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"気に食わねえならお前が変えろ"Ralphから学ぶ「陰キャラ」がHIPHOPを聴くべき理由

 はいどうもあべしんです。先日開催されたAbemaTVのラップスタア誕生を視聴しました。3回戦あたりから見ていたので、出場者のバックグラウンドを踏まえつつの最終LIVEにめちゃくちゃ感動してしまいました。

 HIPHOPに興味がなくとも、出場者達はどういった背景で音楽活動を行っているのか、という事を知っておくだけで十分面白いと思います。3回戦~の流れは、Youtubeで全て見られます。

 このラップスタアで優勝した「Ralph」というラッパー。彼の伝えたいメッセージが、普段は日陰者として生きている陰キャラに刺さりそうだと思ったので紹介させていただきます。


"流行の全否定"Ralphのスタイル

 Ralphのスタイルで特徴的なのは、それまで日本で全く流行ってこなかった音楽だという事です。

 今の日本で流行りがちなのは、ピースなラップです。mellowやchillと呼ばれる幸せなイメージのジャンル。これらの音楽は、深く考えず頭を空っぽにして聞くことができます。リリックもそういったコンセプトに合わせて、内容よりは聞きやすさを重視して作られています。

 難しいことは考えず、不況続きの辛気臭い日常から逃れたい。そんな若者の気持ちが表れているのではないでしょうか。


 この日本の流行に対し、真っ向から刃向かっていったのがRalphの音楽。日本の流行とは対照的に、「一発で深く刺しに行く」という明確なメッセージを感じます。

 メロウやチルとは対照的に、不穏な雰囲気のビートの上にパーカッシブルなリズムでフロウを乗せていきます。しかもそのリリックの内容がとても濃密でエゲつない。

 ジャンルでいえば、UK Drillが一番近いと思います。UK Drillとは、不穏でブラックな雰囲気のビートに、暴力的な表現をふんだんに盛り込んだリリック。そしてそのリリックを引き立たせるテンポの良いフロウ。スキルと内容が存分に発揮される。そんな音楽のジャンルです。


NYでのDrillの先駆者"Sheff G."

 流行りが「何も考えずに平和に聞ける音楽」なら、Ralphは「頭を使って考え抜く音楽」と言えるでしょう。

 既存の流行りや価値観を全否定し、自分の生活の中で積み上げたスキルこそが正義。群れることや慣れ合うことを許容する現在のシーンに対し、「俺は群れない」と一歩引いた視点がとてもクールです。


"イジメられっ子"Ralphのルーツ

 では、なぜ彼はこのようなスタイルを築き上げたのでしょうか。彼の境遇にそのヒントがあります。

Ralph インタビューシーン

 父親の記憶が無い。母の愛人ともウマが合わない。外に出れば「外国人」と差別される。Ralphはそうインタビューで答えています。おそらく、想像を絶するほどの孤独を抱えて生きてきた。

 「吊るしたロープが俺を誘う」これはラップスタアLIVEの2曲目のパンチラインです。親にも周りの環境にも愛されなかったRalph。「愛情」こそが人の生きる糧です。その「愛情」を上手にもらえなかったRalphにとって、死ぬという事は決して自分から遠い存在ではなかった。

 RalphのHIPHOPは、そんな"孤独という死"の否定の中で生まれた。そんな気がしてなりません。彼にとっての音楽は、生きる事そのもの。彼のリリックのいたるところに、死ぬという事への意識がちりばめられている。

[Ralph]

後ろ指がナイフじゃないだけマシ-『N.B.K』
今更引くとか無い
握ってるナイフ
刺すまで振り向かない-『Selfish』

 だからこそ彼の楽曲やLIVEには、絶望の淵にいる人々を救い上げるような、鬼気迫る情熱を感じ取ることができる。

 平和な世界とは程遠い、死ぬことが近くにあったからこそ、「頭を使って考え抜く音楽」にたどり着いたのではないでしょうか。


日陰者にこそ聞いてほしい

 Ralphが教えてくれたのは、自分の芯を貫き通すと言うこと。

「マイナーだから」「人と違うから」。日陰者は、ついついそんな言い訳をしてしまいます。Ralph自身も最初から強かったわけではありません。

Ralph インタビューシーン&『Real Talk』

俺ら不利だから仕方ないって
誰かのせいにして
また逃げて
一体何にビビってんだ

 言い訳をして逃げてしまった自分の過去についてのリリック。想像を絶する過酷な環境で育ったRalph。もしきっと、「こんな環境だから仕方ない」と言い訳して逃げてしまっても、誰にも責められなかったはず。

 でも、Ralphはそれをしなかった。諦めてしまわずに、周りの環境に抗い続けた。

気に食わねえならお前が変えろ

 この記事のタイトルにもなっている、このパンチライン。これは、ウジウジと悩んでいる人々だけでなく、過去の自分への叱責でもあったのです。


まとめ

 HIPHOPという、一見怖そうな人たちの音楽。でも実はその中身は、弱かった人々の反逆のメッセージだったりします。

 そして、Ralphのような存在は、日の当たらないところにいる人たちの希望になりうるものです。「まだ諦めなくていい」。そんなメッセージが、少しでも多くの人に届けばいいなと思っています。

 今回のように、マイノリティや日陰にいる人たちに届くような記事をドンドン書いていこうと思っているので、良かったらフォロー等お願いいたします。


参考資料
Brooklyn Drillってなに? | XXS Magazine
https://xxsmag.com/?p=1232 2020/11/05アクセス

いつもありがとうございます。