見出し画像

そもそも性教育ってなんだろう

「知らないうちに自然に一通りのことを覚える」
我が国の首相が国会で、子ども向けの性教育を否定してから14年が経ちました。

「子どもは性のことを勝手に覚えていくもんだ」
「清濁合わせたものに触れさせておけばよい」
「大人になってから知れば良い」
こんな声が今も聞こえています。

この手の性教育を必要じゃないと考える人たちは、性教育が一体何を教えるのか分かっていないように私は思っています。
性教育は単純に性器の名称と射精、月経の簡単な仕組み、性交渉を教えるだけのものではないのです。

性教育って何だろう

ユネスコは性教育のガイドラインを出していて、その中で「包括的な」性教育の重要性を唱えています。
「包括的」。ちょっと難しい言葉ですね。かみ砕けば色々な物を含んだとか、そんなニュアンスの言葉です。

このガイドラインで扱うのは生殖、relationship (良い日本語訳が思いつきませんが、パートナー間の関係について)、健康、性暴力、ジェンダー、文化、体の発達など多岐にわたります。
日本で一般的に考えられている性教育の守備範囲は主に体の発達と生殖ぐらい。いかに狭い分野しかやっていないのかが分かります。

ユネスコが提唱している性教育は範囲が広いだけではありません。こども達の年齢の応じて内容を変えていくようにガイドラインでは学習が組まれており、スタート年齢は5歳から。
日本では公立小学校で一般的に4年生からスタートです。しかも体の発達の一部を扱うのみ。中学までの義務教育課程では具体的な性交渉については扱わないことになっています。

小さい頃から性教育を始める理由

性教育を4年生からスタートして良いのでしょうか。私たちはそう考えていません。

日本はアダルトコンテンツの天国です。スマホで無料のアダルト動画を観れるし、本もDVDも簡単に手に入ります。年齢認証を課しているところもありますが、「18歳以上ですか?」の問いに「はい」と答えれば良いだけ。性的に歪んだ情報に晒されてる状況が子どもにとって良い状況とは思えません。

小学校高学年からセックスをする子も出てきます。そして日本の刑法における性的同意年齢は13歳。この年齢の設定自体に大きな問題を孕んでいますが、中学校の学習要綱に性交渉は含まれていません。
歪んだ性の情報には簡単にアクセスできるのに、正しい知識を得ていない。こんな状況で「性的同意が可能」とされる状況です。

また、みなさんも記憶にあるかもしれませんが、思春期に突入してから突然性の話を大人から言われても恥ずかしさで大人の声は耳に入らない子もいます。

私達は明確に「何歳から性教育をスタートするべき」と年齢に線引きはしませんが、やっぱり小学4年生から性教育をスタートするのは遅すぎます。

私達が目指すもの

私達が行っているワークショップは未就学児から対象です。
子ども達に性交渉について教えることに抵抗感を示す方も世の中にはいるのかもしれません。ワークショップでは性交渉について学んだ後、子ども達に聞いています。「セックスは誰とでも簡単にして良いことだと思う?」と。すると子ども達は、性交渉は特別な行為だから特別な相手と行うという答えが返ってきます。

ユネスコの提唱する性教育はとても広い範囲をカバーしています。だから私達のワークショップでその範囲全てをやることは不可能です。
私達のワークショップの目標は「家庭内で性の話をするきっかけを作る」こと。ワークショップの後に家庭内で性の話を抵抗なく、楽しく話せるようになって欲しいと考えています。

性教育は範囲も広く、年齢に応じて必要な知識も異なります。だから子どもの成長に応じて、そして必要に応じて色々な正しい内容の性教育に触れる機会が必要です。
また性の話は生活に密着したものなので、各家庭のバックグラウンドも考慮する必要があります。性に対する考え方、人種、宗教、家族の構成など関係する事柄はたくさんあります。
だから色々な性教育を選べる世の中になって欲しいと思ってます。

学校で、本で、メディアで、街中で。正しい知識と思いやりに基づいた性の話に何度も触れられる社会をつくる。私達はそんな思いで性教育をしています。

アクロストンのワークショップ

私達が展開しているワークショップや小学校での授業の様子の記事を下に貼ります。
もしよければご覧になって下さい。

#性教育 #ユネスコ #教育 #小学生 #未就学児 #ワークショップ #コラム #アクロストン

妻・夫。二人とも医師。子どもに必要な性の知識を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにしてお届けします。 https://acrosstone.jimdofree.com https://www.facebook.com/acrosstone インスタグラム:@acrosstone