映画評:『ビリギャル』

WOWOWで放送されていたので、映画の『ビリギャル』を見ました。意外だったのですが、とても面白く、また、子育ての参考になると思ったので、記事を書く事にしました。

偏差値が上がって慶応義塾大学に入るのが強調されていたので、「私はそういう受験がゴールのような子育てをしたくない」「入った後が、その子の本当の人生なんだけれど、その子は慶應を楽しめているのか、心配」という意味で、ビリギャル本を敬遠していましたが、映画を見てみると、この話の主題はそういうことではないことが分かりました。『ビリギャル』は、子どもの物語ではなくて、頑張る元気な女の子が、両親を変える物語なんです。

長男に自らの期待をかけ、全てを命令でやらせる父親。男尊女卑で、娘二人には目もくれず、放っておかれる娘が有村架純演じる主人公。母親は、娘を信じて、ずーと自由にさせた結果、学力の低い高校で遊びほうけることになる主人公。ふとしたことで、塾に行く事になり、訳も分からず慶應を目指す。そして、頑張る。頑張る。頑張る。その姿を見て、学力の低い友達達も応援する。母親はひたすら娘を応援し、塾の費用をバイトを頑張り用立てる。最後には、父親にも変化が。

『ビリギャル』という本は、偏差値がどうこうと書かれると、慶応義塾大学の品格を汚すように見えますが、実は、この「ビリギャル」こそ、慶應義塾の求める人材像に近いと思います。福澤諭吉先生も、今で言う中学生まで勉強をせず、そこから勉強して、蘭学を学び、英語に転向し、世界の書物を学んで、慶応義塾を作った訳で、若い頃は全く勉強してません。父親は漢学者ですが、その父は、福澤先生に勉強を強要しません。むしろ、「算盤なんかやらせるな」といって、勉強させません。若い頃は、体育中心です。『福翁自伝』を読む限り、もはや武勇伝であり、やりたい放題です。でも、やらされていないから、最後勉強にのめり込み、大学まで作ってしまう、という人生です。

そういう背景を知っていると、親が子どもを信じて、子どもにやる気が生まれるまで気長に待って、そして、子どもが自らの意思で必死に勉強をし、大学に入るという話は、いかにも福澤先生的であり、慶應義塾的であると私は思います。慶応義塾にとって、良いプロモーションになる作品だと思いました。

(主人公が有村架純で、私の好みであると言うのもありますが、)
私は劇中、主人公を「頑張れっ」と応援してました。泣けました。

「ここまで子どもを応援できる映画もなかなか無かった」と思います。子育て中のパパ・ママさんにおすすめです。また、幼稚舎に子どもを入れたい親御さんにも良いのではないでしょうか(私は、本は読んでいませんが、タイトルを見る限り、本より映画が良い気がします)。

最後に、ビリギャルさんにおかれましては、くれぐれも慶応義塾大学での生活を満喫して楽しまれたことをお祈りしつつ、筆を置こうと思います。

映画:『ビリギャル』
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