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PMFとは何か?スタートアップはPMFを使わなほうがいい理由

最近スタートアップのプロジェクトに参加するとチームメンバーからPMF(Product Market Fiit)という言葉を聞く機会が増えてきました。

しかし、それと同時にPMFは本当はどういう状態かよくわからないどのように評価したらよいかわからないといった相談をされることも増えました。

それもそのはずPMFという言葉はマーク・アンドリーセンが提唱した言葉なのですが、それを利用する人たちの中でもその言葉の解釈はそれぞれで違っているようです。

Paul Graham PMFとは単に、人々が欲しいと思うのものを作ること。make something people want.
Mark Andreessen 良いマーケットと、そのマーケットを満足させるプロダクトが存在する状況がPMF。
Michael Skok 「Day1 からプロダクトが市場全体にフィットすることはない。MVSは潜在顧客のうちのあるセグメントが持つニーズと、提供しようとしているプロダクトがあってるかに焦点を当てるのが重要」と付け加えている。
Clement Vouillon PMFとは、プロダクト(バリューのある一連のfeature)が、顧客(ニーズを規定する人々)に響いている状態であり、マーケティングなどによってコンバージョンさせる方法を理解できている状態だという。
Andrew Chen PMFとは、ユーザーが自分自身がそのプロダクトを欲していると認識しており、そのプロダクトに対して満足してる、happyである状態のことをさす。
Eric Ries PMFとは「あるプロダクトに対して広範囲の人々がひびきあい使っている状態」という。マーケティングなしでも急速な成長を見せる状態のこと。
Sean Ellis ユーザーに対し、「もしこのプロダクトがもう使えなくなったとしたらどう思いますか」とたずねて、30%の人が「とてもがっかりする(very disappointed)と答えたらPMFだという。この数字自体は若干恣意的であるものの、100社くらい比べて得た数字であり、パターンであると言える。トラクションで苦労するサービスはこれが40%に達しない。( “The Startup Pyramid”)

参考:https://note.mu/nakaji_memo/n/n75bd4bc4509a


結局、PMFってなに?

人によって解釈が異なりますが、共通しているのはPMFはサービスの”状態(段階)”を指す言葉ということです。どんな状態かは下記のような項目(課題、ソリューション、プロダクト、販売価格、販売チャネル、ユニットエコノミクス、マーケット規模)を適切に設定、実現できているかどうかで決まります。

PMFの定義の違いが生まれる理由は、PMFをProduct & Market Fit(プロダクトとマーケット両者が成立する状態)という意味で利用する人と、Product Fit to Market(プロダクトがマーケットで成立する状態)という意味で利用する人がいて、さらにはMarketの解釈が販売価格、販売チャネル、ユニットエコノミクス、マーケエット規模全てを含む場合と部分のみ含む場合があるからです。

めっちゃややこしいですね。無視しましょう。


4つのFit(フェーズ)

そんな厄介で便利な言葉PMFですが、安易に使うとみんなが混乱してしまうのでSEREALではあまりプロジェクトで使いません。(便宜上使う時もありますが。。)

大事なことはPMFとはサービスが目指すべき一つの中継ポイント(フェーズ)であって、このフェーズを含めたいくつかの段階を踏んでサービスを育てることで失敗の少ないサービス開発ができるということです。

SEREALではサービス開発のフェーズを下記の4フェーズに分類してプロジェクトを進めています。(こっちの方が主語と述語だけなのでシンプルでわかりやすいはず)

1. Problem Fit
2. Solution Fit
3. Product Fit
4. Marketing Fit

それぞれどのような状態か定義しています。その検証方法もいくつかありますが、今回は定義だけ説明させてください。(検証方法を聞きたい方は連絡ください)

1.Problem Fit

ユーザーに課題があり、解決を(潜在的でもOK)望んでいる状態です。

【例】一ヶ月以内に痩せなければいけないがどうやったらいかわからない、自信がない


2. Solution Fit

ソリューションが課題の解決になっており、ユーザーが利用してみたいと思っている状態です。

【例】毎日飲むだけで一ヶ月後に10kg痩せる魔法の飲み薬があるなら利用したい

ソリューションはアイデアベースでいいのですが、ユーザーが具体的に利用をイメージできるもの、その効果を実感できるもののほうがいいと思います。また、ユーザーが払う対価(時間や金銭的コストなど)もこの段階で検証できているとよいです。


3. Product Fit

ソリューションをプロダクトベースで実現できていて、ユーザーが利用し、価値を感じている状態です。

【例】薬を毎朝飲み続けることができ、一ヶ月後には10kg以上痩せていた

アイデア(ソリューション)はよくてもそれをプロダクトとして具現化する、実際に利用してもらう、利用して価値を感じてもらうまでには多くの課題(欠陥)の解決が必要になります。多くのスタートアップはこのProduct Fitができなくて終わってしまっているように思います。

実際スタートアップと一緒にプロジェクトをしているとこの段階(プロダクトローンチ後)でいろんな課題が次々に浮上し、その解決に追われることになります。実際の事例はお伝えできないのですが、上記ダイエット薬サービスの場合Product Fitしないパターンは下記のようなものがあります。

・毎日飲むことができなかった、飲むのを忘れてしまった
・思ったより薬が大きいくて飲みづらい
・めちゃめちゃ苦かった、甘くしてほしい(イチゴ味希望)
・期待したほど効果がなかった
・喉に詰まって死にかけた慰謝料よこせ
・20日続けたけど1kgしか痩せなかった、最後の1週間で劇的に痩せるとは知らなかった

ユーザーに対して知らねーよ、ちゃんとしろよ!と言いたくなるときもありますが、ユーザーの声を聞き、解決すべき課題を地道にひとつひとつ潰していくことがいいサービスをつくる唯一の方法であり、これがちゃんとできるかが起業家の本気度がわかる部分でもあります。(ここでやる気なくなる人もいます)


4. Marketing Fit

販売チャネル、販売価格、市場規模、ユニットエコノミクスそれぞれに経済的合理性があり、事業形態(スタートアップかスモールビジネスかなど)と合致している状態です。

Fitしている状態の具体例を書くのが難しかったのでFitしていない状態の具体例を記載しておきます。

・営業マンを使って販売しなけばならないがLTVが4000円しかない
・市場が小さすぎて上場できる規模が出せない
・CPAが5万円だがARPUが1万円しかない
・市場はあるがその市場にリーチするチャネルがない


SEREALではこの4つのFitが達成できた状態をPMFと呼んでいます。

Marketing Fitのフェーズは今後もう少し細分化するかもしれません。販売チャネルの選定と最適化は結構大変なのでChanel Fitフェーズを切り出すかも。


最後に

いかがでしたか?

PMFとはサービスが目指すべき一つの中継地点であり、PMFを含む複数の中継地点を設置することでスタートアップのような日々変化し続ける状況であっても、今何にフォーカスすべきか、変化はどの範囲でするべきかをチームで共有、明確にすることができます。

みなさんのサービスは今どのフェーズにいるでしょうか?

今どんなフェーズにいるかわからない、評価、検証方法を知りたいという方は無料で相談に乗りますのでご連絡ください。では!

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