ひなこ

美味しいものと空想がすき。

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【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

 高校生の頃、現国の時間に梶井基次郎という小説家が書いた『檸檬』という作品を習った。この作品を初めて読んだ時、こんなに面白い物語を書ける人がいるのかと感動したものである。主人公である「私」の心は、「えたいの知れない不吉な塊」に終始圧えつけられていた。元気だった頃の「私」は丸善で色々な商品をみることが好きだったのだが、この頃はどうにも足が遠のいている。好きな事といえば、みすぼらしい裏通りを眺めたり、おはじきをなめることぐらいであった。そのように欝屈としている「私」は、偶然通りか

    • 掌編小説 シンディ姫と7つのエメラルド

       あるところにとても美しいお姫様がいました。名をシンディといいました。シンディは7つの誕生日に東方からやってきた3人の博士にある予言を受けました。 「姫が18の誕生日を迎えられる頃、西の方からある魔物がやってきて姫をお后にと望む動きがあります。大事な姫が危険な目に合わないよう私達は7つのエメラルドを置いていきます。命の危機を感じたときにはこのエメラルドを魔物にかざすのです。きっと姫を守ってくれることでしょう」  国王は博士たちを信じ、シンディをなるべく危険な目に合わせない

      • 折り紙で猫といちごを折ってみた。真ん中のカニパンはセリアで買った。これむにむにして甘い香りがするんだ。猫ちゃんが興味津々。

        • 日記 サイゼより愛を込めて

           この頃短歌にハマっている。今日詠んだのはこれ。    サイゼで 生まれる恋は ミラノ味 二人の愛は プライスレス  サイゼリヤで喜ぶ男女、特に女の子の方は男から安く見られがちというツイートが前にバズってて「楽しければそんなのいいのに」と思い、そこからこの短歌は生まれた。私ならサイゼ嬉しいけどなぁ。  世の中お金持ってる男女ばかりではないのだからそんなこといちいち批判しなくてもなぁと思う。財布じゃなくて心が貧しいように思える。2人が楽しいならそれでいいじゃない。ね。

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        【エッセイ】そっとレモンをおいてくる

        • 掌編小説 シンディ姫と7つのエメラルド

        • 折り紙で猫といちごを折ってみた。真ん中のカニパンはセリアで買った。これむにむにして甘い香りがするんだ。猫ちゃんが興味津々。

        • 日記 サイゼより愛を込めて

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          掌編小説 三拍子に思いを込めて

           近所の小夜子お姉さんはいつもすらっとしたジーンズ姿で美しい黒髪をなびかせて僕の小さな胸をドキドキさせる。彼女はこの春から新社会人だそうだ。  僕は今年から中学1年生。取り立てて可もなく不可もない普通の中学生である。一つ特技があるとすればピアノが弾けることぐらいだろうか。これは母さんが半ば無理矢理習わせた教育の産物である。小学2年のときから始めたからかれこれ5年間は続けていることになる。5年も続けていれば特段才能はなくても何となくは弾けるようになるものである。  週一レッ

          掌編小説 三拍子に思いを込めて

          短歌 野辺の花 我が身を重ね 眺め入る 強くあれよと 思い候 野辺に咲く花に自分を重ね熱心に眺める。強くあってくれよと思ったのである。 昔は薔薇になりたかったけどかなれなかったのでタンポポみたいに強く生きようと思う。

          短歌 野辺の花 我が身を重ね 眺め入る 強くあれよと 思い候 野辺に咲く花に自分を重ね熱心に眺める。強くあってくれよと思ったのである。 昔は薔薇になりたかったけどかなれなかったのでタンポポみたいに強く生きようと思う。

          掌編小説 危険なお洒落

          エスカレーターの部分は私の実体験に基づいたお話    小さい頃母と行ったデパート。そこで喫茶店に入ってチョコパフェを食べるのが私の小さな楽しみだった。バナナとコーンフレークと生クリームが入った何の変哲もないパフェ。だけど2人で美味しいねと言い合って食べるパフェは何ににもまさるご馳走だった。  その日の帰り。下りのエスカレーターにいると女の人の悲鳴がきこえてきた。訳のわからない、完全にパニックに陥った人特有の金切り声で女性は何かを訴えている。よく見るとスカートがエスカレーター

          掌編小説 危険なお洒落

          【短編小説】ちょっと不思議なお兄さん 一(全七回)

           以前に投稿したものです。私的によく書けた方なので再投稿します。本当は新しいものが書けたら良いのですが😅  「花音(かのん)、雨降ってきそうだから、洗濯物取り込んで」          「えー、今いいところなのに。お母さんやりなよ」           「お母さん今手が離せないのよ。今日は新一くんがくる日でしょう」    「分かったよ」  私はしぶしぶやりかけのゲームをセーブしてベランダに立った。本当に今にも雨が降り出しそうな曇り空である。私は慣れた手つきで洗濯物を取り込ん

          【短編小説】ちょっと不思議なお兄さん 一(全七回)

          掌編小説 同じ景色

           実は最近囲碁を始めた普通のサラリーマンである。きっかけは亡きお祖父ちゃんの遺品を整理していたら愛用していた碁盤と碁石が見つかり譲られたからである。使い込まれて年季は入っているものの本榧の特注品で相当にいいものだそうだ。そんな良いものを部屋のインテリアにしておくのはもったいない気がして前々から興味があった碁を始めてみることにしたのだ。  最初は本を買ってそれに習って定石を学ぼうとしたのだが、碁盤は何といっても広くまたルールは単純なれど汲めども尽きぬ奥の深さ故早晩独力では限界

          掌編小説 同じ景色

          掌編小説 空飛ぶたいやき

           猫のミャーは思いました。三軒隣りにあるお店、お祖母さんがずっと一人でやってるお店で売られているあれ、魚の形をしたあれは何なのだろうと。人間たちが嬉しそうに買っていくあれは何なのだろうと。魚の形をしてるけど魚じゃない。中に黒っぽいものが入ってる。  ミャーは夢をみました。魚の形をしたたくさんのあれが空を泳いでいる夢を。一人ひとりの手に舞い落ちてくるそれを男も女もサラリーマンも子供も皆嬉しそうに食べています。ミャーもおそるおそる食べてみました。うえっ。何これ。まずい。うえっ。

          掌編小説 空飛ぶたいやき

          掌編小説 アップルパイ

           高校の頃文芸部のメンバーでお菓子を作ることが流行った。さすが文芸部のメンバーなだけあって皆本や漫画に由来するお菓子を作ることが多かった。『わかったさん』のクッキー、『トムは真夜中の庭で』のスコーン、『ハリー・ポッター』のパンプキンパイなんてのもあった。本を読んでると料理が上手くなるのか、料理が上手い人が本を読むのかよく分からないのだけど、皆それぞれなかなかの完成された一品を持ち寄ることがほとんどで私達は美味しい紅茶とともにそれを頂いたのだった。  私はアップルパイを焼くこ

          掌編小説 アップルパイ

          エッセイ 空想を翼に乗せて

           社会科の資料集で初めてサモトラケのニケを見たとき私は何だか健気だなと感じた。勝利の女神ニケをモチーフにしたヘレニズム期のギリシャ彫刻。頭部と両腕が失われた状態で発見され、現在はルーブル美術館で所蔵されている。宗教観の対立により顔を削られ首や手を切り落とされてしまったニケ。  歴史はタイムマシンに乗ってでしか変えられないからニケがそのままの形で発見されていたらまた違った感動を人々に与えていただろうなと感じる。それにしても不思議なことだ。ミロのヴィーナスしかり身体のある一部分

          エッセイ 空想を翼に乗せて

          掌編小説 あの家に住む12匹の猫

           職場のKさんが自宅に猫を飼ってると知ったのはつい最近のことだ。着ているコートに猫毛がついていてそれを目ざとい同僚の女の子が見つけたのだ。 「あれ主任、猫なんて飼ってたんですね」 Kさんは「ああ」なんて気軽に答えた風を装っていたものの私にはどうにも声が震えているように感じた。 「どんな猫ですか」ときく女の子に「茶トラ」と応えるKさん。「名前は」「マロン」「女の子ですか?」「そう」  普段愛想の良いKさんが言葉に詰まりがちになるのを怪訝に感じながらも私は聞き耳を立てていた。「

          掌編小説 あの家に住む12匹の猫

          【掌編小説】最果ての虹

           日本最南端の島、波照間(はてるま)島に行ってみたいなという気持ちを込めて短編小説にしました。    こうして海に抱かれていると色んなことがどうでもよくなってくる。サトコは思った。「生きててよかった」と。  サトコは今日本最南端の島、波照間島にいる。なにをどうしてここにたどり着いたのかはこの際脇に置いておくことにしよう。今重要なことは一面の青空のもとサトコという一人の人間が波に揺られていることなのだから。  サトコは己の身に降りかかってきた数々の出来事を頭のなかから振

          【掌編小説】最果ての虹