見出し画像

「なぜ、ムダな機能が生まれるのか?」価値ある機能を作るための”顧客の痛み”を理解するワークショップ

はじめまして、ログラスでエンジニアをしている大島です。
2019年にサイバーエージェントに新卒入社し、AI事業本部でエンジニアとして働いていました。前職では、広告配信プロダクトなどを作っていましたが、その過程で顧客課題(以下、ペイン)を解決するプロダクトを作りたいという思いが強くなり、大学時代から友人であったCEOの布川の誘いを受けて2020年11月にログラスにジョインしました。

「せっかく作ったのに、全然使ってくれねぇ...」

工数をかけて開発してみたものの顧客に使ってもらえなかった、そんな経験をしたことはないでしょうか?作るべきものが作るべき順で開発していくのはとても難しいと私は思っています
私は前職の株式会社サイバーエージェントでは、エンジニア兼スクラムマスターという働き方をしていました。エンジニアやスクラムマスターをやる中で、タスクの優先順位や次にどんな開発をしていくのか?を決断するのに、何を基準にして決定すればいいのか?がわからずに悩んでいました。
優先順位や開発するものを考えるのをROIの最大化に責任を持つプロダクトオーナー(以下、PO)に任せがちでした。しかし、これを開発したら売れる!なんてこと誰もわからないのです。誰かに任せずにチームで考えたほうがいいんだけど、どうやってチームで考えればいいんでしょうか?

ログラスでは、この課題に対して、顧客目線ワークショップ(以下、WS)というのを実施しています。大まかに言ってしまうと、顧客が行っている業務と同じことをやってみるWSです。今回は、顧客が欲しがるものを作るために、ログラスで行っているWSについて、ペインの大切さから実際のWSのTipsなどについて書いていこうと思います。

画像2

なぜペインが大切なのか?

前職の事業分野は広告だったので、ペインをあまり意識せずに、どうやったら売上が上がるのか?の売上至上主義的な考え方をしていました。
売上はとても重要であるという前提で、自分が作りたいプロダクトは顧客が熱狂できて、ずっと使いたいと言ってくれるものを作りたいと思うようになりました。もっと自分で顧客と話しながら、ペインを反映させた開発がしたい。それを実現するためにペインを理解した共感開発ができるようにペインの大切さを文化にするところから始めています。

ペインを捉えた共感開発が、顧客が熱狂するプロダクト開発へつながる。

アジャイルでも顧客中心が言われていたり、Amazonも顧客第一主義を掲げたりと顧客やユーザー中心という言葉はよく聞くようになりました。
ユーザー中心や顧客中心とはどうやって実現されるのでしょうか?「なぜそれを作るのか」を突き詰めるところからはじまると思っています。
「それを作るとユーザーが喜ぶのか?」
「その機能はユーザーのペインを解決できるのか?」
これらを突き詰めた開発をしていきたい。

ペインだけでも売上だけでもだめ。二兎追って、二兎を得る思考。

売り上げることの重要性は前職でめちゃくちゃ体感しました。しかし、売上だけではなく、顧客が欲しがるものを作るというところにより重心をおいて開発することが自分にとってより楽しいことであると感じてます。
スクラムの原点となる論文を書いた野中先生も共感経営とよくおっしゃっていますが、共感開発という言葉が自分にはしっくり来ています。
ログラスには代表が経営企画をやっていたりとペインを理解している人間が最初からいます。だからこそ、スタートアップながら多くの企業様に導入していただけていると思います。しかし、代表だけに頼っていてはプロダクトがスケールしないので、チーム全体が顧客の一番の良き共感者となり、プロダクト開発を進められるチームとなることが重要だと思っています。
売上もペインの解決も両方解決する。共感開発はそれが実現できると思っています。

ペインから考える文化をどうやって作るか?

共感開発がいいと理解できたところで、何から始めようかなとなりました。
そこで出てきたのがWSです。ペインに共感するには同じペインを味わうしかないということです。このWSがチームに顧客志向文化を生み出すのに、非常に大きな役割を果たしてくれました。

WSを作ろうと思ったのも、自分のペインから

WSをやろうとなった起源は、私がログラスに入社を決めた時までさかのぼります。私が転職をするときに、大事にしたものがビジョンやペインに共感できるかどうかです。なので、面接の際にはどんなペインを解決しているのか?なぜ面接官の方はその企業で働いているのかを聞くようにしていました。しかし、実際にどんなペインがあるのかというのを、自分が詳しくない分野で共感するのは非常に難しいことでした。ドメイン知識がないと「へぇ〜」としかならないのです。そんな中で、ログラスではCSがペインを体験するWSをやってくれて、「これは解決しがいのあるペインじゃん!解決してぇ!」となった衝撃を覚えています。この体験で、WSの威力を実感し、開発フローに活用できると確信してCSと私で企画し始めたのが始まりです。

共感するには、相手を理解することが何よりも重要

そもそもペインがどこから来るかと言うと、顧客と決まってます。自分がペインに共感しづらいというペインがあったから共感できるようになるWSがいいなと思えたわけです。共感開発をするには、ペインの持ち主と同じペインを感じることがスタート地点です。
顧客と同じ業務や自分たちが作ったプロダクトを使ってみることで
・自分たちがどんな価値を提供しているのか
・プロダクトの至らない点
・こんな機能が必要?
といったことを考えるきっかけを与えることができます。
参加者から「これは確かにしんどいわぁ〜」みたいな声が出てきたらガッツポーズしちゃいます。

スクリーンショット 2021-02-09 14.21.41

入社直後にWSに参加したメンバーからもこんな感じの声が聞こえてきていて、とても効果を感じています。

WSの企画開催のTips

WSを行う際に気をつけないといけないポイントがあります。それは、「どのペインについて共感してもらうか?」をしっかりと考え抜くことです。
単にWSをしただけだとざっくりとした感想しか出てきません。そのため、参加者どの点にフォーカスすればいいのかを企画者がしっかりと考え抜くことがとても重要です。共感して欲しいポイントを決めたら、そのポイントを感じてもらうことに集中してWSを設計します。
ポイントをまとめると

・共感して欲しいペインを1~2個にしぼり、WSのテーマをフォーカスする
・どこでどんなふうに詰まってほしいかを考える
・どのポイントでどんな会話が行われてほしいのかまで考える
・WSの振り返り(KPT, F/D/L etc)でどんな振り返りが出てくるかを想定する
・WSのリハーサルをする

といったものが重要になります。
ぜひポイントを意識して、WSを作ってみてください。

ペインを中心に据えたプロダクトチームの何がいいのか?

ログラスではスクラムを使って開発をしているのですが、スクラムの難しいポイントはタスクの優先順位です。POだけに頼ってしまうと、優先順位の整理にやたら時間がかかってしまったり、POと議論ができないチームになってしまったりします。チーム全体で「顧客が欲しがっているもの」を知っていれば、POと高次元の議論をすることができます。
ペインを中心に据えることで、プロダクト戦略と開発戦略、営業戦略などが自然に同期されはじめているのを感じています。

CS起因の開発の優先順位をしっかりと上げる

私達は、ものを売ることにフォーカスしがちです。しかし、新しいお客様に買ってもらうのと同じくらい、買ってくれたお客様の満足度を上げることも大切です。スタートアップはスピードが命ですから、どちらかというと新機能開発や新しいお客様獲得に集中した開発を行いたくなります。そこにフォーカスしすぎてしまうと、それまで買ってくれた顧客がやりたいことができずにチャーン(解約)するリスクが高まります。新規顧客開拓とカスタマーサクセスのバランスを取る際にも、ペインからくる顧客志向が役に立っているなと思います。
ログラスでも、CSから上がってくるタスクがいまいち開発と連携できずにオペレーションでカバーすることが起きていました。しかし、WSなどをきっかけに、CSとエンジニアのタッチポイントが増えて、結果的にCSからくる開発タスクが適切に処理されるようになりました。
今では、顧客ごとの担当エンジニアがつけられ、MTGなどに同席し、それぞれの顧客の抱える課題をしっかりと吸い上げる仕組みを作ることに着手しています。

ペイン中心文化の目安

文化を作り出すには、文化ができてきたのかの計測を行わなければなりません。これが出てくれば、文化が作られてきているなと自分が意識しているポイントを上げてみました。

・「この機能って必要ですよね?」という優先順位や機能の要件に関する発言がエンジニアから出てきている
・(あれば)顧客のいるslackチャンネルにエンジニアも参加している
・顧客とのMTGにエンジニアが同席する仕組みや文化ができている
・顧客目線WSでの学びをPBIへ反映できている

これらのポイントが抑えられていれば、ペインを中心に据えたチームになっているかを計測することができると思います。
これはチームごとに評価ポイントがあると思うので、参考になればと思います。
もちろん、ペイン中心のチームが最上であるとは言いません。あくまでも共感開発をしたい場合に最適なチームであると私が考えているものなので、売上至上主義のチームもとてもいいと思います。自分たちが実現したいことに向けて、どんなチームを作りたいのかを考えて、チームビルドをしてみてください。

まだ足りていないこと/これからチャレンジしたいこと

チームビルドや文化づくりの旅に終わりはありません。まだまだやらなければならないことは沢山あります。

・顧客目線WSを誰もが作り出せる体制はまだまだできていない
・「~~~の機能って、顧客に取ってどれくらい大切なんですか?」という発言を増やす
・「WSで~~~が大変だったから、xxxの機能の優先順位上げたいよね」みたいな発言を引き出す

まとめてみると、まだまだWSがWSで終わってしまっているなと反省しかありません。
ただ、確実にチームの文化として顧客が必要とするものを作ろうとする意識と行動が増えてきています。Amazonよりも顧客第一主義を体現したチームを目指して、更に挑戦を続けていきたいと思っています!

顧客が最高に熱狂するプロダクトを作る!!
ありがとうございました。

画像3

We are hiring!!

株式会社ログラスでは、顧客の熱狂するプロダクトを一緒に作りたい仲間を、絶賛募集中です。顧客と対話しながら、顧客が熱狂してくれるプロダクトを作りたい方はぜひご応募ください。お待ちしております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?