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キャプテン・ビーフハートが好きならこれも聴こう!!

あけましておめでとうございます。

前回「Acid Folkディスクガイドに掲載されていないAcid Folk達」というnoteを載せましたが、Twitterで2022.1/?現在、30いいねほど頂きました、本当にありがとうございます!

学生の頃影響力とは無縁だった僕がクラス一つ分くらいにAcid Folkをばら撒けたということです。感謝感激でございます。

さて、今回はテーマ変わってタイトルにある通り

「キャプテン・ビーフハートが好きならこれも聴こう!!」


音楽雑誌風に「これを聴け!!」でも良かったのですが、自身がそのような性分ではないので、少し寄り添う形で失礼いたします。決して怖い世界ではないですよ、逃げてもいいんですよという親しみやすさです。僕には過剰に気にしすぎる方がちょうどいい時もあるのです。過剰といえばキャプテンですね。

まず初めに、キャプテン・ビーフハートに何を求めるかによって聴き方も変わると思うので、今回は

★キャプテンの特徴的な声
☆ブルースを基調とした奇妙な作品
✴︎トラウト・マスクレベルのフリーキーな音楽

に焦点を当てて紹介したいと思います。そしてキャプテンを語る上で欠かせない盟友フランクザッパについては、趣旨が変わってしまいそうなので今回はあえて触れないことにします。ごめんねアンクルミート!

もちろんキャプテンと全く同じ音楽はこの地上に存在しないので、期待にそぐわない場合もございますが、何卒優しい目と耳と脳髄でお願いいたします。

★Howlin' Wolf ‎– The Real Folk Blues(1965)

キャプテンの特徴的なダミ声の源流といえばやはりこの男、ブルース界の巨人ハウリンウルフのアルバムから。彼の声をこれでもかと堪能できる味わい深い一枚です。

長年ウルフの元でプレイしていたヒューバート・サムリンのギターも、千鳥足のようによろけたかと思うと素早く戻る、ブルースも違う耳で聴くとフリーキーなプレイに聴こえるのではないでしょうか?

★☆Howlin' Wolf ‎– The Howlin' Wolf Album(1969)

そしてそんなウルフがレーベル側の意向で"作らされた"大問題作がこちら!サイケデリックブルースの探求に即ピリオドを打ち込む大正解&大怪作です。

サイケデリック全盛期、シカゴブルースをなんとか若者達に受け入れさせようとチェス・レコードが仕掛けた禁忌の魔術の賜物。とにかくぐねり散らかしたどろんとしたブルージーサイケにさらに泥をぶちまけるウルフのヴォーカル…!聴いてると飯も泥に変わってゆきそう…

サイケデリックブルースの永遠の金字塔であり、"サイケデリック"とはどんな現象だったかを知る上でも重要な作品。購入されたらぜひトラウトの横に。

★Bloodloss – In-A-Gadda-Da-Change(1993)

マッドハニーのヴォーカルであるMark Armがオーストラリアのバンド「ルブリケイデッド・ゴート」とセッションして作り上げた作品。The Sonicsのトリビュートバンド組んだりとほんと根っからの音楽好き男です。

「キャプテンをオルタナの沼に沈めたらどうなるの?」という疑問を一撃で解決してくれるオルタナティヴ・ダミ声パンク!キャプテンそっくりの声と尖った音楽性で見事にマジック・バンドのフリーキーな部分を継承し、錯乱状態擬似体験的90'sオルタナサウンドに昇華しています。

曲そのものもカッコいいのでジャンク系のオルタナ、Pussy GaloreやGallon Drunkのファンにもオススメです。

★☆The Edgar Broughton Band ‎– Wasa Wasa(1969)

DJで流したらキャプテンと間違えられました。そんな僕もうんといってしまいました。イギリスが産んだアングラブルース・サイケバンドの1st。

アルバム冒頭の産声はもちろんキャプテンそっくりのダミ声。凝固途中のマグマのようなべっとりとした演奏は、マジックバンドとはまた違うブルースの歪な解釈の音像劇。

その後流石時代と言いますか、こんなスタイルバンドでも数枚残しており、よりトラッドでフォーキーなスタイルとして洗練されていきます。それらも名盤ですがテーマにそぐわないのでまた次回。

★☆Kongar-ol Ondar & Paul "Earthquake" Pena ‎– Genghis Blues(1999)

ロコ・ベリック監督の1999年のアメリカのドキュメンタリー映画のサウンドトラック。盲目のアメリカ人ブルースマン、ポール・ペナがロシアのトゥバー共和国に赴き、独自の発声法「ホーミー(喉歌)」と出逢います(ホーミーとは喉を詰めたような特殊な発声により、自身の唸るような低音と笛のような高音を同時に出す発声方)。

誰が想像したかブルースとホーミーの融合!その出逢うはずのなかった掛け合わせで生まれた申し子はまるで柿ピーとチョコレート。成立することをわかっていたかのような完成度は本当に素晴らしいです。泥臭いブルースに唸る低音が非常にマッチ!

コラボ曲のみならず、ホーミーの伝統的な歌唱も収録されており、トラディショナルミュージック愛好の方にもオススメです。様々な角度からブルースという巨像に立ち向かう姿勢は、キャプテン・フリークに刺さるのではないでしょうか(ちなみに映画はまだ未視聴…いつか必ず観ます)。

映画のトレーラー

★✴︎The Nihilist Spasm Band – No Record(1968)

「別にキャプテンの声じゃなくていいからトラウトみたいなフリーキーなのが欲しいんだ!!」

というほんまモンのフリークの方、ご安心ください。カナダの彫刻家や教師、画家などで構成される現行最強アヴァンギャルド集団の1stである本作を聴けば、一瞬トラウトの存在すら宇宙の彼方に放棄してしまうことでしょう。

『アーーハーハーハ!!デストローイザネイション!!!!!!』 

とMC5"KOTJMF"ばりに始まるオープニング曲から怒涛のフリーインプロビゼーションラッシュ!!!鍋の中に金属やら脳やら死骸やらぶち込んで●●●●がブチ回してるような音塊に健常者はぶっ倒れ、愚か者は定点を超え、学んだ者は自身の学舎を燃やし尽くすでしょう(やってはダメです)。

Fugsのようなスマートな愚かさ。この作品の恐ろしいところは無知な原始人達が打ち鳴らしてるのではなく、地に足ついた確かなインテリジェンスが軸にあること…!誰しもにこの衝動は眠っているのです。

アヴァンギャルド入門としても最適な大名作!狂気に飢えているなら是非覗いてみましょう!くらえ!!デストロイザネイション!!!

あと意外なことにタモリが司会の日本の音楽番組に出演しています。

☆15-60-75 ‎– Jimmy Bell's Still In Town(1976)

1969年に米国オハイオ州ケントで結成された通称「The Numbers Band」は、ブルースを基調としたアートロックバンドです。本作はあのボブ・マーリーの前座を務めた際ライヴ録音された事実1stアルバム。

Pere Ubuに影響を与えたのは有名な話。時にCanのような反復ビートに即興なのか考え抜かれてるのか迷わせる熱いアンサンブルが絡みます。

膨大な量の音楽を吸収して、打ち出されたのは極ミニマルでシンプルなアプローチ。しかし確かに月に手を伸ばそうとしている暴食精神が熱く伝わります。これは本気で世界を征服しようとしている音だ!!

ブルースや他ジャンルの自己解釈をして見事に無人島に"狙い通り"不時着した、音の探求の極北。音楽性は違えどただただオススメです。

なんとライヴ映像もあり!!


★☆The Magic Band ‎– Back To The Front(2003)

船長を失った幽霊船と思いきや、意外と船員達は生き生きとしていた!!キャプテン亡き後もマジックバンドとして爆進し続けた彼らによる、もはやそのままな快作。

そうだぞ!あの声はキャプテンだが演奏していたのは俺たちだ!!!とでも言いたげなマジックバンド節。嫌いになれるわけがありません!

ちなみにいかにもなヴォーカルはドラマーのJohn French。気のせいかもしれませんが、若干緊張感がほぐれ、逆に生き生きとしているような…間違いのない名作です。


★☆里国隆 ‎– あがれゆねはる加那(1996)

最後は日本から。

奄美大島の伝説の盲目ブルースマン。琴をナイフのようにつまびき、シマウタを遥か先まで、各地を放浪しながら伝え続けた真のアウトサイダー。

咽び唸る怨念のような声は度肝を抜きます。心臓をいきなり口から取り出して「これが私」と言わんばかりの生々しさに、ペンタトニックプレイヤー達は尻尾を巻いて逃げ出す琴でしょう。

トラディショナルミュージックからデルタブルースの間に弦を通す、あまりにもさらけ出した奇跡的な音源達。ぜひ触れてみてください。


そして。


本当はもっと紹介するつもりだったのですが、書きすぎて何がキャプテンなのか、何がキャプテンじゃないのかの判断ができなくなってしまいました。すみません、すみません…。

もしかしたら第二段として、まとめるかもしれません。それまでによりDigします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!キャプテンビーフハートは独自性が強くとても好きなミュージシャンなので、このような形でブログに書けてとても嬉しく思います。また、●●●●が好きならシリーズ、やっていきたいと思います。それでは!

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