油屋で起業した女の話

 〈 自 己 紹 介 〉

はじめまして。油屋で起業した女、 つたきゆか です。

現在岡山県の北東部にある小さな村、西粟倉村(にしあわくらそん)でablabo.(あぶらぼ)という油屋を営んでいます。

〈 油 屋 っ て 、 な に ? 〉

油屋とは、普段皆さんが何気なく使っている油、サラダ油やオリーブオイル、胡麻油などの油脂を製造・販売するところです。

ablabo.が作っているのは菜種油、ヒマワリ油、ごま油、エゴマ油など植物の種子から搾る食用油。

契約農家さんや上質なタネを扱っている卸問屋さんから種子を購入し、村の中にある小さな工房で手搾りしています。

〈 ど う し て 油 屋 ? 〉

24歳の時、友人と小豆島へ旅行に行きました。そのときに出会った搾りたてのオリーブオイルに衝撃を受け、「油ってこんなに美味しいものなんだ!」と気づきました。
その時から、頭の中はいつも油のことでいっぱいになりました。ほかにはどんな油があるんだろう?美味しい油で料理を作ったらどんなだろう?油ってどうやって作るんだろう?と、疑問が湧いては調べての繰り返し。
そしてとうとう、自分の中に芽生えた油への愛を信じ、もっと世の中に美味しい油の存在を伝えていかなければ!と使命感を(勝手に)抱き、油屋になることを決意しました。

〈 師 匠 と の 出 会 い 〉

出会いは突然やってきました。油愛に目覚めてからというもの、私は誰彼構わず油の素晴らしさと自分は油屋になるんだと言うことを話して回っていました。そんな中、「一人で油を搾っているイケてるおじいさんを知っているよ!」と教えてくれた人がいて、その方のご紹介からそのおじいさんに会いに行けることになりました。

岡山県津山市で神谷油脂製油工業所(みたにゆしせいゆこうぎょうしょ)を一人で切り盛りするそのお方は神谷敬正さん。出会った頃私は25歳、おじいさんは92歳でした。

年期と愛情のこもった古めかしい工房に、立ちこめる香ばしい菜種油の匂い。元気よく話をし、朗らかに笑う神谷さんに私は一瞬で心を掴まれました。
油のお話を伺う中で知ったのは、神谷さんには後継者がいないこと。それはすなわち、神谷さんが70年築きあげてきた油の物語がそこで終わってしまうかもしれないということ。

「私に継がせてください」

無意識に、そんな言葉が出ていました。

「ほんとにやるんか!?ええぞー!」

と、神谷さんは笑って応えてくれました。

そうして私は神谷さんの元に弟子入りし、昔ながらの油の搾り方を教わって、神谷さんの物語を引き継いで、自分の物語へと繋いでいくためにablabo.を立ち上げました。

神谷さんとの修行の日々は、また今度。

〈 油 の 可 能 性 を 探 究 し 、 食 卓 に 笑 顔 を 届 け る た め に 〉

そんなこんなで25歳の時にablabo.をスタートし、かれこれ5年。神谷さんの教えを元に様々な油を搾り届ける日々です。これまでのこと、現在のこと、これからのこと、油のことから未来の食卓のことまで、あれこれと綴っていきたいと思います。

どうぞごひいきに。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?