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Van Dieman's Inkの万年筆インクを何色か試してみた

Van Dieman's Ink、試しました。
といってもサンプルを実際に購入したのは去年の後半の後半くらいでその後色々あってゆっくり試せず(早く使いたいからって初めて使うメーカーのインクをメキシコに持ってくのは考え直した方がよかったかも)、やっとゆっくり通常の環境でインクを試すことができました。もはや次試したいインクを考えたくなるくらい時間が経ってしまって色々反省。

以前オーストラリアの万年筆インクメーカーとしてロバートオスターのインクを紹介しましたがVan Dieman's Inkはもう一つのオーストラリア産インクです。「Van Dieman's Land」というのはタスマニア島の古い名称で、Van Dieman's Inkはタスマニアで作られているインク。タスマニアはラリア本土とは自然環境を始め色々違って本土にはない固有種なども生息していますが、Van Dieman's Inkはそんなタスマニアのユニークな自然・文化的要素を色彩として表現したインクを多く揃えています。
(公式サイトで見るといくつかのコレクションに分かれているようですがタスマニア関係モチーフ以外にも猫シリーズとか古代ギリシャの英雄シリーズなんかもあるみたいですね)

Van Dieman's Ink全体で特に目立つのは色の数に対してラメインクの割合が多いこと、そして薄い色が多めなことかな。
ラメインクに関しては後でもうちょっと書きますが私がサンプルを買ったオーストラリアのPulp Addictionというオンラインストアだとインク名にはっきりラメインクであることが書いてないことがあるので念のため公式サイトでダブルチェック推奨です。

今回(随分前ですが)私が購入したのはタスマニア関連のインク4色。薄い色を3つ選んだのですが3色とも思ったより薄かった。

モチーフとしては植物3昆虫1

参考までにモチーフになっている生物の学名を。
Leatherwood(実際のモチーフはそのハチミツですが)=Eucryphia lucida
Macleay's swallowtail=Graphium macleayanus
Pink fairy orchid=Caladenia latifolia
Eucalyptus regnansはそれ自体が学名です。

3つの薄い色のインクはどれも書いている途中(=インクが液体の間)はもっともっと薄い色で色々心配になりますが乾くとちょっとは色が濃くなります。これはおそらくまだ試してない他の薄いインクもそう。
とはいえMacleay's swallowtailはうっすいなあ!(笑)実際のモチーフの蝶を調べてみると確かにこういう色なのでまあそういうものなんですが(Pink fairy orchidもしかり)。ただこれはこれで好きな色なのでうまいこと使える使い方がないか探りたいです。

van Dieman’s以外のインクでこの薄緑に合いそうなものを出してきた。意外と色彩雫の月夜とかロバートオスター smokescreenみたいな落ち着いたインクの近くが良さげ?

あと使い心地に関して4色に共通しているのがフローがぬるぬるしない、水気があって色が出渋ることがちょこちょこあること。上のサンプル画像作るのに万年筆は全部パイロットの鉄ペンの中字を使いましたがちょっと線が途切れたりすることもあったり。別の字幅とかつけペンとかで使ったらまた変わるのかな。

モチーフになった植物は違うけどとても似たピンク

Van Dieman's Inkで面白いなと思うのがBirds of a Featherコレクションで一つの種類の鳥の各部分をとって複数のインクのモチーフに仕立てているところ。オシドリやヨーロッパハチクイなどはどこを取っても魅力的な色彩をまとっていて一種を一色で表すのが勿体ないと確かに思いますし、同じ種の鳥の色彩同士ならインクとして組み合わせても上手くいくはずなので色を楽しむ上で様々な楽しみがあるコレクションです。

それからVan Dieman's Inkのラメインクは他ではあまり見られないような、そして大胆なデザインのインクがいくつもあります。ベースの色、Sheenの色、そしてラメの色の組み合わせでモチーフをどう表現してくるかにびっくりするものも。メーカー側の思惑はわかりませんが個人的にAzure Kingfisher(Wildernessコレクション、サンプル画像はこちら)はそういう意味でVan Dieman's Inkを代表するインクだと思います。
ちなみに今回はラメインクは購入しなかったのでどういう挙動のインクかはまだ分かりませんがちょっと変わったラメインクを探しているなら一見の価値あり。

あ、書き忘れてましたがVan Dieman's Inkをボトルで購入する場合スタンダードなボトルのサイズは30 mLだそうです。普段使いのブルーとかブルーブラックとかじゃない色が多いですしラメインクの量としてもこれくらいがちょうど良さそう。瓶の形もまた他のメーカーと違うのでコレクションに加えたいです。

冒頭から書いていますが今回試したのはラメインクを含まない4色のみ。まだまだVan Dieman's Inkについて総合的な評価をするには程遠いですし、その世界を十分に探索できていない気がします。まだボトルを買うのは先になりそうですがまたサンプルで別の数色を試したい、となるとどの色が気になるか。

ラメインクだったら前述通りベースカラーとsheenとラメのカラーの組み合わせが面白いのを一つは選びたいですね。BioluminescenceとかParrot fishとか。もうちょっとおとなしめでイメージがしやすいSunken treasuresとかSnowy mountain sunsetも気になる。
あと既に持ってるor試したインクでなかなかカバーできてない色彩としてtiger snake(砂系の茶色)とかEuropean bee eater wing(青寄りの若草)など新鮮な出会いも求めています。そもそもtiger snakeは珍しく蛇モチーフなのでそれだけで試さないと。

それから今使っている青に満足していないわけじゃないんですがやっぱり青色インクは気になる。Native cornflowerとかBlue jay wingとかもしかしたら他のメーカーのインクでも同じような青があるのかもしれないけど生物の名前との組み合わせも含め惹かれてしまう。

実際に新しいサンプルを買うのはちょっと先になりそうですが新しい色、そして新しい組み合わせや使い方(字幅など)をこれからも開拓していきたいですし、インクをきっかけにタスマニアの自然や文化に触れる機会が広がるといいな。
そしてラインアップに関しても古代ギリシャのの英雄シリーズはだいぶ最近発売されたものらしいのでこれからも新しい色がシリーズで出るかもしれませんね。いずれは落ち着くものなのかもしれませんが新色もまだまだ楽しみに。