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顔が点状出血斑だらけになった。

 私は阿部崎。阿部崎と名乗っている。私は普段、ピン芸人としてお笑い活動の傍らアルバイトを、ないしはアルバイトの傍らお笑い活動をしている者だ。

 先日、あるライヴにでたおりに壁逆立ちをしながら外郎売りを言うという挑戦を行った。ういろう売りとは、アナウンサーや役者などが発声・滑舌の訓練のために使う長台詞である。通常、およそ4、5分ほどかかる台詞だ。これを壁逆立ちをしながらやるという挑戦は脆弱な肉体の持ち主である私には無謀きわまりなかったので、もちろん成功できなかった。

 その日の夜。風呂上がりに鏡の前に立ち自分の顔を見てみると、顔全体と首周りに赤い斑点がびっしりと広がっていてびっくりした。痒みはない。これはおそろしい。きっと壁逆立ちが原因なのだ。だが、このくらいならすぐに直るだろうとたかをくくっていたが、翌日また鏡を見てみるとまだ残っている。アルバイトに行って帰ってきてもまだ残っている。

 このまま一生この斑点がでたままだったらどうしよう。焦ってこの病状を詳しく知ろうと検索した。色んなワードを検索すると皮膚疾患の話やら美容療法の宣伝記事などがたくさんでてきた。逆立ちなどと絡めて検索しつつ、やっとそれらしき記事をいくつか見つけた。

 それによると、どうやらこの症状は点状出血斑というらしい。顔の血管に急激に血流が流れることにより毛細血管が破裂し薄い顔の皮膚の表面に赤い斑点が現れるというのだ。毛細血管破裂……!恐ろしい現象だ。びびった。青ざめた。不安になった。慣れないことはするものじゃない。危なすぎる。二度と壁逆立ちで外郎売りはやめよう。早速、題目を書いたフリップを捨てにいった。

 さて、この症状はすぐに治るものなのかどうか。それが気がかりだった。ある医師は記事のなかで、同様の症状を持った学生が診察に来て、学生が座るなり「逆立ちしたでしょ?」とピタリと当てて、相手は驚いていたが原因をピタリと当てるのは気持ちがいい、などと言うことを書いていた。肝心のその学生がその後どう治ったのかについては全く書かれていなくて読んでいてじりじりした。

 結局、通常なら三日ほどで治るという記述をみつけた。不安げながら時の流れに身を任せることにした。それから三日ほど経った今、顔の赤い斑点はほとんどが引いている。嗚呼、本当によかった。破裂した毛細血管は今や生命の持つ自然治癒力で修復された。もう二度と無茶はしないぞ。

 みなさんも逆立ちや慣れない無謀な運動にはお気をつけください。

※初投稿なので文体が気負った。

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