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「桜って、なんですぐ散っちゃうのさ、by 山部赤人(万葉集)」に思う。

桜は、日本の在来ではなく大陸からの外来種。在来であるのは橘や梅で、その証拠にこれらは万葉集にも多く登場するのに比して桜の歌はあるけれどそれほど多くはないようで。桜が歌のメインテーマにもてはやされるのは古今集くらいから・・・意外と知られていないことです。

その万葉集にはどんな桜が読まれているのか。

あしひきの山桜花日並べて 斯く咲きたらばいと恋ひめやも (山辺赤人)

山の桜が何日も咲き続けるならこんなに恋しいとも思わない。

「だってすぐ、ちっちゃうんだもん!」、ということで古来からパッと咲いてハラハラっと散ってしまう、その有り様で桜は人の心をとらえてきたのですね。

気になって、開花期間の短い花というのを調べたけれど「朝顔」くらいしかでてこないのです。あとはマレーシアのラフレシア。

萎んだり、ポトリと花が落ちたり、花にもいろいろな幕引きがあるのですけれど、確かに、桜の散るさまはこれまたお見事ですね。潔くて。

桜の歌と言えば伊勢物語に出てくる、在原業平の

世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

というのがありますね。散ってしまうことで心穏やかでなくなるくらいって、どんだけ咲いてる時はテンションあがっていたんだー?と笑。

これには、別の人がこう返しています。

散ればこそいとど桜はめでたけれ 憂き世に何か久しかるべき

大人ですね笑。無常の摂理、だからこそ人生は美しく面白い、と私は拡張解釈しています。

桜はバラと同じバラ科の木本。少し調べたら、まあ、あるわあるわ「桜のフレグランス」。私はGUERLAINのcherry blossoms しかコレクションしていないのですが、パッケージで見る限りはどれも少女っぽさや乙女っぽさを打ち出している感じ。花の淡い色合いからなのでしょうか。もちろん、香り自体もジャスミンやバラ、スミレなどに比べると仄かなものなので、そこだけ捉えると確かに、そのようなベクトルになるのかもしれません。

私のイメージは違いますけれど。

桜餅の葉っぱの甘い匂いの要素となっているクマリン、バラとも共通するβフェニルエチルアルコール、これらは桜の香気成分の主要なもののひとつ。

ほぼほぼ、桜のフレグランスには処方されているのではないかな。

コンクリートの路上に散った花弁が敷き詰められて、雨に打たれてへばりついたりもしていたものが、気が付くといつの間にか消えている。

いつもコンクリートの上の花びらの行方が不思議でした。

永遠なんていうものがないから、日々は面白いのですね、きっと。

毎年、それを私に教えてくれる桜の妖精に、ありがとう。

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