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分譲マンションの末路

分譲マンションの問題

分譲マンションの問題は本当に深刻になってきています。

どこのデベロッパーも賃貸マンションは建てたがらないですね。それは、賃貸マンションだと自分たちがリスクを抱えてしまうからでしょう。

分譲マンションなら売ってしまえば手を離せてしまいます。
一応、ちゃんと責任を持っているというスタンスで関連のマンション管理会社を入れているが、委託費が高くなっている。そしてそれを問題視してマンション住民たちが委託費の安い管理会社に移るのを狙っているように感じます。管理会社が関連会社でなくなってしまえば、デベロッパーは完全に手を放してリスクがなくなるという感じですね。

また、分譲販売当初に設定している管理費には大規模修繕や解体などにかかる費用はまともに計上されておらず、安い管理費で見た目のコストを抑えて見せているので、あとあと困ることは目に見えています。

さらにタワーマンションなどはこれに輪をかけて問題があります。上層と下層などで財力に差がある。ギリギリの財力で購入した人と、投資代わりにポンと勝った人。その差がある人たちが最終的にこのタワマンをどうするかという議論の時にみんなで合意できるとは思えないですね。

この記事では個人財産なので行政はなかなか立ち入れないと書いてあるが、大きく社会問題化し、公共事業で税金を使ってゴースト化したマンションを取り壊していくようになるのではと不安視しています。

下駄履きマンションの問題

そしてタワーマンションを含めた大規模分譲マンションと同じくらい、いやそれよりリスクを持っていると私が個人的に思っているのが、「下駄履きマンション」です。

下駄履きマンションとは、例えば低層階が商業施設で、中層階や上層階が分譲マンションになっている複合用途のマンションです。
何が問題化というと耐用年数です。

単純なコンクリート造の建物の耐用年数で考えればメンテナンスをちゃんとすれば100年以上持ちます。でもほとんどの建物はほかの事情でもっと早く建て替わっています。
例えば多くのマンションは配管等のメンテナンスがうまくできず大規模改修に相当の金額を要することが分かったのちに全面建て替えを決定することが多くあります。そういった平均でいれば68年くらいと言われています。
一方商業・業務用のビルはもっと建て替えまでの年数が短いです。多くの一般的なビルはテナントに魅力的な建物である期間が短く、新築時は人気でも古くなってくるとテナントとして入ってくれるところが減り、テナント料を低くしていきます。そんな事情がありマンションよりも早く建て替えが決まることが多いです。

さて、ここで下駄履きマンションに戻ると、商業と住居が混ざったマンションは、いつ建て替えればいいのでしょうか?商業床をもっているオーナーが建て替えたいと思った時は、住居としてはまだまだ使えるよう状態でしょう。結局、住民の同意は得られず商業施設は老朽化しゴースト化するかもしれません。そうなるとその後の住居部分もどんどん魅力を失い、後々になっても建て替えの合意も得られず丸ごとゴースト化する可能性があります。

最近の駅前再開発は下駄履きのマンションが多いです。新幹線の広島駅前の再開発で大規模な下駄履きマンションが2つ建てられました。当時の都市計画の担当部署に「将来どう考えてますか?」と聞いたら、「そんな視点持っていなかった」と言われました。

神戸の近くでいれば明石駅前も大規模に再開発をして、すごく使い勝手の良い商業施設が出来ました。でも一棟だけ高級マンションが下駄履きで建っています。たぶん再開発事業の予算の関係でデベロッパーから提案されたのかなと思います。財務部門から高所得者がマンションに入れば住民税が多く入ってくるから、と促されたかもしれません。

都市計画は50年、100年先の予想できない街を、それでも一生懸命予想しながらやっていくものです。タワーマンションや下駄履きマンションがリスクだと「私は」思っていますが、将来そんなものは全く問題にならないかもしれません。何もなければそれに越したことはないですね。

神戸市はこのリスクを回避するための施策を打っています。ただし、三宮駅前地区だけですが。それはまた別途紹介できればと思います。

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