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走法理論の基礎 2024

4章立ての構成になります。
noteページ内には初版の文を残していきますが、文面の校正やアップデートが入る場合はPDFで更新をしていきます。ご購入いただいた場合は購入後のページの1番下にファイルを添付しておきますので、そちらからPDFをダウンロードしてお楽しみください。

1.なぜ走法理論なのか

 血統、追切、過去映像。レース展開に、脚質・隊列読み。競馬にはいろんなアプローチがある。『絶対はない』と言われる世界で確率を上げようと思ったら使えるものは使うべきだろう。しかしながら、”馬がレースを走る”という本質に目を向けないのはなぜか。名馬と呼ばれる馬の走る姿は皆美しい。しかし、全くとして同じにはならない。ここにこそ、最大のヒントがあるのではないか。そういった思いから走法に目を向けることにした。
 最初は全然ハマらない。走法なんて注意して見ても、適性を見抜くまでには至らない。繰り返し、繰り返しの泥臭い作業の中で感覚を養いながら目を鍛えていくと、徐々にわかり始めた。
 重馬場も2歳戦も、クラシックも格段に精度が増していく・・・。なるほど、アプローチは間違っていなかった!脚の使い方を見れば馬場適性がわかりやすいし、クビの使い方や身体との連動性を見ていけば距離が持つかどうかも予想が立てやすい。「トビが大きいからあの馬は小回りは合わないよ」なんて上っ面の走法を取り上げられ嫌われている馬も、本質を見抜けば美味しいオッズで買えることもある。何より、馬の動きを見てあれこれ考えるのが楽しい。追切派も馬体派も血統派も、それぞれのファクターに上乗せして+αの根拠が得られるはず。
 かといって、この泥臭い作業を一人一人がこなしていくのは至難の業で、教材がなければ今後の発展も見込めないし、走法を見る”目”は多いに越したことはないはず。この記事を読んだ方が少しでも走法に興味を持ち、多くの議論ができるような下地が整えば、発展していく分野であると思っている。そんな思いで執筆に至った。 

走法理論の基礎(2021)より

今回の改訂版執筆に際し、当初の思いを今一度確認してみる。私の記事の影響によるものとは思わないが、2024年現在ではXなどを見ていても当時よりも走法にフォーカスしたポストがやや増加しているように思える。(少なからず市民権を得てきた状況なのかは分からないが…)

さて、前回の"走法理論の基礎"のリリースから2年と2ヶ月ほどが経過したが、その間私は相変わらず走法の分析を推し進めてきた。各馬の走法を官能評価する"走法採点手法"を取り入れ、データをためながら目を鍛え、様々な知見を蓄積するのに時間を費やしてきた。一般化できるもの、特定の馬のみに当てはまるもの、儲かるパターン、儲からないパターン等…。ある意味馬券的な興味を置き去りにして、好奇心の赴くままにやってきた気がする。
 今回改めて、過去記事をブラッシュアップしながら、新しい知見も取り入れつつ、修正すべきところは修正を行い、2024年版としてリリースさせていただく。リリースに際して、以下のことを読者の皆様とお約束できないことを宣言しておく。

  • これを読んだことにより回収率が上がる。

  • 競馬の本質がわかる。

  • 走法理論を手の内化し、自分で自由自在に使いこなせる。

今回触れる内容については、基本的には2021年版の"走法理論の基礎"を踏襲してアップデートをおこなったものになるが、真偽・正確性に関しては筆者の独自集計である走法採点の数値によってのみの検証となる。要するに、"元となるデータが個人が目視により集計した官能評価値である。"という、客観的にみると信憑性が著しく低いコンテンツであることを自覚している。ゆえに、万人に対して"正しい理論だから回収率に結び付く!競馬がうまくなるよ!"とは大声で言えるようなものではない。したがって、本記事は"競馬を題材とした読み物・コラムの一種"であるという体で進めていく。①②には直結しない。  
 また、2021年版もかなりの発行部数となったのだが、これによってガチの走法理論屋が増加したという報告はなされていない。読んで「面白いなー」とは思っていただけた人たちの中でも、、「でもよくわからん」が正直な感想だと思われる。その点においての改善は特にアイデアが無い。そのため、今回の2024年版においても③は約束できない。

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