魂の螺旋ダンス 改訂増補版 (11) 古神道という幻想

・ 「古神道」という幻想

それに関連して、ここで私がさらに検討していきたいのは、「古神道」という言葉についてである。

現代の日本、特にニューエイジカルチャーにおいて「古神道」という用語は、検討もなしに漠然と使用されている。

その言葉の理解の仕方は混乱しており、時には「天皇制成立以前の日本古来の信仰を古神道という」と信じられている。
だが、それはまったくの誤解である。

では以下に「古神道」という用語の成立までの歴史を簡単に追ってみよう。

江戸時代、本居宣長は、それまでは『日本書紀』の影に隠れて顧みられることの少なかった『古事記』に着目し「古道」の名のもとに、「日本の固有の信仰」を復元しようとする。

この時に登場した「古道」という用語こそ、後に「古神道」という用語に繋がっていく言葉の初出である。

その本居を継承した平田篤胤は「古道」を「復古神道」として、発展させていく。だがこの時期の用語は「復古神道」であって未だ「古神道」ではない。

そして、それを受けて、実際に「古神道」なるものがその名で提唱されるのは、実に近代以降のことなのである。

明治以降、神社神道は国家の要請で大きく様変わりしていく。
つまり宗教として機能を薄め、国家主義イデオロギーとしての政治的機能を強めていく。神社合祀の名の下に集落神社を次々と破壊し、政治的要請に基づいて神社の再編を進めていくのもその一環である。 

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