【赤の少女と白い虎】 23夜. 宇宙のゲート

◆ 前回 → 22夜. 龍の息吹

◇ 1話目から→  はじまりの物語

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「こうやっていても何も始まらぬ。ただ終わりゆくのみ。この小さき娘の体であの門を開いたということは、閉じる力もあるはずだ。
見よ、この娘の光を。闇ゲートの者ではないのはみなもわかっているだろう。ひとつ、この娘に任せてみようではないか」
「正気か?」「そんな面倒なことをせずとも全て閉じて始めればよい」
激しい反論の嵐の中で、あの声が言い放った。
「確かにその方が早いし円滑だ。だが私は正直、それにも飽きた。今まで見たことのないものを見てみたい。そう思わぬか?」
「そこまでの価値があるとでも?」冷たく嘲笑う言葉が飛んだ。

「価値などない」その声ははっきりと言い切った。
「だから価値をつけてみたいのだ。見てみたいと思わぬか? 価値とやらを」
「ふん、くだらぬ」「でも面白そうだ」「無駄だ」「しかしどうせ無駄ならみたことのないものを見てみるのも一興」
たくさんの声が騒音のように響き渡る中で、わたしは何もできずただぼんやりと佇むしかなかった。

「娘よ」

ひとしきり続いたざわめきが小さくなり、あの声が聞こえてきた。
「本来であればここで収縮で消滅する宇宙がここにある。だがお前に我らの叡智を託そうと思う。それがどうなるのかは誰にもわからぬ、未知の選択だ。我らはここで消失するが、うまくいけばお前をあの宇宙へ戻すことになるだろう。そうなったなら、世界がどうなるのかを我々に見せるがよい」

「……消失するのになぜ見れるのですか?」
「……少し眠るようなものだ。いずれまた目が開く」
「言っていることが全くわかりません」
「わからずともよい」
そこへ別の声が割り込んだ。
「そろそろ限界だ」

するとあの声がひときわ高く響いた。
「みな、準備はいいな。いくぞ」どんどん声が小さくなっていく。
わたしは慌てて言った。
「待って! わたしはどうしたらいいのですか?」
「それをお前が決めるのだ。ほら、お前が欲しがっていた龍をおいていくことにしよう」
目の前に大きな赤い爪と、青い鱗が一枚浮かんでいた。


「世界の礎になるのだろう? ならばなってみせよ」

遠のく言葉の代わりに、爪と鱗がどんどん大きくなり、わたしに向かってものすごい勢いで向かってきた。
わたしはそのまま気を失ってしまった。

〜つづく

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連載【赤の少女と白い虎】文・あだちあきこ

絵・津山文子。ある王国のおわりとはじまり。神話の成分、すこし。
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