書評:『子どもの教育』(アルフレッド・アドラー)

『子どもの教育』(アルフレッド・アドラー)
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『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』の岸見一郎さんが翻訳をされているアドラーの1930年に原著のある本です。題名通り、子どもの教育について書かれています。

アドラーがアドラー心理学(正確に言うと個人心理学)を作ったのは、第一次世界大戦で荒廃したオーストリアの子どもを救うためだそうです。なので、目的に一番近いのは、実は、子どもの教育です。

私は、アドラー心理学の本(正確に言うと個人心理学の本)の中で一番好きな著作はこの本です。中身もよくわかるし、本質をついている気がするからです。

人の行動等は物理のように因数分解できない。全体でみないと分からない(分割できないと言う意味での"Indivisual")。分割できない全体と言うのは、子どもの目的である。

例えば、「親の注目を得たい」などであって、行動はその目的を達する為の枝葉である。そして、しばしば子どもはその目的を自ら理解していない。病的な行動を根本的に直すには、子ども自らの目的を良い方向に替える必要がある。変更先は、「共同体感覚」であり、例えば、「家族みんなで何かを成し遂げる、そのための貢献を自ら楽しく思う気持ち」であるということだそうです。

また、補償というのも面白くて、人は優越性の追求をする。なので、劣等感を持つ事があり、これが心にあると、劣等している(と思い込んでいる)部分がありながら相手より優越する為に何かの「補償」を求める、ということです。例えば、「人と上手く話せるべきなのに、上手く話せない」という劣等感がある場合に、「人と話さない手段」として、「家を出るのが怖い」を思いつき、人に会わない事で上手く話せない自分を補おうとする、ということであったり、「本当は親に褒めて欲しいのだけれど、褒めてもらえないのでわざと悪い事をして注目を得る」というのが補償です。

この本を読んで分かるのは、「子どもの本当の気持ち」なのではないかと私は思います。アドラー心理学を「子どもの教育」という視点で見たとき、それは、「子どもの本当の気持ち」を理解し、正しい方向に指導する為の技術・方法論であると私は、思います。

岸見一郎さんに私が興味を持つようになったのは、岸見さんが子育てを通じてアドラー心理学に出会ったからで、接点が私と同じであるからです。そして、子育てとアドラー心理学の理解の相性が良いのは、「アドラー心理学は人と人との関係が心理の全てだと言う。よって、具体の人間関係のフィードバックがないとアドラー心理学は理解できない。子育て中の親には、幸いにも子どもと言う避けられない人間関係がある。だから、理解が容易である」と思いました。

この本を読むのは二度目ですが、私のおすすめのアドラー心理学の本であります。

『子どもの教育』(アルフレッド・アドラー)



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