放射線副読本の配布から見えてくる教育の危機           長澤靖浩

このノートは私の全記事の中で最もビュー数が多い。
ダッシュボードによると2039ビューである。

しかし、二位の1756ビューの「男たちの中に眠る女たちへ」のいいねが102であるのに対して、

「放射線副読本の配布から見えてくる教育の危機」は46いいねと、いいね数が半分以下である。

私の考えでは、ここに何が書かれているのかが気になった「放射線副読本」を配布する立場の人々も、このノートを多く偵察した結果が、この高いビュー数であり、

そして、偵察組はもちろん、いいねしていかないから、%としてはいいねが低くなっているのではないか。

一方、このノートは「放射線副読本」を配らないように教育委員会や文科省と交渉する活動家などに多く活用されたと聞いている。

同様に元号批判論も、ビュー数に対するいいねが少なく、偵察組の存在を匂わせている。

ちなみに「魂の螺旋ダンス 改訂増補版 全」は1500円で、厚い本一冊分の内容であり、読むには読書体力を要するためか、いいね数がやや落ちる。が、製本版の初版の絶版、古本の値段高騰を受けて、私のnoteの中では最も売れている。(編集がやや読みにくいので、現在、読みやすいバージョンをマガジンとして作成中であり、今しばらく待たれたい)

→完成しました。

魂の螺旋ダンス 改訂増補版 読みやすいバージョン|長澤靖浩 #note https://note.com/abhisheka/m/m447cc391caf0

 「放射線副読本」再改訂版が中学校で配布されている。という連絡が元同僚からあった。「以前に初版が出たとき、君はその問題点を指摘して、職員会議で配布に反対していたよね。どこにどんな問題があるか、知りたいから教えてくれ」と言うのである。彼は仕事帰りにその冊子を私に届け「今度また問題点を聴きにくる」と言って置いていった。私は病気で「国語」の教員を早期退職した人間である。放射能についての専門家でも何でもない。だが、自分自身が枚方市の中学生のときに理科の先生から「プルトニウムの放射能の半減期は24000年です。そんなものを人間が管理できるわけはないってわかるでしょ」と聞いてから、ずっと「反原発」である。「うーん。じゃあ、なるべく調べとく」と答えた。現職教員は土日もクラブ指導である。学校に突然届いた「副読本」の問題点を調べるような時間などない。自分の役回りかという気もした。
 結論からいうと、ネット検索したり、集会に出たりして、調べるほどに、予想外に大きな問題が芋づる式に見えてきた。現時点でわかってきたことをとりあえずまとめてみたい。
 まず「放射線副読本」それ自体に嘘やトリックが含まれている。たとえば日本の水や食料の放射線の基準は世界でも最も厳しいという表がある。が、この表は日本の平時の基準と、諸外国の緊急時の基準を何の断りもなく、横並びに掲載し、日本の基準は厳しいと強弁するものである。図表にトリックを忍ばせ、それを元に教育することや、学校という「権威ある機関」から配布することは、大変悪質なデマゴギーの伝播と言わなければならない。
 また自然界にも放射性物質はあるとして、過剰に恐れることはないという結論に導こうとしている。が、本来なかったはずの不当な被曝が事故の加害責任として問題にされるべきだという視点がすっぽり抜け落ちている。
 そもそも自然界の放射性物質は非常に特殊なものだったり、あるいは比較的ありふれた放射性カリウムの場合は代謝や崩壊が早い。つまり自然界の放射性物質は現存する地球上の生物にとって生体濃縮が起こらず、殆ど問題にならないのである。そのような正確な知識を飛ばして、人工の放射性物質と自然界の放射性物質を同列に扱い、ありふれたものであり安全であるという「印象」へと操作しようとするのは悪質である。
 このように「放射線副読本」には数多くの嘘やトリックが含まれている。挙げていけばきりがない。このことはそれだけでも大問題である。
 しかし、副読本の背景を見るとき、その配布がどのように恐ろしい政治的意図に基づくものなのかが、見えてくる。実はそのことこそ、今回の「国家プロジェクト」の最も恐ろしい点なのである。以下、「国家戦略」の全体像を検討していこう。

続きをみるには

残り 1,397字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

もしも心動かされた作品があればサポートをよろしくお願いいたします。いただいたサポートは紙の本の出版、その他の表現活動に有効に活かしていきたいと考えています。