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毎日点滴、飲食禁止の闘病生活に「孤独のグルメ」がくれた希望

卵巣癌の手術を無事終えたのに、腸閉塞(イレウス)を起こして入院中の者です。

腸閉塞になってしまったため、飲食禁止で毎日点滴を受けていますが、これは末梢静脈血管からのもの。よく目にする、手や腕からの点滴です。ただ、これで一日に必要なカロリーを摂ることはできないのだそう。

食に興味がなくとも、人は食べることでカロリーを摂らなくては生きていけません。本来なら少しでも、自分の口から食事を摂るのが身体にとっても大事とのこと。

そんな状況のなか、現在U-NEXTで配信されているドラマ「孤独のグルメ」に夢中です。最初は無料のYoutubeで繰り返し観ていたのですが、松重豊さんの美味しそうな食べっぷりが癖になる。

自分の食欲にきっちり向き合う真剣さは、まるで格闘技のよう。注文した料理を堪能する場面は幸せそのもので、ちょっとしたサクセスストーリーにも感じて元気になれる。ついに課金して全シリーズを見始めました。



「孤独のグルメ」とは久住昌之原作、作画谷口ジローの漫画で、2012年にドラマ化されました。ハードボイルド・グルメ漫画と謳っており、ドラマはシリーズ10まで放映されている一話完結のストーリー。
輸入雑貨商を営む主人公、井之頭五郎(松重豊)が、仕事で訪れた街でお腹をすかせ、気分のままに入ったお店で料理を堪能するのが基本パターンです。

メニュー選びの迷いや、店内の雰囲気、食事シーンが丁寧に描かれます。
主人公の心の声が、実際のセリフより多いのが特徴的。演じる松重豊さんの豪快な食べっぷりも美味しそう。

グルメ漫画と言っても、登場するお店は高級レストランではなく、街の食堂や居酒屋など気取らないお店ばかり。
漫画では架空のお店が舞台ですが、ドラマでは実在のお店が登場します。都内各地、時には地方都市にも出張。こんな場所にこんなお店があったのか、という楽しみもあります。



ドラマでは、お腹を空かせた主人公がカンを働かせてお店を探し、ふらりと入店します。
今の自分が何を食べたら幸せになれるのか? 
気持ちや興味を優先し、考え抜いて注文します。
値段やお得感で選ばないのが大事なところ。自分の興味と食べたい欲をきちんと満たす、そこに本気なのです。主人公はお酒を飲めない設定で、食に集中する覚悟が表れています。

メニュー選びでは緊張が高まり、実食で夢が叶い、お腹が満たされて気持ちが緩みます。この、欲に向き合う真剣さこそが他のグルメ番組とは違う面白さです。

グルメ番組で美味しそうな食べ物を観るだけでも、食べたい気持ちは刺激されます。人が美味しそうに食べていたら、自分も食べたくなるのもの。テレビ放映されて「食べに行こう」と思い、お店に並ぶ人がたくさんいるのは、何よりの証拠と言えます。

ドラマを見るたびに、どんな美味しさなんだろう?と期待し、食べたい気持ちがどんどん大きくなる。美味しそうに食べる姿は、生きることを楽しむ姿そのものでもあります。自分が食べられなくなって改めて、「食べる」ということの大切さを知りました。いつかは必ず食べたい。そんな気持ちが、自分の気力につながるドラマです。

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