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文系のための超基礎医薬講座1「血液はどうして固まるの?」

こんにちは、くらです。

文系出身でMR(医薬情報担当者)や医療翻訳を目指す人のために、医薬の超基礎をお話していきます。

私は、ある外資系製薬企業で、MR教育を約25年担当してきました。その中には、文系出身者も多くいました。
そこでの経験を、これから医療関連の仕事を目指す方々のためにお伝えしたいと思います。

といっても、目指している人はかなり勉強されていると思いますので、私が新人MR教育で、これは基礎中の基礎だけど、なかなか知る機会がないことだなと思ったことを紹介していきたいと思います。

今回はその1、「血液はどうして固まるの?」です。

血小板


勉強されている方はもご存知の通り、血液は血管の外に出ると固まります。
出血が自然に止まるのは、血液中の血小板と凝固因子のお陰です。
ここら辺はMRの教科書にも載っていると思います。
では、どうやって血小板が出血をとめるのか?

血小板の活性化

血小板は骨髄の幹細胞から生まれ、循環血液中を回ります。
血管が破れているところに触れると、形状を変化させます。
見た目すべすべからギザギザに変わる。

IllustACより引用

一次血栓

これは、破れた血管のところに、普段血液中には現れないコラーゲンが出現し、これに血小板が触れると触手を伸ばして、ギザギザに変化するのです。
このギザギザの触手同士が手をつなぐように結合して、血小板が凝集し、一次血栓として破れた血管を塞ぎます。

IllustACより引用

これはまだ弱い血栓で、物理的な刺激で簡単に壊れます。
血液検査で針を刺したところから、止血が不十分で出血し、気づいたらシャツに血がついていた、という経験のある方もいらっしゃると思います。
これは、まだ血小板の一次血栓の段階で、シャツを着て傷口をこすってしまい、血小板血栓がはがれたのです。

二次血栓

血液検査で針を抜いてから、5分間押さえてください、と言われると思います。
これはなぜか?

先ほどの血小板血栓が形成されると、同時に周辺の血液中にある凝固因子が活性化(ほかの因子と反応)します。
そして、この活性化は、基本的に、活性化した血小板の表面でしか反応しないのです。
活性化した(ギザギザになった)血小板の表面には、リン脂質という物質が出てきます。
凝固因子は、このリン脂質と反応しながら、ほかの凝固因子を活性化し、最終的に、血小板血栓の周りにフィブリンを作ります。
この段階を二次血栓といい、ここまで来て、止血は終了します。

人体の正常構造と機能 第4版 p.497より引用

この止血の機序を知っていれば、色々な病態も理解できます。

病態

ITP(Idiopathic thrombocytopenic purpura:特発性血小板減少性紫斑病)という病気は、血小板に対する自己抗体が出来て、血小板が減ることにより、出血が起こります。
血友病(Haemophilia)は、血液凝固因子のⅧ(血友病A)とⅨ(血友病B)が生まれつき作れなくて出血します。

止血の基本が分かれば、血栓止血の病態と、その治療法も理解できるのです。

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