見出し画像

Birdland

京都劇場で「Birdland」観てきました。10/16。


『Birdland』

作  Simon Stephens
演出 松居大悟
出演 上田竜也 安達祐実 玉置玲央 佐津川愛美 
   目次立樹 池津祥子 岡田義徳



この戯曲は知らなくて、ストーリーを読んで音楽劇みたいな感じなのかと勝手に思って観に行ったけど、実際は終始ストレートだった。

演出が面白かったです。
ステージの作りが、流氷みたいにプレートが何枚もあってそれを演者で動かしながらやっていて。正面にはスクリーンになるプレート。ポールのワールドツアーのスケジュールやマップを映し出すようになってた。面白かったのは、他の役者が舞台上でカメラを持って演者を撮ってたところ。それがリアルタイムでスクリーンに映る。客席からでは見えない角度のお芝居が見れた。照明も印象的でした。あんなのやってみたかったな。

ロックスターとして富も名声も手に入れたポールの、最後のワールドツアーを追った話。ポールは本当に周りの人たちのことが好きで大切に思ってたのかもしれない。でも言動でそれが伝わらない。孤独で寂しい人に見えた。きっとポールに悪意はなくて、でも自分の欲に素直であるが故に周りを振り回して傷つけてる。ファンに消費されて追い詰められていく感じが見ていて苦しかったし、「自分の世界を変えてくれた人たちがいた」っていう台詞で、ポールも元は消費する側で、ファンの気持ちも分かるからこそ追い詰められてるのかなと思った。
客席に照明が当たる演出があって、それが自分たちは消費してる側の人間なんだって抉られてるようでゾッとしました。分かってるし、分かった上で大好きな方たちがいるんだけど、改めて突きつけられた気がした。



とっても印象に残った、ポールとマーニーの最後の場面。亡くなった人と会話するっていう演出はドラマ映画舞台問わずたくさんあるけど、今まで観た中でもかなり刺さった。死んでしまった人の言葉と、その言葉を発するお芝居と両方がぐっときた。会話劇といった感じでテンポよく進んで、ポールがクズだなとは思いながら感情はあんまり動かなかったんだけど、あのシーンで全感情もっていかれた。

見えるって、人の肌に触れるって、どんなだったっけ。全ての感情が恋しい。
マーニーが置かれたこの状況に、死ぬことへの希望はなくて、それでもマーニーは救われたのか。この死の世界の描き方が私にはすごく刺さりました。

ポールにとってマーニーはミューズだったのかな、と思いつつもそんなに綺麗なものではなかったのかもしれない。


終わり方、好きだった。
一瞬で暗転して終幕。
不安を煽るような終わり方だけど、ポールは救われたのかどうか。彼がどんな結末を迎えたのか。想像するしかないんだな。

カーテンコールで、演者7人しかいないことに改めて驚きました。とっても濃い時間を過ごせた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?