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憧れのアーティストに会えた話 〜LUNA SEA編⑤〜

経験もなければ、そんなポジションは想像もしていなかったバンドスタッフという立場。
迷って当然、平凡な日常に突如あらわれた運命の分かれ道。
しかしなぜか、やろうと決心していた。

こんなチャンス二度とないだろうし、ましてやあのSUGIZOさんに会えるかもしれないという邪な思いが後押しした。

しかしこれには当のREDЯUM側も困惑していた。
それもそうだ、突然スタジオで握手を求められた見知らぬSUGIZOファンのやつが、自分たちのライブも観たことないだろうに、いきなりスタッフをやりたいって??
ましてや後になってわかるが、REDЯUM自体、やっと少しづつ動員が増えてきたばかりの時である。

話は逸れるが、SUGIZOさんは、動員はまだ少なくとも、まだ世に認知されていないだけで、純粋にバンドの実力、音の個性や音楽性、可能性やポテンシャルの高さを買ってREDЯUMを見出していたのである。

事実、SUGIZOさんの名はきっかけであり、バンドの実力でその後動員を増やしていく様を俺は見ることになる。

話を戻そう

ローディーをやりたいという申し出に対し、REDЯUMのリーダーであるKAZIさんが優しい口調で言う

「とりあえず1回ライブ見においでよ。」
「〜日にまたここでリハあるから来てみる?」

どこの誰ともわからない小僧に対し、なんて優しく配慮あるお言葉でしょう。
そうしてまずは次のリハにお邪魔させてもらうことにした。
もちろんその夜は仲間のKANZに興奮して話したのは言うまでもない。

迎えたスタジオリハ当日
それまでに、あらためてローディーをやる決心をしていた。

他のバンドのリハーサルを見るのも初めてだし、REDЯUMの曲もまだ全然知らない状態。なにをすればいいのかもわからず、とりあえずは何もしなくていいよと言ってくれたが、率先して楽器を運び、自分はギタリストということで、ギターのTSUYOSHIさんのセッティングを簡単に手伝い、その後はスタジオの端で座ってリハを見学させていただいた。

生で聴く初REDЯUM。

はっきりいって、感動という簡単な言葉で表せない経験をした。
XやLUNA SEAなど、所謂ヴィジュアル系と呼ばれるような音楽しか知らなかった俺には、あまりにも違う世界の音楽、しかし、心から素晴らしいと思える楽曲、プレイ、音の迫力に心が震え、あらためてREDЯUMというバンドの凄さを目の当たりにした。

アンテナの高いSUGIZOさんの琴線にひっかかるわけだ。

リハが終わり、どんな会話だったかは思い出せないが、リーダーKAZIさんからの問いかけに、もう一度あらためて「やらせてください」と即答したと思う。

そして、次のリハの時だったか覚えていないのだが、結果的にうちのベーシストKANZと、同じくうちのメンバーでドラムをやっている伸ちゃんを巻き込み、3人でREDЯUMのローディーをやることになった。

数日後、渋谷屋根裏というライブハウスでREDЯUMのライブがあった。
スタッフとして初めての実戦。

やることは会場入りの手伝い、荷物運び、リハーサル、本番のセッティングの手伝い、そんなところだ。

リハーサルを終えた頃、KAZIさんが俺に言う。

「今日、SUGIZOさん観にくるって」

つづく


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