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『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』最悪への飛行を見守る楽しさ

 核ミサイルを乗せて、嘘からの報復で、戦闘機は空を行く。この映画で最も熱が入るシーン。世界を滅ぼす道へ進んでいるとは知らずに。そんな皮肉があちこちに忍ばされたキューブリックの名作。
 スターリング・ヘイドンのイカれちまった極右軍人がかっこいい。『現金に体を張れ』でもよかったよなー。ピーター・セラーズは一人三役で、どれも最高のキャラクタライズ。キューブリックだから、カット数は凄かったんかな?
 ブラック・コメディとしてほぼトーンは一貫してるのに、リスクが最悪すぎて、ときに笑えない。ゆえに後味が悪い。一日の始まりに観るものではないが、そんな気分の問題では計れない、キューブリックの卓越した脚本が冴え渡る、完璧な問答無用の戦争コメディ映画。

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