夏 1日目②

 蕎麦打ちを終えた後は夕食となりました。

 ①でも触れた通り、蕎麦打ちを終えても僕のお腹は満たされていませんでした。さらに夕食は肉と焼きそばのビュッフェスタイル。僕は暴食せずにはいられませんでした。

 主食である焼きそばに豚肉と牛肉を覆いかぶせるように乗せました。野菜は焼いたイモを2枚程度とっただけです。

 まさに、常日頃から「飯は結局茶色い方が美味しい」という僕の信念を表すような皿でした。同じく蕎麦打ちに行った馬場も「蕎麦が足りなかった」と皿にドカ盛りをしていました。

 皿に僅かな野菜のみをおいている佐藤に驚きながら食事を始め、僕は牛肉を口の中に含みました。

 牛肉を1枚食べた程度ではお腹に違和感は感じなかったのですが、豚肉を噛み始めると腹の中に満腹感が現れ始めました。しかし、僕は肉を合計10枚程取っています、残すわけにはいきません。

 肉を食べてばかりだから満腹感が現れ始めたのだと思い、焼きそばを口に入れるともうこれの味が濃いこと、僕は腹から喉まで塞がったような気分になってしまいました。

 箸を止めて周りを見ると、周りも同じように想像以上の味の濃さ、見た目以上の量の多さに苦しめられていました。

 しかし、僕と違って周りの人たちはまだ少しずつ箸が進んでいます、僕はこの時ほとんど箸が動かなくなっています。周りの人たちの頑張りに元気づけられ、焼きそばの完食を目指すことにしました。

 一口食べれば一口水を飲む、そんなことを繰り返しながら焼きそばを食べていきましたが、僕が焼きそばに注力している間に他の人たちは苦しみながらもどんどん目の前の皿を平らげていきます。

 野菜が嫌いで毎日昼休みがなかった幼稚園の頃を思い出しました、あの頃は同じ幼稚園にいる兄が見に来てくれたので野菜を食べることができていました。でも今回兄はいません。

 全く肉を食べる気になれません、周りは食事を終えています。残す人特有の、仕分けして遠ざける行為をしてしまいました。小学生以来です。

 先ほど僅かな野菜のみを食べていた人が僕の牛肉を食べてくれたりもしましたが、豚肉はいまだに皿の上にあります。後少しで食事時間が終わります。

 そこからは本当に惨めな時間でした、まさか自分でもこの歳になってビュッフェで残すことになるとは思いませんでした。周りの人たちが僕に「おかわり」の概念を教えてくれました。あの時の僕には尊厳がありませんでした。

 さらに、僕には課題を終わらせなければいけないというミッションもあります。その後の肝試しには参加したのですが、部屋に戻ってからは楽しそうな周りに反して1人淡々と課題をしていました。

 なんとか終わる目処がつく部分まで課題を進めてからは、高柳や新井と話していました。あの2人の関係は非常に不思議で本人たちは「お互いがお互いを見下している」と言っていました。夫婦関係の対極にあるような関係性ですが彼らは意外に仲が良いので、こういった人間関係のあり方もあるのだなと勉強になってしまいました。なんでだよ。

 そんなこんなで3時ごろに解散、前日3時間ほどしか寝ていなかったこともあり、すぐに眠りにつきました。


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