日本人は年末に忘年会を行う。文字通りその年にあった大変なことを忘れるために開かれる。私にも2023年に持っていきたくない出来事があったので話そうと思う。記録に残して、記憶からは消そうと言う訳だ。思い出というにも烏滸がましいあの夏の記憶を。

※蛇足に蛇足を重ねてムカデのような文章になっていますが、それでもよろしければ。

　セリエサル(東京都の立川で定期的に行われているセリエAのファンが集まって行うフットサル)の翌日、私はツイッターのオタク3人と飲むために新宿に向かった。何人かは仕事帰りだったこともあり、全員と合流したのは20時半だか21時だかそのくらいだったと思う。食事を済ませた後に1人はすぐ帰ったのだが、残り2人が「バスタ新宿に面白いものがある」と言うので付いていくことにした。

　コンビニで買った酒を飲みながら、カップルやこれから帰省するであろう女子大生を眺めて目の保養をすること1時間。一緒に来た2人は終電があるので帰宅。私は翌朝の7時に山形行きのバスに乗るのだが、まさかここから7時間近くもバスタ新宿で過ごす訳にもいかなかったので、歌舞伎町に足を運んだ。私の遠征の悪いところだが、宿代をケチって毎度毎度宿泊先に困るのはおやくそくとなっている。セリエサルの日はユウマさんが泊めてくれたので事なきを得た。

　私と付き合いの長い方なら知っていると思うが、私は俗に言う地雷系ファッションが好きだ。「明日、私は誰かのカノジョ」に出てくるゆあてゃというキャラクターがモロにそれ。参考までに下に画像を貼っておく。

何故急に地雷系の話をしたかと言うと、歌舞伎町にはこの服装をした女性がとても多いから。10㎡に15人はいるんじゃないかと思うくらい。私にとってこれ以上ない天国のような環境だった訳だが、何をトチ狂ったのか私が次にとった行動は、

地雷系女子を片っ端からナンパした。

　ナンパ自体がイケメンがやっても成功率はさほど高くない(と思っている)のに、私のような陰キャ童貞キモオタチー牛が声をかけても拒絶の連続になるのは目に見えていた。案の定、5、6人くらいに話かけたが、まともに会話すらさせてくれなかった。次かその次くらいで諦めようと思い、地雷系とは少し違うが、松本いちかをちょっとケバくした感じの子に話しかけた。

「お姉さん今ひとり？良かったらどこかで飲まない？」

そう言った私に返ってきた言葉はあまりにも予想外だった。

「飲みじゃなくてウチん家くる？」

耳を疑った。歌舞伎町の人間の倫理観がイカれてるのは間違いないだろう。見ず知らずの初対面の男をいきなり家にあげるなんてどうかしてる。いや、当たり構わずナンパしてる人間が言うことではないけども。

　新宿から一駅先の代々木が最寄りだったので、タクシーを呼んで、早速彼女が済むアパートへ向かった。悲しいことに、頭では色々考えても身体は正直なのが男の性である。

　アパートへ着くやいなや、シャワーもそこそこに行為がいざスタート。私の23年数ヶ月にも及ぶ童貞生活が終焉を迎えた。その期間が長かったことも要因かもしれない。憧れというか、幻想というか、S●Xに夢を見過ぎていたのだろう。夢が美化される分、現実のソレはあまりにも虚しかった。

「あぁ…意外とこんなもんなんなんだ…」と思いながらヘコヘコと腰を振る。童貞がバレませんようにと願ったが、もしかしたらあまりの下手さに勘付いていたかもわからない。途中で胸を揉んだり、キスをしたりしたのだが、フィニッシュする気配がない。それだけならまだしも、当時の私は全くと言っていいほどこの状況に興奮しなかった。結局、20分近く挿入していただろう。最後は好きな人との行為を妄想しながら果てるという、対面の女性にはあまりにも失礼な初体験となってしまった。女の人って行為中に違うこと考えてる人も結構いると耳にしていたが、その気持ちも今ならわからくもない。

　23年目で童貞を卒業してわかったのは

・好きな人以外と行為に及んでもテンションが上がらないということ

・私はク●ニが上手いということ

の2つだ。2つ目に関しては相手の女性から絶賛されたので、私のク●ニ技術は相当高いのだと思う。まぁ普段から大人のビデオを見てても1番抜けるのはク●ニシーンだからね。日頃のイメトレの成果が現れたと言っていいだろう。

　ちょうどその日はセリエBの開幕戦を控えていたので、DAZNでパルマvsバーリを視聴しながら帰りの支度を済ませてアパートを出た。今思えば連絡先くらい交換しても良かったかなと少し後悔しているが、交換したとてもうあの子と会うことはないだろう。

　こんなことなら本当に好きな人とするまで貫いても良かったなとか思いつつ、コンディションが全然上がってないフランコ・バスケスと、すっかり穴と化していたシモーネ・ロマニョーリにブチ切れながらバスタ新宿へ向かった。

(了)