるようになりました。
 特に後半に出てくる非正規雇用と正規雇用の格差の問題は公務員の現場で働く私にとっても耳の痛い話題です。私は正規雇用ですので労働組合にも加入しており、何かあれば組合に守ってもらうこともできます(たぶん)が、非正規雇用の方は労働組合に加入しない慣行(あくまで慣行ですが)なので意見を言う場もなく、賃金も低く休暇制度などの待遇も悪く、さりとて市民の方からは同じ「公務員」として扱われる、とても気の毒な立場に置かれています。この問題を解決するためにはどうすればいいのか、私にはすぐに答えは出せませんが、雇う側・雇われる側問わず働くすべての人が労働法の知識を持ち、現状が本当に正しいのか考え続けることがまずは必要だと思います。

行政法(’22)Administrative Law ('22)

 おすすめ度:★★★★☆
 行政法は公務員なら知っていて当たり前…と思われるかもしれません。確かに公務員試験の時は一通り行政法を学んではいますが、地方公務員、特に基礎自治体の職員として働いていると、許認可など行政法の知識が必要とされる業務を担当する場面は実はそれほど多くありません。
 この科目では、各回の最初に行政法に関する具体的なニュースが取り上げられ、事例に基づき行政法の基本原則について学ぶというスタンスになっているので、忘れかけていた行政法の知識を思い起こすことができました。もちろん公務員以外の方も、行政法に係わる当事者になることは稀にせよ色々な場面で行政法にまつわるニュースを耳にすることなど多くあると思いますので、世の中の出来事を正確に理解するために、学んでおいて損は無い科目だと思います。
 ちなみに、せっかくこの科目を学んで行政法の知識を再確認したので実務の中で活かしたいと考え、人事異動の意向調査では法務担当への異動希望を書いて提出してみたのですが、今のところその希望は叶えられていません。

情報コース

表計算プログラミングの基礎(’21)Introduction to VBA Programming for Productivity ('21)

 おすすめ度:★★★★★★★
 ExcelのVBA、いわゆるマクロを扱うオンライン科目です。事務系の職業の方なら一度はExcelでマクロを扱えるようになりたいと思っては挫折した経験をお持ちなんじゃないでしょうか。私もそうでした。
 この科目ではExcel VBAについてかなり初歩的なところから学ぶことができ、私も簡単なことなら自分自身でマクロを組めるようになり、実務においてもばんばん活用しています。事務職の方は履修して損はありません。
 最終レポートは講義の内容のとおりにマクロを組めば合格はできますが、自分自身で工夫して講義の内容に無い機能を組み込むと高得点を狙えるという感じのものです。私はそこまでの余裕がなかったので最低限の合格点しかもらえませんでしたが…。

おわりに

 というわけで、私がこれまで履修してきた放送大学の科目の中から、学んでよかった思う科目をいくつかピックアップして私の主観全開でレビューしてみました。放送大学で学ぶ皆さんの履修科目選びの参考になれば幸いです。
 以前の記事でも書きましたが、私は4月から放送大学大学院に入学して修士号を目指して学び続けるほか、学部も情報コースに再入学して好きな科目を気楽に履修し続けようと思っています。これからも放送大学に関する情報発信をしていこうと思いますので、引き続きお読みいただければ幸いです。それでは。

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