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政治資金パーティー制度は「廃止」一択でいくべき

1.悪いのは派閥なのか

昨日、自民党が「政治刷新本部」の初会合を開催し、清和研(安倍派)や志帥会(二階派)といった派閥による政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革に関する(平場での)議論が始まりました。

報道によると派閥の解消等について議論があったそうですが、派閥は、「問題」が顕在化するきっかけになっただけであって、「問題」そのものではない、と私は考えています。政治の営みにおいて政治家が徒党を組むのは当たり前ですから、派閥が悪いのではありません。

では、なぜ派閥が不正の温床になり、「問題」が顕在化したのでしょうか。それは、かつて認められていた企業団体から政治家への献金(=寄付)が(リクルート事件や東京佐川急便事件を受けて)平成6年に禁止された(政党への献金は可)からです。困った派閥は、いっきに政治資金パーティー制度の活用に傾いていきました。そして裏金=犯罪に手を染めてしまったのです。

つまり、「問題」は、派閥の存在ではなく、派閥が(企業団体献金の代わりに)活用した「政治資金パーティー制度」であり、その制度に内在する犯罪への強い誘因です。政党から幹事長等への(使途を公開しなくてよい)政策活動費(組織活動費)の扱いや調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開も大事なテーマですが、今回の自民党派閥パーティー裏金事件で露わとなったのは、「政治資金パーティー制度」という深刻な「問題」なのです。

2.政治資金パーティーの何が問題なのか

では、「政治資金パーティー」の何が深刻な問題なのでしょうか。

政治資金パーティーとは、政治資金規正法に規定されているれっきとした「制度」です。

政治資金規正法第八条の二には
(政治資金パーティーとは)
・対価(会費)を徴収して行われる催物で
・当該催物の対価に係る収入の金額からその催物に要する経費の金額を差し引いた残額を政治活動(選挙運動を含む)に関し支出することとされているもの
と定義されています。

催物(=パーティー)の収入から経費を差し引いた残額を政治資金にすることが政治資金パーティーの目的ですから、【収入を増やす】↑ために出来るだけ多くのパーティー券を企業団体に売り捌こうとするし、【経費を減らす】↓ために出来るだけ簡素な催物にしようとします。

もちろん、それが政治資金パーティーの目的ですから当然なのですが、【収入を増やす】↑ために、会場に入り切れない、会場のキャパシティの数倍にもおよぶパーティー券を売り捌いたら、それは単なる寄付(=企業団体献金)であり、それを政党ではない派閥が実行したり、企業団体献金禁止を公言している政党が実行したら、それはアウトと言わざるを得ないでしょう。

また、【経費を減らす】↓ために出来るだけ簡素な催物にしようとする誘因があると書きましたが、その成れの果てが、いわゆる架空のでっちあげパーティーです。催物をやったことにして、実際にはやらない。これにより経費を極小化できます。週刊誌等で報じられている事例の真実性は分かりませんが、少なくとも、そうしたことに手を染めたくなる誘因があることは確かなのです。

つまり、政治資金パーティーには、企業団体献金規制を脱法的に回避したくなる誘因が極めて強く内在しており、収入と支出(経費)の両面で違法行為スレスレのところに成立しているのです。政治資金を集めるという政治資金パーティーの目的に忠実であればあるほど、グレーな行為に手を染めることになるのです。

3.それでも政治資金パーティーを止められない人々

よく政治資金パーティーのパーティー券を個人に売る(個人売り)なら良いじゃないか、という議論があります。維新の関係者によくある議論ですが、改めて考えると、おかしな話です。

個人としての支持者の方々が政治家を応援したいということでカンパをいただくことがあります。私も少なくない方々から浄財のご寄付をいただくことがあります。しかし、個人にとっては、寄付(=個人献金)なら所得税の寄付金控除を受けることが出来ますが、パーティー券は単なる消費なので、控除を受けるとこが出来ません。個人にとって、政治資金パーティーにメリットはない訳です。

他方、企業団体にとっては、20万円まで企業名が公表されない、接待交際費として処理できる、など良いことずくめです。つまり、政治資金パーティーは、そもそも個人支援者のためではなく、政治家と政治家を取り巻く企業群のために催されており、(何らかの理由で)企業団体献金を受けられない政治団体のために催されているのです。

このように考えていくと、「政治資金パーティーを止められない人々」は、大きく3つに大別できそうです。

つまり、

1)裏金をつくりたい犯罪者
2)企業団体献金を受け取れない政治団体
3)企業団体献金を受け取れない政党

の3つです。

2)企業団体献金を受け取れなくなった政治団体の代表例が自民党の派閥であることは既に述べた通りですが、3)企業団体献金を受け取れない政党の代表例が今の日本維新の会ではないのか。

週明けには、党において(政治資金パーティー裏金事件が勃発して以降)初めての平場の議論の場があるようですので、本稿で述べた私の懸念が杞憂であることを祈りつつ、今週末も地元活動に邁進したいと存じます。

足は地元に
  心は国に
    眼は世界に。

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