午後に眠くなるのは血糖値のせいじゃないか説

私は午後、猛烈に眠くなることが多い。もちろん、ランチを食べ過ぎてるのが原因だろうことはうすぼんやり思っていたが、具体的に、自分の体のなかでどのようなメカニズムでこの眠気が発生しているのか気になっていた。

午後の眠気の正体とは

その答えのひとつを示唆してくれたのは、ベストセラーになり、「睡眠負債」も流行語大賞にノミネートされたこの本の一部。このような午後の眠気は、「アフタヌーンディップ」と呼ばれる。

「アフタヌーンディップの原因は、睡眠負債とサーカディアンリズムの影響が大きい」と言うと、首をかしげる人もいるだろう。
決まって、「えっ、ランチを食べたせいでしょう?」と反論があるのだ。
だが、これまたスタンフォードの研究で「昼食は午後2時ごろに起きる入眠潜時の短縮(眠気の襲来)には関係ない」という実験結果が出ており、生物的に、ランチは午後に眠くなる要因ではない。
(中略)
ランチ後に訪れるのは、厳密にいえば「眠気とは違う倦怠感」といったものだろうか。両者はなかなか区別がつきにくいが、少なくとも「朝食後眠い」というのは、聞いたことも、経験したこともない。
(中略)
あまりに重い食事をとると血糖値にも影響が出て、極端な場合はオレキシンなどの覚醒物質の活動を抑えてしまう可能性もある。

午後に眠くなるのは人間の仕組み的に仕方ないとしても、やっぱり食事の内容でその程度はやわらげられるのかもしれない。

おそらくキーワードは「血糖値」なのだろう。ということで、次に参考にしたいのは、同じくヒットしているこちらの本だ。

昼食を食べすぎると何が起こるのか

こちらはガッツリと「アンチ糖質」を掲げている一冊。

「昼食を食べると、決まって眠くなる」という人がいます。午後の仕事に向けてエネルギーをチャージしたつもりなのに、逆の結果になってしまうのです。
これは、昼食に糖質をたっぷりとってどかーんと上がった血糖値が、反動でどかーんと下がって低血糖状態に陥っているからです。
とくに、こういう状態を引き起こしやすいのが牛丼やラーメンといった「単品もの」です。うどん、そば、パスタ、カレーライス、にぎり寿司なども同様ですが、おかずや付け合せのない一品ものは、そのほとんどをごはんや麺類など糖質が占めています。
しかも、ひたすらその一品を食べ続けることになり、結果的に早食いにもなります。
大量の糖質を早食いすればどうなるか、もうおわかりですね。

本書で繰り返し述べられていることだが、とくに最悪なのは缶コーヒーや栄養ドリンク、ジュースなど、「多量の糖質が含有されている液体」であるという。これらは液体であるがゆえに溶けた糖質がすばやく体内に吸収され、あっという間に血液中のブドウ糖濃度を上昇させる。

血糖値スパイクの恐怖

血糖値がすばやく上昇すると、血糖値(グルコース)スパイクという状態になる。これはジェットコースター血糖とも呼ばれるもので、要するに短時間で血糖値が激しく上下することだ。

この状態はすい臓や血管に大きな負担をかけるため、糖尿病や血管系の病気のリスクを高めるとされる。しかもそれだけではなく、こちらの本によれば、精神にも影響を及ぼすようだ。

糖質のとりすぎや体質、腸のトラブルなどによって血糖値が急激に上がると、その調節のためにインスリンなどのホルモンが大量に分泌され、血糖値を下げようとする。
すると、今度はそれに反応して下がりすぎた血糖値を上げようと、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチソールなどのホルモンも放出されてしまう。その結果、自律神経が乱れ、心にも体にもさまざまな症状があらわれるというわけだ。
インスリンの大量分泌によって血糖値が下がりすぎれば、脳にエネルギー源として供給されるブドウ糖が不足してしまうため、集中力の低下や強い眠気に襲われることになる。
また、血糖値を上げるために興奮系のホルモンであるアドレナリン、ノルアドレナリンが大量分泌されれば、動悸や手のしびれ、筋肉のこわばりや頭痛、精神面ではイライラや不安感、恐怖心といったものがあらわれることになる。

頭痛も血糖値が問題かも?

なお、私は頭痛もちでもあるのだが、この本では、原因不明の頭痛も血糖値が問題である可能性を指摘している。

ちなみに今、頭痛の人が増えているというが、私はその多くが背景に血糖値の乱れがあるのではないかと思っている。
原因不明の片頭痛や、脳波やMRIなどいろいろ検査をしても何も以上が見つからない新型頭痛などがメディアで取り上げられることも多く、頭痛外来も予約でいっぱいなようだ。しかし、血糖値スパイクが起こり、次に血糖値が急激に下がったところで血糖値を上げようと分泌されるホルモンが一斉に出るとき、頭痛が起きることがよくあるのだ。

全部やる必要ないし、無視することもない

もちろん、私の眠気や頭痛が本当に血糖値が原因なのかどうかはわからない。また、健康本はすべてそうだが、どれも鵜呑みにしてはいけないのはいうまでもない。これらの本に書かれているのは「現在の科学」によって明らかにされていることであって、10年後も本書の内容が正しいかどうかはわからないのだ。

もちろん、だからといってこうした本に描かれていることをすべて無視するのも愚策だろう。本の内容の一部だけ、生活の中で徐々に実践し、自分の体感で続けるべきかどうかを決めればいい

というわけで、私はけっこうな頻度で飲んでいた缶コーヒーや清涼飲料水をやめた。また、ランチをひとりで食べる時も、コンビニの惣菜パン・菓子パンで済ますのはやめ、炭水化物と食べる量を控えるようにしている。

ちなみに、セブン‐イレブンだとちゃんぽんスープに麺が入っていない商品もあって、最近のお気に入り。

野菜を食べよう!ちゃんぽんスープ - セブン-イレブン~近くて便利~より

ついでに『シュガーな俺』も紹介

ついでだが、プライムリーディングで読んだこちらの本は、実際に若くして糖尿病になってしまった著者の経験に基づいたオートフィクション。

「オートフィクション」というのは私もこの本で初めて聞いたが、要するに「いろいろ脚色して小説としてのエンターテイメント性を付加した自伝的小説」のことらしい。糖尿病は見た目が痩せていても罹患するし、重症化しないと自覚症状がない。また、先に説明した血糖値スパイクがひどいと、結局膵臓が疲弊して糖尿病につながることも多いようだ。


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