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シャイナタウンTシャツがRAGTAG高円寺店に!

ある日、知人から突然インスタで画像が送られてきた。

https://schinatown.official.ec/items/31139107

見覚えのある黒シャツに
「メ ストリート
s(c)hinatown/Tシャツ/M/コットン/」
のタグ

シャイナタウンのオリジナルTシャツだ。包み隠さず述べるが、お世話になっている/影響力のある知人友人にはギフティングをしている。販売しているので、買って頂いた方もいる。しかし、数回着られたか(古着屋へ販売している時点で状態がある程度良いのだろう)全く着られていない状態で、古着屋 RAGTAG行きとなったという訳だ。

初めてデザイン・販売したTシャツを我が子のように思っていた分、それだけ複雑な気持ちになった。

どうもエリナです。今日はTシャツへの愛着をテーマに記事を書いてみようと思います。

サステナブル・ファッション?

服の未来はどうなるのだろうか?究極的には、お気に入りの服を頻繁に着まわすことが当たり前になれば、生産される・廃棄される衣服の量は減るのだろう。

たった一枚しか着物のなかったとき、まアそう云うときでも、おかしなことですけど私は、自分が貧乏で悲しい、情けない、などとはあんまり思わないで、いまでもよく覚えていますが、着物はその一枚の着物だけで、いろんな奇妙なことを考えて、やっぱり自分流のお洒落をしていた、と思うのです。

『きもの読本』宇野千代、ダヴィッド社

日本人が1年間に購入する服は平均18着、一度も着ない服は平均25着だ。確かに衣替えをする際に、「こいつ今年も着なかったな。また来年は着てあげよう」と話しかけながら、翌年も同じ場面に出会うことになる。私の場合、クローゼットの中で一度も着ない、または数回着ただけの状態の服の種類で多かったのは、Tシャツ類だ。

「夏の白Tシャツ着回しコーデ!涼しさとスタイルを両立♪ビーチから街まで活躍するアイテムを、今号は大特集!デニムと合わせてカジュアルにも、スカートと組み合わせて女性らしい雰囲気にも変幻自在!夏の必須アイテムをお得なプライスでゲットできるショッピング情報もお見逃しなく!さあ、夏のおしゃれを白Tシャツで楽しもう♪」

まだ袋から開けていないマラソン大会の参加賞、ライブのグッズ。学生の頃はクラス単位で自分たちがデザインしたTシャツを着て見せたが、今では捨てられずにタンスの肥やしとなっている。『白Tシャツ』とは違って日常的には使い続けにくく、他方で他人が身に着けるには趣味の一致がそれなりに求められるだろう。

Tシャツの歴史

もともとはアメリカで、労働者や軍人、スポーツ選手によって、下着として身に着けられていたTシャツ。その後、アメリカのカウンターカルチャーやロックンロールの象徴としても愛され、若者文化の一部として定着した。

注目したいのは、1960年代のヒッピー運動におけるTシャツの使用だ。アメリカ西海岸の学生を中心とした中流社会の生活様式を拒否する運動が発端となり、やがてベトナム戦争の反戦デモや環境運動にも発展していった。彼らはピースサインを掲げ、タイダイ(tie dye)染めのTシャツを身に着けることによって運動の一部となった。

タイダイ染めの文様は「サイケデリック(psychedelic)」と表現されることが多い。あまり聞きなじみがなかったので調べてみると、幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のグルグルと渦巻くイメージを表すそうだ。

タイダイ染め

ヒッピーは物質主義や戦争に対峙する上で、表面的な社会への反抗や現実逃避といった手段ではなく、内省的にあるいは周囲の社会改善を目指そうとした。それゆえ黒人音楽やヨガ、インド仏教や日本の禅そして”ドラッグ”に関心をよせ、これまでの欧米の思想にはない概念を取り入れようとしたのだった。

タイダイ染めの歴史的な起源は、インド、日本、インドネシア、ペルーなどの国々で何世紀にもわたって使用されてきた伝統的な染色技術にまで遡る。

大学生の夏休みに、仲間とタイダイ染めに挑戦したことがある。完成のイメージはあまり持たずに、Tシャツのいくつかの部分を絞り、輪ゴムで固定した後、好きな色の染料を塗りつけて放っておいたら完成だ。もちろんそれぞれで柄と色は異なるけれど、自分たちの手で染めるという共同作業によって、そのTシャツは仲間を想起させるものになった。

1960年代のヒッピーたちがタイダイ染めをしていたのは、クルーネックのありふれたTシャツだけではなさそうだ。資本主義社会から逸脱して生活をしていた彼らは、新たに無地の白Tシャツを買うのではなく、手持ちの汚れた服や繕った服をタイダイで染め直していたとも言われている。

Tシャツに愛着を持ち続けるには

さてこの記事を通じて、Tシャツという、多く持っていたとしても、着る頻度が少ないまま廃棄の道を辿る存在に対して、愛着を持って長く着るための方法を、Tシャツの歴史をひも解きながら考えてみた。

"異文化混合の美学"が原動力であるS(C)hinatown.にとして、アジアやアフリカをルーツとしているタイダイ染めの技法がアメリカのカウンターカルチャーを経て、ある種のファッショントレンドとなったという点には是非言及したかった。

最後にTシャツに新たな命を吹き込むために、私が昨年実践した方法を紹介する。いずれも日本の伝統技法を用いる。

に染める
2022年10月に都内で開催されたClimate Liveは、気候変動について考えたり話したりするきっかけをつくる音楽ライブのイベント。着なくなったTシャツを回収しているということで、3着ほどを寄付した。京都紋付で黒染めがなされ来年のイベント時に活用されるそうだ。

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黒染めというひとつの選択肢

に染める
徳島への旅行で初めて藍染めに挑戦。
私が訪ねた場所は、感染防止対策で服の持ち込みが禁止されていたが、工房によっては持ち込みが認められている。藍染は、服を生まれ変えるだけでなく、防虫・消臭・保温・紫外線防止効果と多岐に渡るのだそう。

(文責 : エリナ)

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