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『アメリカン・ハッスル』詐欺師が捨てられなかった友愛とは?

 引きから何度も効果的にクローズアップされる主人公たちを、ラッセルは狂おしくもリアルかつエモーショナルに描く。役作りで激太りにして髪を引き抜いたクリスチャン・ベールの演じる詐欺師の生き様のかっこよさ、エイミー・アダムスのフェロモンたっぷりのセクシーさ&タフネス、ハイ・エナジーな狂気のブラッドリー・クーパー、ビッチでイルなジェニファー・ローレンスなど、俳優陣の魅力を余すことなくスクリーンに焼き付けている。
 劇中曲も俳優の動きや状況、情景とシンクロさせる巧みさ、衣装の70s感ある魅力の豊富さ、脇役までストーリーに放り込む細やかさなど、デヴィッド・O・ラッセルの世界はやはり中毒性がある。
 詐欺師を絶対悪として描かず、裏切りの中に友愛を、恋の中に欲望を、野心の中に弱みを、多面的に描いている。オスカー10部門ノミネートで無冠も、私の心に突き刺さった。傑作。

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