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リーンなプロダクト開発におけるデザイナーの役割

こんにちは。プロダクトデザイナーのミカサです。普段はdelyでレシピ動画サービス「クラシル」のプロダクト開発に従事しています。

delyではプロダクトの新機能や改善施策をリリースする前に、プロトタイプを用いたユーザビリティテストを実施して、ユーザーさんの課題を本当に解決することができるかどうかを十分に検証するフェーズを開発フローの中に取り込んでいます。

一般的には「リーンなプロダクト開発」と呼ばれる環境で、プロダクトデザイナーとしての役割について考えることがあったので、現時点での自分の考えを書いてみようと思います。

前置き

この記事の内容は、リーンなプロダクト開発によって不確実性を極力排除していくことでユーザーさんに正しい価値を届けることができる、といった考え方を前提としています。

(リーンなプロダクト開発については、noteでも話題になっていたこちらの記事がとても参考になります。)

背景の説明のために中で紹介されている画像を参考に画像を作成させていただきました🙇このnoteは青い背景色のデザインフェーズの中でのプロダクトデザイナー視点での話になります。

デザインフェーズでのデザイナーの役割

デザインフェーズにおいてデザイナーがチームメンバー(主にプロダクトマネージャー)と一緒に進めていくことは、ざっくりと羅列すると以下のようなものがあるかと思います。

・ユーザーインタビューによる課題の発見
・解決しようとする課題の定義
・課題に対する解決策のアイデア発散
・プロトタイプの作成
・ユーザーテストによる仮説検証

ユーザーの課題から解決策のアイデアを決める

例えば、ユーザーインタビューをしていくとユーザーさんが普段の生活の中でどんな課題を抱えているか?という情報を得ることができます。課題となっている事実の原因を深堀りして仮説を立てていくことでその解決策となるアイデアへと繋げることができます。これら一連のことがデザインフェーズの上の図の「アイデア」の範囲に含まれていると仮定します。

アイデアは機能的な発想が先行することが多いかもしれませんが、一度立ち止まってそのアイデアがそもそも、どんなユーザーの、どんな状況の、どんな課題を解決するものなのかをしっかりと定義することが何よりも大事です。

ユーザーさんの課題を真に解決するために必要なことは、解決策である機能から考えるというよりも、課題に立ち戻ってから解決策となる機能を考えていくことです。すぐにでもリリースしたくなるような、もっともらしいアイデアがあったとしても、その背景にあるユーザーさんの課題を明らかにすることが先決です。

課題がはっきりと見えてきた段階で、その原因となっている仮説を立てて解決策となるアイデアを出していきます。例えば、ある課題に対してAとBの解決策が出たとしたら、Aの元にある仮説は◯◯な理由で棄却できて、BはB’にすればもっとよくなりそう、あるいは切り口を変えるとCのようなやり方もあるんじゃないか、といった具合に「アイデア」の段階でどんどん解決策の精度を高めていけるような議論がPMデザイナー間で出来るとベストだと思います。

状況に応じたプロトタイピング

検証する解決策のアイデアを決めることができたら、ペーパープロトタイピングですぐにイメージできるものに思いつく限り作っていきます。紙ベースでも十分意味のある議論ができるので、プロトタイプ作成段階に入った後であればデザイナーとしてはとにかく先に手を動かして考え得るパターンを出し切ってしまうことから始めます。

いざプロトタイプ作成の段階に入ると、どのくらいの精度でプロトタイプを作るのかを、ユーザーテストで仮説検証が可能なレベルであることと作るまでの工数を天秤にかけて意思決定しなければいけません。

僕が所属しているdelyでは、iOSエンジニアがXcodeベースでプロトタイプを作ることもあります。ユーザービリティテストで使うレベルのプロトタイプを作るためにプロトタイプツールだけではどうしても作るのが難しく時間がかかってしまう場合に活躍し、より精度の高いHigh-Fidelityプロトタイプとしてより現実味のあるフィードバックを得やすいと感じています。

ただし、精度が高いプロトタイプを作り込めば作り込むほど無駄なプロトタイプになってしまうということには注意しています。デザインフェーズで一番大切なことは、検証のサイクルを繰り返し回して少しでも多くの不確実性を潰していくこと。状況に応じて最適なプロトタイプ作成の手段を選ぶことが検証サイクルのスピード感を左右すると感じています。

最終意思決定をサポートする

デザインフェーズにおける仮説検証の結果、実装フェーズに移ってリリースするかorしないかの最終的な意思決定はPMに委ねられます。その中でデザイナーが貢献できることは何でしょうか。

本当に極端な例えですが、ユーザーテストで検証した結果そのアイデアが機能しないと分かれば「このアイデアはユーザーさんの課題を解決しません。」と中立的な立場で率直に意見すること。(ユーザーテストを一緒に進めたりしていると、デザイナーPM間で概ね同じ答えが出ていることがほとんどだと思いますが。)それがユーザーさん(市場)に価値のない機能を提供してしまうリスクを回避することに繋がり、結果的に優れたユーザー体験を届けるというデザインの役割を果たすことができると考えています。

作るものを決めるよりも作らないものを決めることの方がプロダクト開発では特に重要になってくるはず。リーンなプロダクト開発をする環境では、デザイナーはデザインフェーズの一連のプロセスを通じてPMがベストな意思決定をできるようにサポートをする補佐役として貢献していくのが良いのかなと考えています。

(補佐役と言う表現はこちらの深津さんのツイートが個人的にすごくしっくりくる表現でした。)

まとめ

【デザインフェーズにおけるプロダクトデザイナーの役割】
・まずは「どんな課題を解決しようとしているのか?」を明確にすることから始める
・不確実性をできる限り早く、多く潰していくためにプロトタイプの精度を状況に応じて上手く使い分ける
・デザインフェーズを通じて、PMの最終意思決定が最善のものになるように補佐する

僕自身まだまだ未熟で手探りな状態なので、リーンなプロダクト開発におけるデザイナーの上手い立ち回り方等についての情報交換などできるとすごく嬉しいです。

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