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鍋焼きうどん

オーストラリアで久しぶりにうどんを食べた。なかなか出汁の効いたうどんは食べられないのだが、昨日買った冷凍おでんの汁が余ったので、そこに冷凍うどんを買ってきて入れて食べたら、思いの外美味しかった。

うどんを食べながら思い出したのは、丹沢の鍋割山の鍋焼きうどん。今回は初めて鍋割山へ行った時のお話。

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鍋焼きうどんが食べたい!と鍋割山に登ることにした。うどんが売り切れる前には頂上に着くようにと集合時間を決めた。念入りに下調べもして、鍋割小屋のうどん注文時のルールも頭に入れた。

だが、鍋焼きうどんをどうしても食べたいと言った私が、寝坊してしまった。結局予定よりも30分程遅れて大倉バス停から登山を開始した。

とにかく鍋焼きうどんが売り切れてしまっては大変だと、急ぎ足で登った。どんどん他の登山者を追い抜く。『若者は元気だね』と声を掛けられ、『頑張ってください』と返答しつつも、私の寝坊のせいで仕方なく急いでいるだけなのですと心の中で呟く。ずっと登りが続くので、どんどん足に乳酸が溜まるような感覚がある。それでも、売り切れる!急がねば!と足を止めなかった。結局2時間程で鍋割山の山頂に到着した。

11時半前に鍋割小屋に到着した時には受付が一時中断されており、少し焦ったが、タイミング良くそのあとすぐに受付が再開され、小屋到着から待ち時間10分程度で鍋焼きうどんが手元に来た。

受け取りの際には、小屋の中に人が溢れており、『受け付け待ちは外で!』と小屋のオヤジさんに怒られていた。下調べ通りの現場が目撃出来て、怒られている方々には申し訳ないが、少し嬉しくなる。

待ちに待った鍋焼きうどんは、まだ少し雪も残る4月の鍋割山の山頂で食べるには持ってこいの熱々で具沢山で急いで登ってきて疲れた身体に染み渡る美味しさだった。

下山開始する頃には小屋の前に30組以上が並ぶという人気ぶりだった。

お昼寝までして1時間強山頂でのんびりして下山開始した時にもまだ列は伸びており、つまりはまだ売り切れておらず、結論、そこまで急ぐ必要は無かったことが証明されてしまった。が、長く並ばずに済んだということで急いだ甲斐があったと、自分たちに言い聞かせた。

帰りは敢えてのんびりと下山した。

鍋焼きうどんは、この爆速登山とセットの思い出だ。


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