#11 大田誠師[そら]

写真が送られてきた
実家の猫が痩せてオムツをしている
大きく見えるオムツと
その頼りないか細い体が父の最期と重なった

それが一昨日のこと
そして昨日の午後七時に息をひきとった

僕がうんと子供の頃
母に何故うちで動物を飼わないのか尋ねた
死ぬのが悲しい、と返ってきたが
そんなことよりも何よりも
同級生を羨んでペットがほしかった僕は
納得がいかなかった

それから程なく
ひょんなことから大田家では猫を飼うようになる
死や悲しみ、おかしいエピソードを家族で共有し合い
思い出をこしらえては懐かしんだ

「死ぬのが悲しい」と言っていた当時若かった母親は
悼みながらも前向きなメールを寄越してきた

糖尿病になり、
視力を失いながらもよく生きた
甘えん坊な猫だった

そろそろ寝なきゃな
おやすみなさい

2016年2月6日

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