推しの若俳のジェネリックと付き合う人間の一生

iPhoneのメモを遡っていたら知らない人の日記を見つけた。

なんだこれは? 意味がわからなくてめちゃくちゃ怖かったけどなんてことはない、自分が書いたものだった。

一時期「若俳」「ガチコ」「夢厨」などの概念について調べていたことがあった。その界隈でも一際ディープなブログをいくつか見つけ、読んでいるうち自然と書き手たちの思想模写を試みて書きはじめ、途中で疲れて放置していたものがこれだった。

存在しない他人になりきって書いたものではあるものの、自分が書いたという気が一切、本当に一切しないのが今たまらなく薄気味悪いというか、とんでもない心地がしていて、自分一人で抱えたくないので人目につくところに置いて希釈したい。

至って趣味が悪いし、何かを目指して書かれたものでもないし、完結すらしておらず唐突に終わるが、誰かにとってのエンターテイメントになっていたら報われるかもしれない。わたしではないこの日記の書き手が。


以下本編
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婚活を通して学んだ中で一番大きなことは、私が主義主張に一貫性のない、もはやオタクですらないミーハー崩れのただの陰キャラだったということだ。

私がもっと気合いの入ったオタクだったならこんなブログでも意外と読んでくれる人がいること、更新を待ってくれる人がいることを素直に喜んだり光栄に思ったりできるのかもしれないが、自分がオタクにすらなりきれない薄汚いミーハー崩れの夢豚もどきだということを知った今、世間様に対して「合わせる顔がない」という感想以外に何もない。


婚活を始めて8か月、2人の男性とお付き合いすることができた。
1人目はTinderで知り合った吉沢亮似の19歳の国立大生。
今年29歳になる私は10歳下の未成年に手を出した犯罪者だけど、好きな俳優と同じ系統の顔面を持つ若い男とひとつの春の始まりから終わりまでの期間を丸ごと一緒にいられたことを一生の思い出として今後とも大切に胸の奥にしまっておくつもりだ。

しかしこんなことを言っては元も子もないけど、やっぱりどこまでいっても出会い系アプリを使っている男なんて所詮出会い系アプリを使っている程度の男なのだ。
私は学歴コンプの鬼なので基本的に自分より偏差値の高い相手のことは無条件で尊敬しているのだけど、それを差し引いてもやっぱり未成年らしいガキっぽさと猿みたいな性欲に引いてしまい彼と夏まで一緒にいるのは耐えられなかった。


そして、吉沢亮のジェネリックとのお別れから約2ヶ月のインターバルを経て、昨日から高橋一生のジェネリックと付き合っている。
私は我ながら不思議に思った。
「高橋一生でもいいんだな」と思ったのだ。
今までは若手俳優のジェネリックとばかり付き合ってきた。でも今回は若手でもなければ売れかけているわけでもない。テレビに出始めたのはここ最近だが、もう決して若いとは言えない年頃で、今後事務所の先輩の曲を同世代の俳優と一緒にシナを作りながら歌って踊ったりしなくても仕事が来るであろう、ファンからの差し入れなんてなくても生きていけるであろう、確固たる芸能人だ。

なんで好きになったんだろう?
そこで振り返ると、なんてことはない、私はそもそも若手俳優オタクでもなんでもない、単に流行りの顔が好きなだけのミーハーだったのだ。


私のアイデンティティが決定づけられた中3の始業式、愛知県内でも上位の進学校に受かって2年通った私のプライドは大した音も立てさせてもらえずあっけなく崩れた。
クラス分けの一覧表を貼り出すためにホワイトボードに吸い付くマグネットのべたっ、べたっという低い音2つ、たったそれだけだった。

私の名前は「2類」という大見出しの下にあった。
すごい言い方をするものだと思った。いわゆる特進クラスが1類、それ以外が2類だ。
「2番手の類いの奴ら」と切って捨てられた私たちには、禁止とまでは言わないまでも5教科での大学受験は「考えるな」と申しつけられた。
国公立は望み薄な生徒を3教科に専念させ、難関私立に軟着陸させたい学校の方針だった。人生のレールをかなり食い気味に敷かれた訳だ。

そんな挫折の季節に私が付き合っていたのはサッカー部のツートップの片方だった。
好きになってからそれ以外の男が男に見えなくなって、わかりやすいアピールの末に彼氏彼女の関係になった。最高だった。めっちゃハブにされたけど。

でも彼がいたからほとんど気にしてなかったし、守ってくれる人気者の彼氏がいることに優越感すら感じていたと思う。
女子の1軍の女王がいつも腰に巻いていたスティッチの膝掛けを誰も見ていないところでめちゃくちゃに踏みつけてやったことがって、それで気が済んですべてを許してしまった。
対して跡も残らなかったので気がついていないだろうけど別によかった。あいつに評価されるために踏んだわけじゃないし。
ともあれ一筋縄ではない青春だったけど、少なくとも恋愛弱者ではなかった。


夢厨は腐女子ほど自尊心が低くない、卑屈ぶってるけど心のどこかで自分は恋愛市場で充分戦っていけると思っている、というのは私が大学一回生のときの新歓コンパで上下ともPOU DOU DOUを着た小太りの同期の女から言われた、私が軽音サークルで孤立するきっかけになった一言だが、全員がそうとは思わないものの、私に限って言えばまったく反論の余地がないと今でも思っている。 POU DOU DOU小太り女は正しい。だから彼女のことを恨んだことはない。

私もPOU DOU DOU小太り女もネットスラングを声に出してニヤニヤ笑っているようなユーモアの墓場みたいなセンスの最低な人種だったが、彼女の選民意識はある意味で間違いなく美しかった。終わっているのだが美しくはあると思う。共感もできる。

ガールズバーでバイトしていた頃も決定的に何かが欠けている自覚がつきまとって、それが何なのかすら私にはまだ判然とわからない。
何かしらの障害を疑ったこともあるのだが自意識が邪魔をしているのとなんだかんだ切り抜けてこられているので診断にはまだ

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ヒラギノ游ゴ

平成生まれのライター
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