パターン_ぬいぐるみ_

アパレルデザイナーが童心くんぬいぐるみ作るってよ!


「あ、また乗り遅れたなあ…。」

前田デザイン室というオンラインサロンに参加したのが、2018年5月。

慣れないFacebookでのコミュニケーションとメンバーのスピード感に戸惑い、初めはプロジェクトに参加するどころか、コメントすらなかなかできませんでした。冒頭のつぶやきは、いつものこと。人見知りな性格が足を引っ張り、すでに盛り上がっているプロジェクトにはコメントする勇気もありません。後に「マエボン」と名付けられる雑誌プロジェクトも、気が付いたころにはすでに盛り上がっていて、今回もまた同じつぶやきをしていたのでした。

「途中からでも、参加OKだよ!」「気になる人は、zoom来て!」と、前田さんが声がけしてくださったおかげで、zoomによる打ち合わせには参加できたものの、マエボン制作には直接関わることはできませんでした。それは、技術的な不安もあったし、自分のスケジュールとの兼ね合いもあったし、…なんて言い訳はいくらでも出てきますが、結局のところは手を挙げる勇気がなかったんだと思います。

マエボンの打ち合わせチャットであるDiscordには登録させてもらっていたので、紙面が出来上がっていく様子はタイムリーに眺めていました。メンバーによるコメントのやり取りは、アイディアが活発に飛び交い、それも1つのコンテンツになるくらい面白い!かと思いきや、途中まで進んでいたのに企画ごと考え直しになったり、入稿ぎりぎりまで修正指示が入ったり、モノ作りに妥協しないシビアな一幕もありました。でも、そんなときも、フォローする人が現れたり、励まし合ったりして、メンバー一丸となってマエボン作りに取り組んでいました。

初めこそ「手を挙げられなかった」悔しさと、とはいえ「やっぱりできなかったからこれでよかったんだ」という諦めと、複雑な想いを抱えていたのですが、マエボン制作の様子に触れているうちに、そんな気持ちは少しづつ薄れていき、違う感情が芽生えていました。

自分が自分に向けるそんな卑屈な気持ち、この際もう、どうでもよくない?

内に向いたネガティブな思考は、マエボン制作メンバーの茶目っ気頑張り熱量がかき消してくれました。気が付けば、メンバー間のコメントによるやり取りに参加して一緒に盛り上がり、ライターさんによる文字入れが始まるころには、出来上がりを心待ちにするファンの1人になっていました。


マエボン完成!! そして、販促プロジェクトが立ち上がる

8月末、ついにマエボンは無事完成し、今度は「マエボン販促プロジェクト」が立ち上がりました。スレが立ち上がると同時に、続々と参加表明のコメントが書き込まれていく様子を見て、私の中にある思いが沸々と湧いてくるのを感じました。

「マエボンを作ることはできなかったけど、マエボンを届けるお手伝いなら何かできるかも。マエボンメンバーの熱量を、今度は私が世の中に伝える番だ…!

販促プロジェクトに上がっているスレは出来るだけ目を通し、何ができるか、できそうなことがあったら、躊躇せず手を挙げるぞ!と使命感に似た何かをメラメラと内に秘めておりました。

そんな中、関戸さんがマエボンの象徴であり、表紙デザインにもなっている童心くんをキャラクター化してくれました。

その可愛さに、Facebookのコメント欄は大盛り上がり!「今度のトークイベントにこの着ぐるみが着たい」「もしくはぬいぐるみ欲しい」という前田さんのコメントを見て、心臓がドキッ!と跳ね上がりました。

ぬいぐるみなら…、作れるかも


童心くんぬいぐるみ、制作スタート

心臓の音が自分でも分かるくらい、バクバクしていました。一旦、深呼吸して、よし、と心を決める。そわそわしながらコメントを打ち込み、えいやぁ!と送信ボタンを押しました。

「小さいのであれば、ぬいぐるみ作れますよ」

作れますよ、なんて言ってますが、実は、平面の絵から立体のぬいぐるみを創作する、なんてことは一度もやったことない(笑)!でも、このときはできるような気になってました。ここで手を挙げなくて、いつ挙げるんだ!?くらいの気持ちでした。

前田さんからは、「作れるの?」と聞かれただけで、作ってとも、作らなくていいよ、とも言われなかったけど、もう挙げた手を引っ込めることはできません。だって、作ってみたい!ええい、とりあえず作っちまえ!

頭の中で簡単な構想はできていたので、ラフ絵はすぐ描けました。トークイベントの机の上におけるようなサイズ感と背もたれがなくても座れるタイプ。これを立体的に表現するために、どこに切り替え線やダーツを入れるか…、手持ちのぬいぐるみを参考にしたり、ネットで検索してみたりして、出来上がりをイメージしながらラフの展開図(型紙)を作ります。

シーチングと呼ばれる仮縫い生地にこれを書き写して、縫い合わせる。組み立てながら、布をつまむ分量を増減させて微調整。どうもボディーがうまくいかないので、再度型紙から作り直し。それを組み立て、縫ってはほついて、縫ってはほついての試行錯誤を繰り返し…、とりあえずの形が出来上がったときには、日付も変わっていたのですが、集中して全く気に留めていませんでした。

翌日、仮縫い童心くんを写真に撮り、しばし眺めながら考える。めっちゃ中途半端な、ひとまず形にしたってだけの、仮縫い童心くん…。このレベルのものを、お見せしてもいいのだろうか…。ちょっと悩んだけど、せっかくなら皆さんに見てほしい…!! 

Facebookのコメントに、再びえいやぁ!と仮縫い童心くんの写真を投稿。「かわいい!」「一晩ですごい!」と、皆さんが続々とコメントを寄せてくれました。前田さんには、「ツイートしよう」とも言われて、一瞬「え!?こんなレベルで!?」と思いましたが、そういえばそうだ、「完璧主義ではなく、アップデート主義でいこう!」と常々おっしゃているではないか。

「#童心くん立体化プロジェクト」と名付け、この仮縫い童心くんをアップデートさせて可愛くなっていく様子を、Twitterに投稿することにしました。


童心くんぬいぐるみ、アップデート

関戸さんが描いてくれた童心くんと、サンプルの童心くんを見比べる。顔のバランスといい、体型といい、少し赤ちゃんっぽく感じます。あの絵のような、いたずらっ子な少年っぽさを表現したい!

頭の丸みをきちんと丸く、あごは少しとがらせる。手が長すぎ、足が大きすぎるのも、幼く見える要因なので、バランスを見直す。仮縫い童心くんに青ペンで修正線を書き入れ、解体。これを紙に書き写し、再度シーチングを組み直す。縫いながらも、修正したいところを加えて、2ndサンプルのできあがり。

縫いながら修正したのは、後姿!この絵のぷりっとしたお尻も表現したかった…!

ここまでできれば、ゴールは見えた


童心くんぬいぐるみ、本生産へ

2ndサンプルを解体し、紙へ落とし込んで、縫い代付きの型紙に。

生地に型紙を留め付け、1枚ずつ裁断。

本番生地は、ぬいぐるみによく使われるクリスタルボア。細かな毛並みで触りたくなる滑らかさがポイントの生地です。光沢感があり発色も良いので、ピンク&ブラックという強めカラーの童心くんにピッタリ。

さて縫うぞ!…の前に、ぬいぐるみの要である、お顔の刺しゅうを練習。糸を何本取りにするか、何針刺すかで、印象が変わるので、何通りかトライ。

本番の生地にお顔の刺しゅうをして、縫い合わせる。

ひっくり返して綿を詰める。

他のパーツも同様に縫い合わせて、綿を詰める。

それぞれ、ボディーにまつったら、出来上がり!!


「トークイベントに使ってくださーい!」と前田さんに送り付けたら、トーク中に紹介までしてくれたそうです。嬉しい…!


オンラインサロンでのモノ作りは、メンバー間のバトンリレー

マエボン制作に参加できなかった悔しい気持ちを昇華するかのように、童心くんぬいぐるみを作った日々は、「ちくちく作業、楽しい…!やっぱり私は針と糸が好きだ!」という気持ちを思い出させてくれました。最近は日々の忙しさに追われ、あまりモノ作りができていなかったのですが、童心くんぬいぐるみ制作をきっかけに、また創作活動の日々を取り戻しています。(最近はもっぱら、お直しに夢中。)


あと、この「前田さんが表紙の童心くんを生み出し、それを受けて関戸さんがキャラクター化し、さらにそれを私がぬいぐるみにする」という流れが、クリエーションのバトンリレーをしているようで、すごく嬉しかったです。

「マエボンを興味を持ってくれる人に届けよう!」「童心くんを知ってもらおう!」という思いの元、それぞれが自分のできるクリエーションでアウトプットする。これって、1人でやる創作活動や、やることが決められている会社では、なかなか経験できないことなんじゃないかな。「やりたい」という気持ちで自発的に動くことができる、オンラインサロンならでは!


こんな機会を与えてくれた、マエボン制作メンバーに心から感謝してます。とりわけ、前田さんと関戸さんには、とびきり大きな感謝です…!!


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