荻堂亞男

荻堂亜男はチェリーボーイを卒業した瞬間「腹上死」します。

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愚行の証拠を残しておきます。

    • タイムラインでビューカウントされてしまう件と、そして私事のどうでもいいご報告

      タイムラインにおけるビューカウントのシステムをカイゼンして欲しいという旨のメールをnoteさんに送っておよそ一ヶ月が経ちました。 が、 残念ながらnoteさんからまだ連絡は来ておりません。 連絡は来てないけどカイゼンしてくれたのかもしれないと思って試しにタイムラインに50回入ってみました。下の画像は50回入る前のダッシュボードの記録です。 小さくてすみません。拡大していただきたいのですが、タイムラインに入って一番新しい投稿にあたる「Adan No.31」のところまで適

      • 【連載小説】 Adan #31

        はじめてのアルバイト〈12〉 「もちろん冗談だって分かってたよ!」と僕は聖良ちゃんと正人くんに向かって叫んだ。「君たちの冗談を真に受けるっていう僕なりの冗談だったんだけど、分かりづらかった? こんなの冗談に決まってるじゃないか! レインボー・アフロでエアロビクスウェアをまとって、おまけに紫色のローライダーに冗談ではなく本気で乗っていたら、そいつは変態だよ!」  僕が嘘をついてしまったのは自己防衛を任務とする自嘲部隊の働きによるものと考えられる。嘘をつき、恥の上塗りをする。

        • 【掌編小説】 昼下がりのチャーリー

          少年とブル・テリアのチャーリーはリビングにいる。対峙している。 少年が右手を拳銃の形にして、チャーリーに向ける。 チャーリーはおすわりして、銃口(指先)を見つめている。 少年がチャーリーを撃つ。 チャーリーが倒れる。 死んだふりをする。 少年が人差し指に息を吹きかける。 チャーリーは仰向けになって、白いおなかを見せている。 少年がポケットからドッグスナックを出す。チャーリーに差し出す。 チャーリーが尻尾を振りながら、ドッグスナックを食べる。 少年が立ち去る。銃口か

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        • 【連載小説】Adan
          33本
        • 掌編小説集
          9本
        • Chat Fiction
          13本

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          【連載小説】 Adan #30

          はじめてのアルバイト〈11〉  僕はその場にいることに耐えられなかった。即刻その場から逃げ出したかった。第二宇宙速度(地球脱出速度)で逃げ出したかった。できることなら地球からも、いや、宇宙からも逃げ出したかった。宇宙脱出速度で。構造の外側の構造へ。実存の内側の実存へ。  僕は車をバックさせようと思って、ギア・スティックを掴んだ。けれど、僕はギアをRに入れることもできなかった。正人くんに止められたのだ。彼はギア・スティックのように出来上がっていたソレをズボンの中に押し込むと

          【連載小説】 Adan #30

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          King Crimson - Moonchild

          イヤホンは両耳でお願いします。 “Moonchild”ってタイトルなのに、 “Waiting for the sun on the mountain” “Waiting for a smile from a sun child” といった歌詞をもってきちゃうところ、流石です。

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          【連載小説】 Adan #29

          はじめてのアルバイト〈10〉  荻堂亜男はオフの日でも聖良ちゃんが出勤なら店に出向く——それは、七夕にどれだけ願い事を唱えても叶うのは短冊をつくっている製紙会社の願いだけっていうのと同様の、または、その助言者に先見の明はなくとも「やめておけ!」って助言は的を外さないのと同様の「天則」と言っていい。僕がその日もエアロビクスウェアに身を包んでいたことも、天則と言って差し支えないだろう。  それはそれとして、だ。おかしなことを言うようだが、そもそもその天則ってやつは、我々のため

          【連載小説】 Adan #29

          【連載小説】 Adan #28

          はじめてのアルバイト〈9〉  おじさんに怒鳴られ、しょんぼりして運転席から降りた北斗の姿を見たとき、僕はすかっとした。ローライダーと北斗の仲を嫉妬し、その嫉妬からプレゼントされたストレスは、防音性の低い安アパートに住む騒音に厳しいおじさんのおかげで一気に解消された。おそらく録音・再生できる蓄音機を発明したエジソンも、音痴の人間を黙らせたときはこんな気持ちだったに違いない。 「トンネルを抜けると『食糧のある場所』ではなく、『食糧にされる場所』に出ただけさ、北斗。いわゆる『光

          【連載小説】 Adan #28

          「『普通に』報道してほしい」という言い回しは、ちょっと「ズルい言い方」だったかもしれない。だけど、「普通に」という言葉以外でしっくりくる言葉が思い浮かばないんですよね……。

          「『普通に』報道してほしい」という言い回しは、ちょっと「ズルい言い方」だったかもしれない。だけど、「普通に」という言葉以外でしっくりくる言葉が思い浮かばないんですよね……。

          【連載小説】 Adan #27

          はじめてのアルバイト〈8〉  僕のiPhoneに北斗から遊びの誘いがあったのは、みんながいなくなった駐車場で、ホッピングはできないまでもローライダーの車高を自由自在に操れるようになっていたときだった。僕は北斗と僕の部屋で酒を飲むことになったから、自宅アパートにいる彼をローライダーで拾ってやることにした。前述の北斗の発言は、迎えに来てあげた友だち思いの僕に対してのものである。 「お前のおかげで人類は核戦争を起こすという面倒臭いことをやらずに済むってわけか」と北斗は立て続けに

          【連載小説】 Adan #27

          ボランティア活動をする米軍の「思惑」などというものは我々のほうで考えるから、沖縄で「普通に」起きていることを「普通に」報道してほしいんです。偏らずに。僕が沖縄のマスコミに言いたいのはそれだけです。 ↓海兵隊員がアラハビーチで清掃活動↓ https://www.japan.marines.mil/News/Article/1950826/

          ボランティア活動をする米軍の「思惑」などというものは我々のほうで考えるから、沖縄で「普通に」起きていることを「普通に」報道してほしいんです。偏らずに。僕が沖縄のマスコミに言いたいのはそれだけです。 ↓海兵隊員がアラハビーチで清掃活動↓ https://www.japan.marines.mil/News/Article/1950826/

          【連載小説】 Adan #26

          はじめてのアルバイト〈7〉  僕はこのとき初めて聖良ちゃんのお母さんを間近で見た。聖良ちゃんとは血が繋がっていないのかな、とそんな疑問を抱かせるお母さんだった。僕は聖良ちゃんのお母さんにお辞儀して、「こんばんは!」と大きな声で挨拶した。ところが、お母さんは挨拶を返してくれなかった。  しかし、聖良ちゃんのお母さんは僕のことをずっと見ていた。お母さんは車を発進させてからも顔を前に向けずに、大通りに出るまで、ずっと僕のほうに顔を向けていた。 「聖良は今、荻堂さんよりずっと落

          【連載小説】 Adan #26

          【連載小説】 Adan #25

          はじめてのアルバイト〈6〉  僕はエンジンを切って車から降りた。そして僕はハイドロスイッチをいじくり過ぎて痺れていた右手をいたわりながら、運転席のお母さんと何やら話している聖良ちゃんのもとに駆け寄って、こう言った。 「ローライダーの奴、今日はどうも気が乗らないみたいなんだ。こんな日もあるよね。人間だって飛び跳ねたくない日に飛び跳ねようとは思わないもん。車のくせにわがままだって、僕はそうは思わないね。わがままな自分とは距離を置けって言われているけれど、その距離を置かれたほう

          【連載小説】 Adan #25

          【連載小説】 Adan #24

          はじめてのアルバイト〈5〉  僕は窓を開け、それでは始めます、とみんなにそう告げた。ホッピングの練習はできなかったけど、僕は動揺していなかった。僕はこの新しい友が飛び跳ねる画を、脳内に鮮明に映し出せていた。イメージできていた。だから僕は陽気に口笛で「耳笛《みみぶえ》」というミュージシャンの「鼻笛を吹きながら」という曲を吹きながら、四つあるうちの一番左端のハイドロスイッチをつまんで、それをためらうことなく上にあげたんだ。 「今は独り言なんて呟いてる場合じゃない」と僕は独り言

          【連載小説】 Adan #24

          連載中の小説「Adan」を毎日更新してみます。

          おそらく続かないと思いますが(笑)、ちょっと試しに、連載中の小説「Adan」を毎日更新・投稿してみます。投稿時刻は午前12時、つまり午後0時で、文字数は500〜700文字くらいになると思います。 で、毎日投稿する気でいた「君とセックスと第二次世界大戦」とかいうよく分からない小説(スキをつけてくれた方、ありがとうございます!)は、いつかちゃんとした形でアップできたらなあと思っております。 よろしくお願いします!

          連載中の小説「Adan」を毎日更新してみます。

          2 「どういうつもりなんだい?」と僕は腰を振りながら言った。正常位だ。 「どういうつもりなんだいって、どういうつもり?」と彼女は言った。  股を広げながらする質問じゃないよ、というような言葉を僕が口に出すわけない。そんなことを言えば戦争が始まってしまう。僕は思いのほか冷静だった。

          2 「どういうつもりなんだい?」と僕は腰を振りながら言った。正常位だ。 「どういうつもりなんだいって、どういうつもり?」と彼女は言った。  股を広げながらする質問じゃないよ、というような言葉を僕が口に出すわけない。そんなことを言えば戦争が始まってしまう。僕は思いのほか冷静だった。