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『メメント』時間の迷宮を描く若きノーラン

 映画は描ききらない余白があると、こちらに考える要素ができ、観客も映画に参加することになる。『メメント』の余白は至るところに散りばめられ、ノーランは観客に正解を得させることを放棄しているよう。
 主人公の記憶の障害は、観る者までその戸惑いを追体験させ、鑑賞を進めるほど、虚構と事実の迷宮に迷い込むことになる。
 ノーランの作家性は、この映画で既に萌芽しており、『オッペンハイマー』まで連なることになる。彼はおそらく時が経った後、特別な監督として振り返られることになるはずだ。観たいな、『オッペンハイマー』。本当に日本公開されないの?

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