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生産性の再定義:オーガニックな生産性

平成が終わり、令和が始まる。日本の平成は昭和の幻想を引きずり過ぎた時代だったんじゃないだろうか。令和の時代の生産性について考えたい。

昭和と平成の生産性

戦後日本は世界に誇る企業を生み出し、成長を続けた。日本型の教育と官民一体となった政策も功を奏した。勤勉さや終身雇用が日本社会を豊かにし、品質の高いものづくり大国として、効率化と高い生産性を誇っていった。ところが右肩上がりの成長と、人口ボーナス、品質の高い商品を作れば売れる時代は、平成には引き継がれなかった。

グローバリゼーションが進み、高度な金融商品と、インターネットが競争のルールを変えてしまった。昭和の延長線にある国内で良いものを作れば売れると考えている企業や国内マーケットを対象とした商品の生産性では、刀で機関銃と勝負してるようなもので、世界を舞台にした企業とは生産性のケタが違い過ぎた。一方、その競争は地球環境を滅ぼしかねない社会問題を次々と生んでしまっている。

多様性とスピードを重視し、国境を越えて世界全体で生産性の高い仕組みをつくり、マーケティングをするグローバルカンパニー。昭和の企業の生産性と、教育や政策は世界では機能しなかった。

令和時代の生産性とは?

ではこのグローバル経済やGAFAを中心に国境のない世界の生産性は、これからも続くのかというと、そんなことはない。もしそんなことになれば本当に地球は滅びてしまう。

これから世界が求めるのは、1つの企業や商品、サービスを越えたもっと有機的(オーガニック)な生産性だと思う。シェアの奪い合いや、ニンジンをぶら下げて機械のように働く組織ではない。

オーガニックな製品で、オーガニックな組織、昭和や平成からすれば一見非効率で、大量生産ができない。けれども、携わる人を幸せにし、地域や地球環境に優しい。サービスをつくるひとも、販売する人も、購入する人も優しい。人間らしく、意味のあることに取り組む。テクノロジーも活用し、有機的に繋がる仕組みをつくる。善意や体温のあるサービスは、伝播するスピードも速く、その広がり方もボトムアップだったり、分散的だったり、計画や予測できるものではない。誰でも参画しやすい余白がある。それが令和時代の生産性ではないだろうか。

地域全体の生産性を考える

例えこれまでの店舗は、大型店舗化やチェーン展開して、効率化を図る。地方に大手スーパーやチェーン店ができ、商店街が寂れてしまう。駅前にマンションやホテルが並び、古民家が空き家になり、田舎から人が減っていく。その競争が拡大すると大都市に吸収され、大型店舗は撤退し地方の駅前には何も残らなくなり、また人も企業もサービスも減っていく。仙台や名古屋や神戸のような政令指定都市ですら、東京への人口流出が進み、人口が減り空き家や空き店舗が増えていく。東京にいるとまだ気づき難いかもしれないが、これは現在進行中の日本である。

一方で、ローカルイノベーターと呼ぶべき若者が地方にUターン、Iターンし、離島や人口減少が進んでいた地域に、若者が増え始めている。彼らは空き家をリノベーションし、有機的に繋がる。オープンな思考で保守的な田舎でも自らの行動を持って、着実に地域を良くし、地域内外からフォロワーを増やしている。彼らの視点は、競争や奪い合いではない。地域全体のことを考えて、1社独占をしない。

例えば宿泊施設も、ホテルやバブル期の旅館とは違って、飲食も温泉もお土産も宴会も何でも機能を揃えない。ゲストハウスや民泊のように最低限の宿泊機能に絞り、商店街や職人、地元の温泉やスナックに人が流れるようにする。このスタイルは、まち全体を一つの宿として捉えた「まちやど」として全国で人気が出始めている。

地域住民や地域で働く人たちのオーガニックな生産性

いま、僕らADDressが大切にしているのは、地域全体の生産性を高める視点です。都市への一極集中ではなく、人口減少時代に地方への移住定住でもなく、都市と地方の人口のシェアリング。都市と地方で、住まいをシェアし、仕事もシェアする。

旅行で消費だけするのではなく、暮らしの中に入り、交流し、体験し、生産する。新しく箱ものをつくるのではなく、空き家や今あるものを活かす。地域の方に家守として入ってもらい、地域とのハブ役を担ってもらう。地域の宿泊施設や交通機関、店舗とも連携していく。いざという時は避難所に、平時でも交流の場になるよう家を開いていく。

ADDressが地方に増えることで、空き家が減り、家守が増え、多拠点で暮らす人が増え、交流する場が生まれ、地方のお店も潤う。僕らは大きな組織を目指さない。オーナーを増やし、当事者を増やし、地域全体の生産性を考える人たちを増やし、繋げていく。そんなオーガニックな生産性が令和時代に広がると素敵だなと思う。

ということでサービス開始から間もなく一か月。ADDressの追加の先行会員をクラウドファンディングで募集しています。どうぞよろしくお願います。


令和元年の初日、5/1の夜にはADDressの説明会も開催します。お時間あればぜひ遊びに来てください。




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