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崖っぷちの読書感想

暑い毎日ですね。
夏バテと熱中症には注意ですね。

最近読んだ本の感想です。


最近読んだ本

殺人鬼フジコの衝動/真梨幸子

コチラは実家にまだいた時にオカンが何故かDVDを借りてみていたので、横目であらすじを追う程度に見ていましたが、内容がなかなかエゲツなくて
「なんだこれわ‥しかし、なかなか私好みの話だぜ‥!」
と思ってたら、原作を見つけたので読んでみました。
主人公の藤子はもう可哀想の極み、運に見放された人生を歩んでゆくのですが、
まず、冒頭は親ガチャで大ハズレを引いて、ネグレクトな家庭からスタート。
同級生からも虐められるわで最底辺もいい所。

ある日両親と妹が惨殺されて一旦不幸に終止符が打たれたかと思いきや、高校生になってからはだメンズ君に引っ掛かって、子どもができるわでまた転落。
藤子は事あるごとに人を殺していくのですが、最後に結婚した男を殺した事で逮捕。
伝説の殺人鬼として語り継がれます。

小説の構成に工夫がされていて、
誰かの手記を読んでいる始まり方なのですが、あとがきに「マジかよ‥」なネタバレがあって、かなりセンセーショナル。
一見、サイコパスな殺人鬼の話かと思いきや、実はあちこちに伏線があるミステリー。
親ガチャ、虐待、だめんず、高校中退出産、売春、整形、信仰宗教、イジメ‥と要素盛り沢山。

藤子が一番なりたくなかった、母親とほぼ同じような母親になる様は、なんていうか救いが無くて私的にはすごーく好みな展開でした!
面白くて1日掛からずに読破した位です。

映像作品は尾野真千子主演。
そちらの方が映像だけにグロさがマシマシだと思います。
尾野真千子が血塗れになって、給食費の諭吉を渡すシーンは圧巻。
整形前の女優さんも芋っぽくていい味出てます。

続編があります。

グロ:★★★★
胸糞:★★★★
ミステリー:★★★★★


私はフジコ/真梨幸子

コチラは上記の「フジコシリーズ」の続編というよりスピンオフ?的な作品のようです。
喫茶店で置いてあるのをみた事があるのですが、薄い冊子でどうやら非売品のようですが、Kindleで110円で購入して読む事ができます。
110円なのでちょい長めの短編1作分位のボリュームですが、やっぱり面白かった。

フジコの後日談。
主人公は再現VTR女優の女性。
世間を騒がせた殺人鬼フジコの再現VTRのオーディションに合格してフジコを演じるという話。

フジコとは直接関わらない話ですが、続編に繋がる話らしいです。
「殺人鬼フジコ」が1話だとして、「インタビュー」が2話だとしたら、1.5話に当たる話。
私は今感想を書いてる時点で「インタビュー」の方を読んでないのでまだなんとも分からないのですが‥。

主人公が飲みに行くバーがもしかしたら、藤子が働いていた喫茶店だったのかなーと思ってしまった。
しかしまあ、またラストが救いようがないですな‥。

話は短いけど、主人公の暗い過去や女の嫉妬とか煮詰まってて、
普通に短編として面白かったです。

ボリューム:★
女の嫌な部分:★★★★
救いのなさ:★★★


断崖/松本清張


「濁った陽」「断崖」「よごれた虹」「粗い網版」の4作品が収録された短編集。

冒頭の「濁った陽」はお食事券‥ではなく汚職事件を題材にした作品です。
(つまらないギャグをすみません、言いたかったの〜)
コチラは松本清張っぽい、推理モノです。
放送作家と舎弟のアラサー女子の2人が事件を解決する話。
事件解決後のアラサー助手ちゃんのセリフがこの話を大団円で終わらせない感じ。
一気に後味を悪くしてるけど、作り話とはいえ、人が死んでるもんなあ‥。
冒頭にもってこいな勢いのあるストーリーでした。

「断崖」はなんと感想を書いていいのかよく分からないけど、薄暗い話でした。
北海道の東尋坊みたいな所の管理センターのおじいさんとそこに深夜にやってきた若い女性の話。
ほっこりしない、後味の悪い話ですが、私は結構好きですね、この話。

「よごれた虹」は、うーーん‥ノンフィクションなのかな?
とある地方銀行の社内争いから始まる、戦後の不審なお金の流れの話。
途中退屈でしたが、最後のオチがなかなか良い。

「粗い網版」は新興宗教団体vs警察。
個人的にカルト宗教を暴いていくストーリーは好みなのでサクサクと読めました。
戦前の話なので「不敬罪」とか出てくるのでイマイチピンと来ないかもしない。

どの話も非常に骨太で読み応えがありました。

読み応え:★★★★
後味の悪さ:★★★
昭和の香り:★★★★★

オウム真理教秘録/NHKスペシャル取材班

私は平成生まれなので、オウムについては「知らない世代」でもないけど「詳しくは知らない世代」くらいな感じ。
物心ついた時に麻原彰晃が逮捕されたニュースがやってたなぁ‥という具合。
修行の風景や白一色の服装が異様で不気味な集団だと幼心に思ってました。
お兄ちゃんお姉さんのいる子は
「ショーコーショーコー」
の歌を知っている(笑)
歌うと周りの大人にクッソ怒られる‥。

平成初期は結構変な事件が多かったよね。
そんな、知らない世代にも分かるように巻末にはオウム真理教の年表も付いてるし、まあ、親切っちゃあ親切。

コチラはドキュメンタリー番組を作るに当たって取材した内容を後日談含めて、書籍化したモノらしい。
このドキュメンタリー番組、見たかったなあ。

内容は元信者、幹部、元警察関係者、サティアンがあった村の元村長‥etcをインタビューしたルポっぽい内容。
所々に写真もある。
私は、この集団について知識が少ない方なので
「へええ」な内容が多かったけど、ちょっと確信には欠ける内容かな‥と。
肝心のショーコーがもう亡くなってますし、生前もダンマリ決めてたので仕方ないっちゃ仕方ないんでしょう。

主に前半部分は「地下鉄サリン事件」を防げなかった警察への追及と
警察関係者の当時の様子をインタビューしています。
警察も前例がない、新興宗教団体という事でなかなか動けなかった事や、当時の法律や組織の網目を潜ったようなオウムのやり方は、なんというか現実味が無いドラマみたいです。
サティアンがあった村はホント気の毒としか‥。

後半は元幹部や麻原彰晃に近い人へのインタビューになっていますが、麻原彰晃が黙秘した事で実態はイマイチ謎なんですよね。
モヤが掛かったよう。スッキリしない感じ。

しかし、オウム真理教といえば、インテリ系の人が何故か入信していた事で有名なんですが、組織図がまるで特撮ヒーロー物の悪の組織そのモノみたいなんですよね。
教祖(悪の総帥)がいて、幹部(インテリ)、マッドサイエンティスト、構成員‥
仮面ライダーかよ⁈
ただね、正義の戦士は心許ない。当時の警察。

コレ、実在してたとか、普通に凄くないですか⁈

そもそも、スタートは個人経営のヨガ教室なのよねぇ‥。
年表を見ると、スタートからサリン事件までがほんの10年くらいの出来事なのでその拡大のスピードに驚く。

サリンの製造に関わった女性のインタビューで
「責任感の無い、自信の無い人の集まりで、自分で考えることを放棄した人達の集まりだったから、逆にここまでの事件を起こせた」
的な話がありましたが、オウム真理教ってなんか色々偶然が重なって負の連鎖が化学反応を起こして拡大した集団なんだ思いました。
バブル時代〜崩壊という時代背景もあっただろうし。

家族が出家して、犯罪者になってしまった関係者の方はただただやり切れない思い。
もう、辛すぎる。

そして、最後はサリン事件の遺族と被害者の家族へのインタビュー。
罪の無い人達の人生を奪うのがいかに罪深いか‥。
やっぱり一番救われなきゃいけないのは被害者と遺族や家族の方です。
まだ事件は終わってない‥。

新興宗教の問題って最近某団体が二世問題があります。
宗教は救いになれば良いけど、オウムのような集団は絶対に生み出してはいけない。
若い世代は知らないと思うので、教訓として読んでおくべきかなと。

でも、やっぱり答えは欲しかったかな〜。残念。

歴史は繰り返してはいけない!

真相:★★
ハウトゥー本:★★★
教訓:★★★★

あなたの性格は変えられる/心屋仁之助

図書館で見つけたので借りてみました。
この方はネットで色々炎上してたり、良い評判を聞かないのですが、その辺は抜きに純粋に本の内容だけで感想を書いていきます。
気になる方はググってみてね。
しかし、iPhoneの変換で一発で出てくるとは‥。
私はテレビを見ないのであんまりよく知らないのです。

さて、コチラは心理カウンセラー系のポケットサイズでかなり読みやすい本です。
内容も少ない、エッセンス本。

「人間関係に疲れたあなたに」系。

「ダメな自分を認めて、それでもいいじゃん」
「悪い事はあなたの思い込み、周りは意外と興味無い」
のような内容です。

今でこそアドラー心理学が有名ですが、恐らくそれより前からこの方はそのスタンスでやっててウケてたのでしょう。
個人的には心理学知識抜きで分かりやすくて良い内容だと思いました。
専門用語が皆無ですごくハードルが低い。

自分のダメな所を知る→認める→自身を持つ

今でこそ、もう出涸らしになってしまった感じですが、普段本を読まない方でも読みやすい内容なので、人間関係にちょっとしたモヤモヤを感じてる方は手に取ると良いかも。

手軽さ:★★★★★
心の疲れに:★★★★
新鮮さ:★★


インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実/真梨幸子

フジコシリーズ3作目。
1作目の伏線を回収して、2作目の「わたしは」の登場人物のその後。
2作目については上記では「スピンオフ」と書きましたが、読んでからコチラを読む事をおすすめします。

今回はフジコの両親と妹が殺された事件の真相が明らかになる他、どうも終始怪しい叔母の茂子の素性も明らかになります。

舞台は藤子が死刑になってからの話。
藤子の従兄弟で茂子の息子の健太が殺人鬼として逮捕されるも、無罪になった所からスタート。

茂子が何故か主人公の勤める会社の雑誌に独占インタビューを受ける事を承諾した所から始まる。

受け継がれる殺人鬼のDNA

1作目ではほぼエアーだった、従兄弟の健太がそりゃもう不気味でサイコパスな描かれ方をします。
多分、1作目よりもグロテスクで不気味。

以前、九州で監禁された男女がお互いを殺し合う事件が実際にありましたが、それがモチーフ。
読んでると苦手な方は気分が悪くなる事間違いなしです。
しかし、事実は小説よりも奇なり。
実際の事件の方が凄惨なんだろうな。

最後の50ページくらいで大どんでん返しがありますが、なんとなく、登場人物の素性は読者は1作目で目星が付いてると思うので「やっぱりな」くらいだったかも。

殺人鬼の遺伝子は脈々と受け継がれるのだなと。

グロ:★★★★
伏線回収:★★★★★
どんでん返し:★★★★


夏は涼しい部屋で読書に限るぜぇ!

ではまた。

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