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「ユニバーサルマナー検定(不動産)」とは?不動産実務で求められる“合理的配慮”を学ぼう

2024年4月の改正障害者差別解消法の施行によって民間事業者による「障害者への合理的配慮」が義務化されます。公共広告でご存じの方も多いのではないでしょうか。
一口に“障害”といっても多岐にわたり、程度も人それぞれ異なり、求められる合理的配慮や対応も異なります。
FRIENDLY DOORではこれまでも、障害者に対してフレンドリーな不動産会社と当事者をつなげる仕組みや、不動産会社が実務レベルで生かせるような接客チェックリスト、セミナーを提供してきました。
そしてこのたび、住まい探しにおけるコミュニケーションバリアの解消、ユーザーの住み替え満足度の向上を目的に、2023年10月31日(火)より株式会社ミライロと共同で「ユニバーサルマナー検定(不動産)」の提供をスタートしました。
今回はその内容をご紹介します。

※当事者の方々の思いに寄り添うとともに、当事者の方の社会参加を阻む様々な障害に真摯に向き合い、解決していくことを目指して、本文では「障害者」という表記を使用いたします。 


「障害者への合理的配慮をどのようにすべきか」 発端は不動産会社の不安の声から

障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら“共に生きる社会(共生社会)”を実現するための施策として、2013年6月に「障害者差別解消法」が制定されました。
以降、改定が繰り返されていますが、改正障害者差別解消法で定められた、2024年4月の民間事業者による「合理的配慮」が義務化に注目が集まっています。
 
これまで努力義務であったことが義務化されるこの改正法。「どう対応すべきか不安だ」といった声が、不動産関係者からも挙がっています。
 
そこでLIFULLでは、当事者のニーズを適切に理解した上で、住まい探しにおける困りごとや、求められているサポートを学ぶことができる検定「ユニバーサルマナー検定(不動産)」を、株式会社ミライロ(以下、ミライロ)と共同開発をスタート。2023年10月31日より受付を開始しています。
 
ミライロは、ユニバーサルデザインの考えをベースに、障害者雇用・ダイバーシティ経営・カスタマーサービスの向上・マーケット開拓・施設監修・商品開発などの事業を手掛けるリーディングカンパニーです。多岐にわたる事業の一つとして、“自分とは違う誰かの視点”に立ち行動するためのコミュニケーションやサポート方法を学ぶことができる「ユニバーサルマナー検定」を運営しています。

「ユニバーサルマナー検定(不動産)」とは?

ユニバーサルマナー検定は、株式会社ミライロが主催・運営し、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会が認定する検定です。
多様な方々と向き合う上で必要な「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけることを目指して開講されました。
 
今回サービス提供が開始された「ユニバーサルマナー検定(不動産)」は、ミライロ提供の「ユニバーサルマナー検定」3級(ユニバーサルマナーの入門講座)をもとに、住宅不動産会社において不動産実務に関わる方を受講対象に設定。不動産実務により即した内容で構成されています。
不動産業界に向けたユニバーサルマナー検定の開発は初めての試みです。
 
受講方法は“対面受講”“オンライン受講”の2つの方法を用意。障害者当事者が講師を務め、対面、オンラインともに受講時間は約2時間半となっています。
講義とグループワーク(オンラインの場合はチャットにて意見交換)で構成されており、“生の声”でインタラクティブかつ体系的に学べます。 

講座を修了すると発行される認定証

検定受講者には、ユニバーサルマナー検定(不動産)のロゴマークが入った認定証が発行されます。店頭に掲示することで、お客様の安心につながることが期待されます。

講座をちょい見せ! 実践的なワークで気づきを

具体的にどのような内容なのか、講座で使用する資料を少しだけご紹介します。
 
ユニバーサルマナーの講義では、基本編を学んだ後、演習問題応用編として不動産会社の実務に関連したグループワークが行われます(オンラインの場合は、単独ワークとなり、チャットにて発表となります)。
 
演習問題応用編では、状況に応じた適切な対応はどんなものか、講師より問題が提示されます。
前パートの講座をもとに各自考え、回答をまとめます。回答を発表することで自分事として事態を捉えられるだけでなく、他参加者と共有することで、新しい気づきや学びが得られるでしょう。
 
では、実際に使用される問題の中から1問ピックアップして見ていきましょう。 

※写真はイメージです。実際に講座内で使用する画像とは異なります 

画像を使用して、さまざまな状況を仮定し、想像を広げる実践問題です。
 
不動産会社の店舗内で、スタッフと車いす利用者のお客様がテーブルを挟んで会話をするシーンを切り取った1枚の写真。この画像をもとに、障害者の来店シチュエーションを想定してどんな人がどんなことに困るかを考えます。
 
最も目につくのは、車いす利用者のお客様がカウンターに座っている様子です。車いすに乗っている場合、人によってはカウンターの高さや奥行が合わないことがあります。
特に物件の申し込みなどで書類の記入を伴う場合、スムーズに書くことが難しくなってしまいます。その場合、椅子に座りたいというご要望もあるかもしれません。
ですが、ただ椅子を用意すればいいわけではありません。移動に便利そうなキャスター付きの椅子は、乗り移る際に車輪が動いてしまい安定した座り直しができないため、不向きです。ご案内する椅子の種類にも目を向けてみましょう。
 
そのほかにも、観葉植物を置いている場合には動線をいかにして妨げないようにするか、車いすだけでなく聴覚障害者・視覚障害のお客様にも必要な配慮など、1枚の画像に驚くほどたくさんの“気づき”が隠れています。

画像を使った問題以外にも、障害別のコミュニケーション方法や、言葉で伝える際に気を付けておくポイントなど、多角的な学びが詰まっています。詳しい内容はぜひ受講してご確認を。

おわりに

ユニバーサルマナー検定(不動産)での実践的な学びによって自信がつき、行動を起こす際のハードルをかなり下げられるはずと、FRIENDLY DOORチームでも期待をしています。
また、対面受講・オンライン受講のほか、“eラーニング”での受講方法も今後追加を予定しており、さらに受けやすくなります。
「ユニバーサルマナー検定(不動産)」の申し込みはミライロの問合せフォームより受付中です。まずは気軽にフォームにてお問合せください。

▼LIFULL NEWS 住宅弱者問題の解決を目指すLIFULL HOME'S「FRIENDLY DOOR」が「ユニバーサルマナー検定(不動産)」をミライロと共同開発

▼ユニバーサルマナー検定

▼参考記事:車いすユーザーの住まい探し

▼参考記事:FRIENDLY DOOR使い方解説

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