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【教育】【指導】コーチング的指導法の研究(声掛け編)

こんばんは。アカデミー神戸進学会の西富です。

今回は「コーチング的指導法の研究(声掛け編)」というテーマで書いていきます。

3週間ほど前から頑張ってnote記事を書き続けているのですが、ありがたいことに知り合いの指導者の方々から

指導に関する記事も書いてくれ!

と言って頂けたので、調子に乗って書いてみることにしました。
最初は「コーチング的指導法のコツ」というタイトルにしようかとも思ったんですが

いや、それはお前ちょっと、さすがに調子乗りすぎちゃうか?
そもそもお前が「コツ」とか言えるほど上手くないやん?

という内なる声が聞こえてきたので、コーチング的指導法の研究ということにしました。
(理性、いい仕事した!)

我が子に、あるいは教え子に
やる気を出して欲しい
自信を持って欲しい
将来に夢や希望を持って欲しい
積極性・主体性を身につけて欲しい
目の前の壁を乗り越える力をつけて欲しい

そんなことを我々は思っているワケです。
これらを達成しようと思った時に

大人が何かを教え込む、あるいは諭す

不正解だなと、みなさんは経験的に、薄っすらと(あるいははっきりと)感じておられると思います。
子どもとは「やれ」と言ったことを「やる」ロボットではないし、一人ひとりに個性があって、得手不得手があって、悩みもあれば、謎の怒りスイッチもある。

だから
教え込んだからできる わけではないし
諭せばわかってくれる わけでもないし
ましてや
夢や希望や責任感や主体性や積極性なんてものは
言われて持つようなものではないワケです。

とはいえ、だったら、どうしていいのかわからない

ですよね?

僕もです(笑)

かれこれ10年以上、のべ500人以上の生徒の勉強を見てきましたが、これといった答えには至っていません

ただ、僕も一応プロとしてやっていて、自分で言うのも憚られるんですが、指導に関しては結構ストイックに勉強してる方だと思うんです。(笑)

だから、「これが正解だ」とはとても言えませんが、
これまでに僕が調べて、学んで、考えて、実践してきたことを
ここに書いていってみようと思います。
(今回はその第1回です)

もしこれを読んで下さっている方が、懇談や研修で僕と直接お会いできる時があれば
「やってみたら上手くいったよ!」
とか
「やってみたケド上手くいかなかったよ!」
とかを教えて頂けるとありがたいです。

僕もまだまだ修行中です。
指導者も、親御さんも、一緒に考えて、一緒に学んでいけたらなと思ってます。


1秒の声掛けが武器になる

僕はコーチングというちょっと珍しい指導法を採っています。
そもそもこのコーチングという言葉自体、あまり知られてないですよね。

「コーチングとは何か?」ということに関して、ここで細かい話をしても意味がないので、ざっくりと説明します。これは矢印で考えるとわかりやすいと思います。

これまでは「指導」というと

指導者(保護者) ⇒ 生徒

という矢印をイメージすることが普通でした。
教えたり、諭したり、指示したり、提案したりといったことです。

コーチングでは、この矢印をくるっとひっくり返します。

指導者(保護者) ⇐ 生徒

つまり生徒が本来持っている意志や能力を引き出すように工夫するということです。

この左矢印をできるだけ多く生み出すことがコーチングという指導スタイルの目標です。

で、左矢印を生み出すための方法は色々とあるんですが、その中で今回取り上げるのが声掛けです。

時間にしてわずか1秒程度の短い声掛けで、生徒の学習状態を改善できる場合があります。
今回は、そういうお話です。

※コーチングは職場で仕事を教える時の技法として発達した経緯があるので、お仕事をされている方は職場に置き換えて想像して頂けるとわかりやすいかもしれません。

安心させるための声掛け

生徒によっては問題を解く時に

やり方、これで合ってるのかな…

と不安を感じながら問題を解いている場合があります。
もちろんテスト中は一人ですから、不安と向き合いながらトレーニングすることも重要です。

ただ中には不安が強すぎて、
正しく考えられていたのに途中で止まってしまう
不安のあまり問題を解くほどに解法が崩れてぐちゃぐちゃになってしまう(パニックになってしまう)

場合があります。

僕らは生徒の性格や、解いている問題の習熟度、不安に対してパニックになる傾向などを普段から観察していて

OK!できてるやん!
そうそう!そんな感じ!

などの声掛けをします。
この声掛けがあれば

あ、これで良かったんや!

と安心し、問題を解くことに集中できたり、解法が安定して定着しやすくなったりします

これが声掛けの効用の1つ
安心させる
ということです。

これは蛇足ですが、
生徒はどうしても「誰かに勉強を見てもらう」という場面においては
間違っている部分
にフォーカスされがちです。

教えている側も使命感に燃えていますから
間違っているところ、出来ていないところを改善せねば!
と考えてしまいがちです。
でも本当は
ちゃんと出来ている部分を「出来てるよ!」と言ってあげる
ことの方が成長に繋がることも多いです。


リマインドのための声掛け

リマインドというのは「思い出させる」という意味です。
スマホにも「リマインダー機能」がついてますよね。

例えば
英文を読むときに主語・述語をはっきり認識する
ということをアドバイスしたとします。

生徒はたいてい真剣にそのアドバイスを聞き入れて、
真剣に実践しようとしてくれます。

それでも英文を読んでいると
思い出せそうで思い出せない単語が出てきたり
最近習ったばかりの文法が出てきたり

して、意識をそちらに奪われがちです。

本人に手を抜いてやろうという気持ちがなくても
新しく習慣づけたいことを意識し続ける
というのは難しいものです。

そこで僕らがちょこちょこと勉強に割って入って

主語・述語、意識できてる??

みたいな声掛けをすると

あ、そうだったそうだった!

と思い出してくれます。
これがリマインドのための声掛けです。

これは断じて

意識できてないじゃないか!ダメだぞ!

という非難・指摘ではないので、生徒が

自分がダメだったから指摘された

と受け取ってもらっては困ります。
だからできるだけ軽い口調で言うようにしています。
時には笑いながら

まぁ最初はそんなモンだよ ハハハ!

ぐらいの感じで、生徒が重く受け取りすぎないようにします。
このリマインドのための声掛けは学習する上で新しい習慣をつけて欲しい時などに使います。


細かい工夫

リマインドのための声掛けについては、もう少し細かい工夫をしています。
それは

生徒がちゃんと意識できている時に声掛けをする

ということです。

リマインド(思い出させる)なんだから、
生徒が忘れてる時、意識できてない時に声掛けるんじゃないの?

と言われるんですが、実際はちゃんと意識できている時に声掛けをする方が効果的です。

これは心理学の世界に有名な説明があります。

小さい子供に
帰ってきたら玄関で靴を揃えて上がる
ということを教えたいとします。

最初はもちろん覚えられませんから
勢いよく靴を脱ぎ捨ててドカドカと部屋に入ってくるワケです。
そこで

玄関で靴を揃えようね って言ったよね。揃えておいで!

と言ったら、もちろん

そうだったそうだった!

と言って靴を揃えに行きます。
でもこれだとなかなか定着しません。
なぜなら、この時子どもの頭の中で起こっていることは

大人に言われたから、自分を戒める
であって
自分で意識して、自分を戒める
ではないからです。

ではどうすれば良いかと言うと
もう一度靴を履かせて、ドアの外からやり直しさせる
です。
(重い空気でやると違う効果を生んでしまうので、軽い空気で!)

こうすると子どもはドアを開ける時(2度目)
(靴を揃える…靴を揃える…)
と頭の中で念じながら入ってきます。ここでは
自分で意識しながら、自分を戒める
ことがちゃんと出来ています。
これを数回やる方が覚えるのは早くなります。

これを勉強に当てはめると
主語・述語が意識できていない時

ちゃんと意識できてる?

と声掛けをすると
先生に言われたから、自分を戒める
になります。

一方で、ちゃんと意識できている時に声掛けをすると
自分で意識して、自分を戒める
という状態が強化されます。先生に言われたことで

ちゃんと守れてたけど、改めて意識しないとな!

と意識が強化されるからです。より定着は早まります。

この時の声掛けとしては

先生「ちゃんと主語・述語意識できてる??」
生徒「はい!」

みたいな感じでも良いのですが、僕は

「ちゃんと主語・述語意識できてるやん!OKOK!」

みたいな感じで、一方的に声掛けをして去っていく方が多いです。

指導者に返答をするのも生徒からするとある程度の意識や思考(敬語などの言葉の選択)を必要とするタスクですから、特に返答が必要ない時には

言い逃げして去っていく
方が良いかなと思ってます。ずっと続けていると生徒としても

あの人は言い逃げしてく人だから、言葉だけ聞いておけば返事する必要はないな
とわかってくれます。
指導者が、生徒が本来学習に向けるべき意識(認知資源とか言います)を必要以上に奪ってしまうのは良くないことです。

従来の指導では、指導者は
自分に注意・注目を集めようとするし、そのための技術をたくさん使う
のに対して(カリスマ指導者とかがわかりやすいですね!)
僕らのコーチング指導では
生徒の意識はできるだけ学習に向けさせて、指導者には向けさせない
ことに神経を使います。これも指導スタイルの違いと言えるかもしれません。


まとめ

今回は「コーチング的指導法の研究(声掛け編)」ということで、これまでの僕の研究結果・実践例を書いてみました。
本当はまだまだ声掛けの種類はあるし、その背後の意味合いも書ききれていないんですが、僕の文章構成力ではこれが限界でした(笑)

今回紹介した
・安心させるための声掛け
・リマインドのための声掛け

は指導歴が浅い方にも比較的実践しやすいかと思ってテーマにしてみました。もし試された方がおられたら、直接感触をお伝え頂けるとありがたいです!一緒に研究しましょう!

【アカデミー神戸進学会】
神戸板宿・宝塚山手台にあるコーチング型個別指導の専門塾です。「学習のプロ」が生徒の学力を細かく観察・分析し、学習法・計画法・キャリア形成に特化した指導をしています。 noteでは塾生向けに学習法・受験・進路・キャリアについての情報を 保護者の方向けに教育・受験・キャリアについての情報を発信します。


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