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飲食店を悩ませる「辛口クチコミ」を、そのまま鵜呑みしないで欲しい理由

2015年03月02日に書いた記事のリバイスです

以前、書いた予約のドタキャンについての記事「予約のドタキャンする人は仕事も出来ない、モテない「空気読めない人」」は、おかげさまで有難いことに自分の想像を超える多くの方に読んでいただきました。あの記事によって一件でも多く無断キャンセルが減れば嬉しいなと思います。

さて今回も、なかなか飲食店さんからは 正面切ってはなかなかお客さんに言えないことを、飲食店を応援する立場から書きたいと思います。今回のテーマはズバリ「飲食店に対するクチコミ」です。

いまや飲食店選びに、SNSやブログやグルメサイトのクチコミは欠かせないものとなっています。私もお店選びの参考の一つとして活用させてもらっています。

その一方で、飲食店さんにお話をお伺いすると、ネット上の書き込みに対して、事実ではないとか、納得いかないなどの不満をいただくことがしばしばあります。

そこで、今回は「飲食店に対するクチコミ」をテーマに「ネット上における飲食店に対する辛口なクチコミはそのまま鵜呑みにできない点がある」ということをお伝えします。
(クチコミサイトやSNS自体を否定したいわけではございませんので、くれぐれも誤解なきよう)

以下、またちょっと長くなりますよ

ではまず、どうしてネット上における飲食店に対する辛口なクチコミをそのまま鵜呑みにはできないかをご紹介します。

鵜呑みにしないで欲しい理由その1

「悪い店」でなく「自分と合わない店」のケースがある

まず挙げる理由として、結局、店の良し悪しを決めるのは、あくまでその人の主観でしかないことです。

皆さんも知人友人に勧められた店があまり良くなかった経験、またその逆の経験もあるのではないでしょうか。

(ボッタクリのような明らかな悪い店は除いて)お店への判断軸として基本的にあるのは実は「いい店、悪い店」に見えて、「自分に合う店、合わない店」という基準です。

そもそも、万人受けの飲食店など作れるものでしょうか。逆にきちんとした飲食店さんほど、お客さんのターゲット層を明確に絞り、ターゲットにあったコンセプトでお店を運営しているものです。

あなたが好きな賑やかな店は、ワイワイ飲みたい人に楽しめる店だけど、
静かに飲みたい人にとっては【うるさい店】になってしまうかもしれません。

ポーション(一皿の料理の量)が少ないお店はいろんな種類を食べたい女性にはいいけど、
ボリューム重視の男性にとっては【物足りない店】かもしれません。

わかる人にはわかる、素材にこだわり抜いてコストパフォーマンスが売りのお店も、
特にこだわりがない人にとっては【単なる高い店】になってしまうかもしれません。

元気をもらえる活気ある接客がウリのお店も、
落ち着いた接客を好む人からは、ただの【ウザい接客】になってしまう

という具合です。悪いクチコミを書かれたとお話ししてくれる飲食店さんから、よく聞かれるセリフのひとつに

ウチの店のことを悪く書く人ほど、ウチにとってはターゲットでない人のことが多いから、余計悔しいんだよねぇ

というのがあります。

実際、多くの辛口のクチコミは、よく読むと書いた人とお店が合ってないという場合がよくあります。このように多くの料理や接客が悪いと書かれたクチコミは、実のところ、ただその人の好みや目的と、お店が合わなかっただけのケースがあるのです。

もし辛口なクチコミを見たら、書いている人が、まず本当にそのお店のターゲットであるかどうかを確認して読んでいただくといいのではないかと思います。

そして個人的には、

いい店、悪い店といった画一的な評価でなく、ユーザーの趣味嗜好やシチュエーションとお店の特徴のデータを掛け合わせてマッチング率が高い順に検索される「合う店探し」のグルメサイトができれば、ユーザーも店もハッピーなのになと思います。

誰か作ってくれないかなぁ‥

鵜呑みにしないで欲しい理由その2

一度の来店では、その店の評価は難しい

接客がヒドい店だとネットに書き込まれたお店さんから『当日急にスタッフに欠員が出てしまい、なんとかお店を回したのだけど、やっぱりサービスが行き届かなかった。

そのこと自体は申し訳ないんだけど、いつもそういう営業しているかのように書かれたちゃうのは・・・」と聞いたことがあります。

次のコメントを鵜呑みにできない理由は、辛口のクチコミがたった一度の来店の体験で書かれていることが多いからです。

飲食店は生身の人が運営するいわば「生き物」です。気候やお店の人の体調、来店客の客層など様々な要素でお店のクオリティは変化します。

味もサービスも、365日24時間、まったく同じということは難しいです。

もちろん、そのクオリティの波の差を最小限に抑えるのがプロの務めでしょう。ただ、やはり人間がすること、波をゼロにするのは非常にむずかしいことです。

ですから、辛口の書き込みを読むときは、一度の来店で書かれていないか?

またその場合、この店はいつ訪問しても同じように良くない店のはずと決めつけるのではなく、たまたまその日はそうだったかもしれないという前提で読んでみるのもひとつの方法だと思います。

鵜呑みにしないで欲しい理由その3

純粋に「味」を評価するのはホントに難しい

一説には、そもそも、人が美味しいと思う要因に「味覚」が関係するのはわずか20パーセントしかないと言われています。

むしろ、味覚より「見た目」や、「匂い」、「雰囲気」などが大きく作用しているそうです。またその日の「体調」や「心理状況」も大きく影響します。

たとえば、私自身の経験ですが、お気に入りのお店に行った時、たまたまマナーが悪く不快な人が隣に座ったことで、お気に入りのお店のいつも美味しいはずの料理がとても美味しくなく感じてしまったことがあります。

皆さんも、一緒に行った人や隣のお客さん、またはお店のサービスの質によって、同じ店なのに美味しくなったり、美味しくなくなってしまったりした経験はないでしょうか。

またこんな例もあります。自然派食品がいいと言っている人たちに、ファーストフードの料理をそれ風を装って盛り付けし、料理を出したところ、まったく気付かずに自然のものは美味しいと絶賛してしまったそうです。

3つ目の辛口のクチコミを鵜呑みにできない理由は、あらゆる要素を排除して、ただ 純粋に「味」を評価することは、その道のプロでも難しいからです。

気軽に書いた辛口クチコミなのに、飲食店にとっては大ダメージである理由

いままで例を挙げてきたように、飲食店を公平に批評することは、先入観なく客観的な姿勢をもち、かつ特別なスキルを持たない限り、とてもとても難しいことです。

その一方、軽いキモチでネット上に書いた飲食店への「不味かった」「味がイマイチ」「サービスが悪かった」などの批判的な書き込みは、想像以上に、書かれた側の飲食店さんに深刻なダメージと心理的ショックを与えています 。

ひとつは、その辛口クチコミをみて、
本当はそのお店のお客さんとなり、そのお店の常連やファンになったかもしれない未来のお客さんの来店を阻止し、営業を妨害してしまうから。

またもう一つは、「匿名や対応手段のない相手から、一方的に名指しで評価をされる」ことがストレスであるからです。

少し前に話題になった食べログならぬ、「食べられログ」を読んで頂ければ、そのような一方的な評価を受けることになってしまう側の気持ちの疑似体験できるかとおもいます。

ただし、来店者の正直な感想が参考になることも大切な事実としてあります。この辺は非常に判断が難しいところでもあります。

ということで、今回はクチコミを読む際の注意点をまとめさせていただきました。ぜひレビューリテラシーをあげてきちんと書かれたレビューとそうでないレビューを見極める参考となれば幸いです。

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