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はじめてのラブホテル

 私は不眠症とは無縁の生き物だ。ストレスで寝れないとか、「昼寝しちゃったから眠くない」という経験ががない。自慢じゃないけど基本的には四六時中眠いんだよね。あと早起きが苦手。アラームをセットしても寝ぼけて止めてまた寝ることなんかザラにある。
 この体質とマックス・アッレグリのおかげで、私は朝4時に起きて、イタリアの草サッカーチームの試合を見て発狂するような生活を送らずに済んでいます。ありがとうアッレグリ。ありがとうアレックス・サンドロ選手。

 正確な日にちまでは覚えてないけど、雪がまだ残っていたので3月の出来事だった気がする。ちなみに私が住む山形県は5月1日に雪が降りました。本当に意味がわかりません。

 私は職場の女先輩に飲みに誘われた。酒は好んでは飲まないのだが、特に断る理由もなかったので一緒に行くことになった。

 都会の人間が聞いたら驚くだろうけど、私の最寄り駅は21時台に終電が通る。つまり「終電なくなっちゃった…」っていうシチュエーションが起こりやすい。そんな秘境・山形で2軒目に行くか家に帰るかの二択を迫られるのは、19時に飲み会をスタートすると仮定すれば2時間後くらいになる。いや、まぁ、成人した男女が夜に集合して2時間ちょいでバイバイだなんて、Ti●derで知り合った人との初デートに失敗した時くらいだろうけど。

 幸い我々2人は普段社員寮に住んでいるため、タクシーを呼んで“共通の目的地”に帰ることは可能。終電を逃した時には、寮の門限である24時までにタクシーで帰ることは何度かあったので、終電を逃したくらいでやましいことを考えることはなかった。

 2軒目のスナックでノリノリで歌っている先輩を横目に、常連のオッさんに絡まれながら何杯か飲んでいたら睡魔が襲ってきた。普段から眠そうな人間が酒飲んだら眠くなるに決まってるよね。基本的にはどこでも寝れる私にとって、スナックのような屋内は最高の寝床だ。そこで何分か寝ちゃってたと思う。


 起きて時計を見たら日付が変わっていた。


「…あれ?」


 その寮は24時の門限を過ぎたら翌朝の6時まで入れないので、「あー、これ朝までコースか〜めんどくさいな〜」とか思いながら先輩の方を見たら私の数倍キマっていた。自分ひとりだったら最悪スナックで寝るか、カラオケ行って寝るのも選択肢だったが今回はそうもいかず。どうしようかと考えていたら、「私眠くなってきちゃった」とか言いやがるんですよその先輩。

「んじゃあ、とりあえず上がりますか」って言ってスナックをあとにし、宿泊場所を探すことになったんだけど、幸い(?)なことにラブホ街が目の前にあるんだよね。別に狙ったわけではなく、娯楽がセッ●スしかない山形県はありとあやゆるところにラブホがある。特に飲み屋の近くは。

 ここでラブホに連れ込むのキショいんだろうなぁと思っていたけど、先輩が「あそこ泊まろ〜」って言ったので結局ラブホで泊まることに。先輩曰く1番綺麗なラブホを選んだ。まぁ別々の部屋取ればいいよねと先輩の部屋を先に選んで解散しようとしたら、「いやいや、別々はつまんないよ。」と言われたので同じ部屋に入室。

 健全な男女ならこの後やることは決まっているんだろうけど、当時の私にはそれどころじゃない睡魔に襲われていた。とは言っても、私が睡眠と別の何かを天秤にかけた場合に唯一睡眠に勝つのが入浴。流石に汗かいたまま寝たくはないよね。

 お互いにシャワーを浴び終わり、先輩が髪を乾かして欲しいと頼んできた。私は湯上がり直後の髪を濡らした女性がとても性癖なので、恐らく心臓バクバクでドライヤーを使っていた思う。ロレンツォ・インシーニェ程のサイズだったリトル阿部はピーター・クラウチへと変貌を遂げた。

 その後は交互に肩を揉んだり足を揉んだりとしたわけだが、2時を過ぎたあたりだろうか。一度は遠くへ行っていた睡魔が再びやってきた。色気マックスの女性を目の前にしても眠くなるんだもん。ユヴェントスの試合干すのも仕方ないよね。

 この話のオチを聞いた全員がドン引きしたので、今noteを見てる皆様も同じ反応をすると思うのですが、結論から言うとそのまま寝ました。

 「抱いた」という意味の「寝た」ではなく、「就寝した」の意味の「寝た」である。ベッドの中で数分か会話していたのだが、我慢の限界を迎えた私は明確に「おやすみなさい」と言った記憶が残っている。



 チェックアウトの30分前にあからさまに不機嫌な様子の先輩に起こされて目を覚ました私への第一声は

「寝相悪すぎ」

「一緒に寝ても手出さなそうだなとは思ってたけど、本当に何もして来なかったね。」

だった。それで怒られるの理不尽だろ…ってチンポ同様萎えたけど、どうやらこの場合って男側が悪いらしい。難しいね。散々眠気を言い訳にしたけど、多分眠くなくてもヤってない気がするんだよね。眠さが決定打になっただけで。

 後日談みたいなのも書こうかと思ったけど長くなると思うので私に直接聞いてください。長文失礼しました。



(了)







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