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NUDE 2018年4月21日

横浜美術館アートクルーズ に行ってきました。
2017年9月のトリエンナーレ以来だから7ヵ月振り。

最初に学芸員さんの解説があって(於レクチャーホール、240席)、その後自由観覧。
計3時間。

ここ200年間くらいの作品が展示されていました。
NUDEという切り口で内容は千差万別。
よって、作品によって好き嫌いがはっきり分かれました。

好みが出るのはいつものことでどうと言うことは無いのですが、
要するに「性」を主題にした作品なので、
その表現方法に(私にとっては)嫌悪感を抱かせる作品もあり、
なんともかんとも・・・

「性」に対する捉え方は作者によって千差万別なんだな、
ということは、
世の中の人にとっても千差万別なんだな、
ということを改めて痛切に感じました。
70億通りの感じ方があるんだろうな、と。

いくつか気に入った作品だけ書いておきます。

「布をまとう裸婦」
 アンリ・マティス、1936年、油彩/カンヴァス

 比較的小さなもので、裸婦以外のものがほとんど描かれていません。シンプルと言えばシンプルな作品で、マティス独特の裸婦像がストレートに訴えてくる作品で良いです。

「髪をとかす女性」
 アレクサンダー・アルキペンコ、1915年、ブロンズ

 高さ35cm余のこれも比較的小さな作品です。非常にモダンな形をしていて、一見奇抜な印象も受けるのですが、よく見るとオーソドックスな裸婦像になっていると思います。
 顔の部分がどうなっているのかな? と最初に思うのですが、よく見ると左側に流れる髪とそれを押さえるように上げた右腕とがハッキリ分かります。それらの組み合わせによって顔の形が浮かび上がってくるという、・・・面白いです。
 この作品、お気に入りとなった以上に、欲しいと思わせてくれました。

「詩人のためらい」
 ジョルジョ・デ・キリコ、1913年、油彩/カンヴァス

 不思議な画です。このような画を理解しようとすることは意味が無いのではないかと思います。「何だ? この画?」と答えの無い問題を永遠に考え続けることを楽しむ、そのような目的で観るのが一番かと。

「眠るヴィーナス」
 ポール・デルヴォー、1944年、油彩/カンヴァス

 時代背景を読むと何となく分かる画です。もちろん画面の中に描かれた色々なものにはそれぞれ意味があると思いますが、眠るビーナスと骸骨との対比だけでも戦時中に描かれたものであることを感じることはできると思います。

その他、ちょっと面白いなと思った作品・・・

「プシュケの水浴」
 フレデリック・レイトン、1890年、油彩/カンヴァス

 複数のモデルの良いとこ取りをして美少女像を描いたとのこと。実際には存在しない偶像のようなもの。現代であればCGを使って仮想のアイドルを作り上げていることと同じじゃないか? 手法は違うが、昔から同じことを考えていた人がいたんだ!

「浴室の裸婦」
 ピエール・ボナール、1925年、油彩/カンヴァス

 これを観て思い出したのが、「浴女 その一」小倉遊亀、1938年、紙本彩色。構図がちょっと似ているな、と。

写真は本展覧会の目玉である
 「接吻」
 オーギュスト・ロダン、1901‐4年、ペンテリコン大理石

この作品だけ写真撮影OKでした。
作品をグルっと一周して気が付いたのは、男性の手がやたら大きいこと。実際の人間のパーツのスケールを無視して、彫刻全体を見たときのバランスが良いように作ったとのこと。ちょうど近くにいた学芸員さんにお聞きしました。もう一つ、男性の左足がどこにあるのかが一見して分からない。台座の中に半分埋もれるような形になっているので分かりにくいのです。
このポーズは生身の人間が再現しようとすると非常に無理がある姿勢だそうです。また、大理石は産地も指定して選んだそうで、かなり白いものでした。大理石は一般的には黄色がかった色ですが。

大理石の作品本体だけで3.8t、本体を支える台を含めると4t以上で美術館への搬入は大変苦労したそうです。
その他、色々なお話を展示室で学芸員さんに聞くことができました。

(横浜美術館の)アートクルーズは限られた人数で美術館を堪能できるので大変良い企画だと思います。

次の機会があればまた参加しよう、っと。