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読書感想文「戦闘機と空中戦の100年史」

「戦闘機と空中戦の100年史」読了
まさに戦闘機と空中戦の100年を追っていく内容で、非常に軽易で航空戦に馴染みのない方にとっての入門書として良書ではないかと思います。
戦闘機と空中戦に絞っているとは言え、これだけ広範囲の内容を著者一人で纏めるのは大変だったのではないかと思います。
また、名高いエース達の格言も項目ごとに掲載しているのも、エア・ウォーリア・ハンドブックを彷彿とさせて好感が持てました(量が多すぎてネタに困ったようにも見受けられましたが)。

Aces Highを始めたばかりのプレイヤーであれば、この機体はどんな活躍をしたのだろう、とかプレイ中の行動の意味(戦闘機に対する攻撃や基地、工場への爆撃等)を理解する一助になるかと思います。


しかしながら、やはり一人で監修もなしというところで、誤植、誤記を含めていくつか気になったところがございましたので、ここに書き留めておきたいと思います(自分の理解が足りないのかもしれませんが)。

  1. 「第一次世界大戦後に新設されたイギリス空軍が」(P.87)とありますが、イギリス空軍は第一次大戦中の1918年4月に設立されているので誤りです。

  2. 「上記のうち大戦への投入された機種はTa152H-1を除けば無かった。」(P.108)とありますが、P-47Nは僅かな期間とは言え大戦に投入されているはずです。

  3. 「日本陸海軍は20mmを機関銃に分類している。」(P.119)とありますが、これも正確ではないと思います。

  4. 「6-3 ウフィムツィムの理論とレーダー反射断面積」(P.335)ですが、これは本文では「ウフィムツェフ」と書かれておりますので単なる誤植だと思いますが、目次にも影響しておりますので目立ちますね。

  5. 「エーリッヒ・ハルトマン<ドイツ空軍エース、356機撃墜」(P.361)とありますが、これは352機撃墜の誤りです(他のページでは正しく352機撃墜と書いてあります。)。

誤記等ではないのですが、疑問に思ったところもいくつかありました。記載が正しいのかどうか判断がつきあせんでしたので、もしご存じの方がいらっしゃればご教示いただけると幸いです。

  1. 「日本やドイツは二段式スーパーチャージャーやターボチャージャーをなかなか実用化できなかった。」(P.102)とありますが、ドイツでは無段階の圧縮機を実戦に使っていたので二段式スーパーチャージャーに遅れは取っていないのではないかと思っておりました。また、ターボチャージャーもジェット・エンジンを実用化できるので十分実用化できる能力はあったのではないかと思っておりました。

  2. 「旋回性能はどんどん失われていった。」(P.112)とありますが、一方で「一撃離脱に徹するにしても、(中略)旋回性能は依然として重要だった。」(P.113)と書いていたり、「P-51Dのコーナー速度だった場合、その差は殆ど無くなるか、P-51Dが勝つ。」(P.115)とあったり混乱する内容になっているように感じました。旋回性能、旋回半径、旋回率等を説明なく使用していることや、そもそもこのページ数で説明するのが難しいとは思いますが、まっさらな状態で読むと混乱するというのは入門者向きではないように感じました。

  3. 1日で5機撃墜した人を「ワンデイ・エース」と書かれております(P.271)が、自分はこれまで「エース・イン・ア・デイ」という言い方は聞いたことがあり、これが1日で5機撃墜した人を表す言葉かと思っており、「ワンデイ・エース」という表現は初めて見ました。このような表現は一般的なのでしょうか?

  4. 「サイドワインダーやスパローは(中略)「コンティニュアスロッド(環状)」弾頭を持ち」(P.378)とありますが、サイドワインダーもコンティニュアスロッドを採用していたものがあるのでしょうか?スパローも新型ではコンティニュアスロッドをやめているので、ここも正確ではないと思います。

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