企画が思いつかない人は、きっと圧倒的に「行動」が足りないのだ

私のオシゴトは本を作ることだが、もっと根本的に仕事の内容を考えると「売れる本の企画を考えること」が仕事である。はっきりいって、企画と人さえいれば、あとの制作業務は誰がやってもあまり変わらない。

しかし、この「企画を考える」というのがムツカシイ。そもそも、現在は各出版社の刊行点数が増え続けていて、ありとあらゆる本がすでに出回っているのだ。私は書店に行ってぶらつくたびに、「もう新しい本なんてわざわざ作らなくてもいいんじゃないだろうか」という考えに襲われる。かといって、あまりにも奇をてらった本は、当然のことながら売れないし、会社の了承も得られない。ムツカシイ。

んで、企画が思いつかないと私がなにをするかというと、とりあえず「行動」する。具体的には、講演会とか読書会とか交流会とか、そういうイベントに参加しまくったり、とにかく本を読みまくったりするのだ。イベントや本は、とくになんら目的意識がなくてもかまわない。とにかく、できるだけたくさんいろいろな人にあって話をし、情報をかき集めるのだ。

そういうことをやっていると、急にふわっと頭の中に「こんな本があったらおもしろいな(読みたいな)」というアイディアが降ってくる。そうしたらあとは、Amazonとかですでにそういう本があるのか、あるとしたら誰が書いていて、どのくらいの売れ行きか――ということを調べてみるのだ。似た本があればそれを買って読んでみるし、著者に連絡を取って一度話を聴きにいったり、同じようなことをネット上で主張している著名人がいないかを探してみる。会社に提案するのは、そういう風に企画を練って「イケる!」と思ってからだ。

出版に限らず、世の中には「企画」をオシゴトにしている人がいると思うし、そういう人は少なからずなんにも思いつかずに悶々とする期間があると思う。そういうときは、とりあえずいろいろと「行動」してみるしかない。直接自分の仕事に関係のないことでかまわないから、とにかくどこかに遊びに行ったり、カルチャースクールを受講してみたり、美術館に行ったり、とにかく目に付いた本を読みまくったりしてみよう。

そうすると、ふわっと自分の中に何かが降りてくる。たぶんね。

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