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伝わることがあたり前でない世界で気づいた大切なこと〜ダイアログ・イン・サイレンス〜

久しぶりに平日に休みをとったので、いつもだったら絶対にやらないことに取り組もうと思っていたら、面白そうなイベントを紹介していただきました。

「ダイアログ・イン・サイレンス」

コーチとして少しずつ活動し出した僕は、名前をみただけで行くべきものだと察しました。当たり前のように言葉を聞いたり話したりできる僕は、「ダイアログなのにサイレンス?」という疑問を抱かざるを得ませんでした。

ちょうど前日のコーチングスクールで「言葉だけじゃない世界」の話をされたところでした。頭で感じるものよりも、身体や心で感じるところに大切んなものがある。人間はすぐ頭で考えるようになってしまったと。

「言葉を使えない世界に飛び込むということは、身体や心で感じとる世界に飛び込むことと同じなのでは?」という期待を持って、東京の竹橋へと足を運びました。

理解できなくて、考えるのをやめたくなる

さて、まず自己紹介とイントロダクションからはじまりますが、完全に理解できない。というのもファシリテーターは耳が聞こえず、参加者はヘッドセットをして、言葉を使うことが禁止になるんです。説明は簡単な紙とジェスチャーだけ。それをみている僕は、「どういうこと?」「もっとわかりやすくジェスチャーをしてくださいよ」という声が自分に中で大きくなっていくのを感じました。若干の不安と苛立ちがフツフツと湧いてくるんです。

でも焦ってもどうしようもない。そもそもみんな言葉を使えないから、”伝わりにくい”んですよね。でもそれは、当たり前のように言葉でコミュニケーションができる人たちにとって。

ジェスチャーをして「これであってる?」と確認してみたり、何度もレクチャーをしてもらって、「こういうことね!」と徐々にわかっていく。その瞬間のすっきりした気持ちは半端がなかったです。

徐々に場の空気も暖かくなってくると、みんなでその説明を理解しようとし出します。前提「わからない」から、いろんなジェスチャーをみんなでしながら、レクチャーの説明を理解し出します。わからないからこそ、みんなで理解しようとする。わかるスピードがドンドン早くなってきます。冒頭にあった不安と苛立ちは微塵も感じなくなっていました。

この当たり前に気づいた時、いかに自分が早いコミュニケーションをしているか、「伝わらないといけない」と思いながら会話をしているかわかりました。伝わらないとソワソワするし、伝わってこないと「何言ってんだ」とイライラしてくる。だから、伝わりにくいことは言いにくいし、自分の中にある「うまく言えないこと、気持ち」は言わないようにしてしまうんだと思います。言葉じゃない世界で考えることに抵抗を持つようになってしまう。

でも本当は、言葉じゃない部分にこそ、表現したいものが詰まっているんじゃないかなと。メラビアンの法則にもあるように、人間は非言語の領域でコミュニケーションをほとんど取っていることも科学的に言われているくらいです。言葉じゃない領域に重きをおいたコミュニケーションをとっていくことで、普段の会話でも伝わり合う、理解し合うことができるのかもしれません。

ワークショップの最後にダイアログの時間があり、ワークショップの感想や日常に持ち帰りたいことをファシリテーターを含めて「言葉」をつかって実際に対話をしました。

僕はそこで、耳が聞こえないファシリテーターの人に「伝わらない時はどう言った気持ちになるのか?」という質問を最後にさせてもらいました。「最初は伝わらなくて悲しかったり、一人ぼっちな気持ちになっていた。けど、そんなことを考えるより、どうやったら伝わるかな?と考えていろんなことをする方が楽しいと今は思っている」というのがお答えでした。伝わらなくて悲しい、という沼にいても何も変わらない。居たいのは「伝わった」「理解できた」を感じることができる世界で、言葉が使えないのであれば違う方法を取ればいいんだと、その答えを聞いた僕は思いました。

ちなみに、最後のダイアログで僕が日常に持ち帰りたいと思ったことは、「わかろうとしてくれる姿勢が、何よりの安心感になる」ということ。自分が表現していることが伝わらなくて困り始めたときに、「こんな感じ?」とジェスチャーをしてくれて理解しようとしているのをみると、伝わらない不安が一気に吹き飛びました。「理解しあう」という作業をいっしょにできているからこそ、一人で伝えようとするよりも早くクリアに伝わるんです。普段でも、「理解したいんだよ」という気持ちが二人の間にあることが、何より円滑で気持ちの良いコミュニケーションをうむ秘訣だと感じ、コーチングではもちろん、日常の会話やMTGでもやっていきたいと思っています。

言葉じゃない世界を、みなさんはどのように捉えていますか?言葉がないと暮らすのがむずかしくなってしまったこの社会だからこそ、言葉を使わない世界に飛び込んでみると気がつけるものがたくさんあるはず。ダイアログインサイレンス。ぜひ足を運んでみてください。


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