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[雑記]8月31日の夜に


夏が終わる

夏が終わるとどうなる?

知らんのか

業務スーパー高円寺店が改装工事に入る





本当にどうしよう。
おれの目当てはいつも2kgで699円+税のブラジル産冷凍鶏もも肉だった。グラム換算で40円を切るという圧倒的な安さ。解凍の段階でかなりの量の血が抜けるので実際は2kg以下の肉の量しかないとは思っているがそれを加味したとて西友の鶏肉よりも安いことは明白。これをまるごと解凍し、デカい一枚肉を半分から三等分に切り分けてだいたい200g弱ずつビニール袋に入れて再度冷凍している。

メシのときにはこれを野菜とかもレンチンできる容器に入れて加熱し、どんぶりにご飯をよそってその上に袋ラーメンwith卵と共に投入して食うという、炭水化物とタンパク質しか摂れない最強の食べ物を毎日食べている。有職の頃は家の自炊はほぼ毎回これで、無職になってからは本当に毎日食べている。毎日違うものを食べたほうが人間的にもいいのではみたいなことを考えて派手に飽きている時もあったが、ついこの間Twitterかなんかで「外国の人、毎日同じもの食べがち」「てか冷静に考えて毎日違うもの食べる必要なし」みたいな説を見て以来、完全に毎日食べてても飽きるとかがなくなったので、今までのこれは別に気分だけの問題だったと感じた。ふつうに肉もラーメンもマズいわけがないので毎日うまいうまいと思いながら食っている。
そんな毎日の食事の供給源が絶たれようとしている。それが2019/08/31だ。


閉店前日の8月30日、本来なら冷凍庫の鶏肉が全てなくなってから買い出しに行っていたのだが、ここで買い込まなかったら破滅が待つことは明白なので追加で買いに来ていた。冷静に考えて最終日は棚ガラガラになることが予想していたのでその前日に来た。これは遊びじゃない、本当に切実な祈りなんだ。

案の定店の棚はガラガラで、賞味期限に余裕があり他店に回せるであろう調味料などから順に既に移送された後だった。店内に残るのは賞味期限が近くて移動のできない精肉、もやし、セールの缶ドリンク、それから客が一番求めているであろう、エリア最安値の鶏肉。

そう、鶏肉は残されていた。何もかもがなくなった冷凍食品のケースの中、食品と食品を仕切る網を店員がドライバーを使って外している間も、ブラジル産鶏もも肉は店に残されていた。祈りは通じた。店側が売れ筋商品であることを理解しているとしても奇跡のような出来事だった。本当にありがたい……胸に熱いものが込み上げていた。この奇跡に応えるべく、普段2袋で4kg買うところを3袋、6kg分の鶏肉を抱え、おれはレジへと向かった……。

思えば定期が使えた頃は新高円寺駅で降りて、わざわざJR高円寺駅近くの業務スーパーまで移動してこの鶏肉を買っていた。雨の日も雪の日も買った。定期がなくなってからは電車賃を浮かせるために荻窪の自宅から歩いて買いに行っていた。ミリオン6thの帰り道でお気に入りのリュックのチャック部分がぶっ壊れてからは肩掛けのバッグで買いに行って、復路の行程だけで肩をバッキバキに痛めていた。それほどまでに安い。向かう途中、阿佐ヶ谷の100円ローソンで甘い飲み物を買ってグビグビ飲んでいたとしてもなお安い。行き帰りにミリオンを予習したりRoseliaを予習したり落語を聴いたり、かなことさららの録音分を聴いて有象無象の貴様ら扱いされたりしながら店までの道を何度も往復した。
そんな日々が今日終わる。



ありがとう業務スーパー高円寺店。
これからどこで何を買い何で生きていくかは、冷凍庫の鶏肉が全部なくなってから考えます。

(おわりです)

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