番組評:ニルスのふしぎな旅

我が家でもWOWOWに加入しているので(パパさんのスペインサッカーが主目的です)、昔の子供のアニメを見ることがあります。その一つが、この『ニルスのふしぎな旅』です。再放送でやっています。

子供の頃にという意味では、パパさんは見たことがないのですが、ママさんが見たことがあるらしく、ママさんのオススメで見せています。が、ママさんとパパさんで意見の分かれる作品であるので、取り上げてみようと思います。

ニルスといういたずらいっぱいの少年がいます。父親のいうことも、母親のいうことも聞かず、家の家畜も虐待して、小人の妖精さえもいじめるので、魔法をかけられて小さくされます。家の家畜との関係は逆転して、渡り鳥の群れとともに旅にでることになる、という話です。

まあ、昭和の作品なので、色々と絵作りが古いなどはおいておくとして、典型的な子供向けのアニメーションなのですが、アドラー心理学を信奉するパパさんとしては、残念ながら、このアニメーションはおすすめではありません。

というのは、このキリスト教的で、勧善懲悪的なストーリー構成と、キャラクターの設定にあります。

いたずら好きのニルスは良いところも悪いところもあり、ドラえもんでいうとのび太くんとジャイアンの合成のようなものなので、これは良しとしましょう。小人にされる一節でも、家畜の虐待は論外としても、「子供は親と一緒に日曜日に教会にいかねばならない」という親の思い込みと強制を拒否するところはまあ理解もできます。しかし、この親は、良い親ではないと思いますが、よくある親ではあるのでしょう。

しかし、悪役として出てくる「はらぺこキツネ」。これはどうにも解せません。完全なる悪役なんです。はらぺこキツネは、ニルスをいつも襲ってくるのですが、間抜けでいつもとり逃します。知的能力も低く、意地悪で性格も悪く、いつもはらぺこ、という設定です。そもそも、家畜を襲うキツネが悪役で、家畜はヒーロー側というのもなんとも人間の自分勝手な設定です。

野生のキツネとすれば、生きるために狩をしているだけなのに、鳥や家畜は良い方で、キツネやカラスは悪役に描かれています。こういう絶対的な善悪の二元論が戦争の原因なので、これは子供の教育によくないと思います。

これを見たら、長男次男ともに、キツネを馬鹿にするようになってしまい、キツネに悪いイメージがついたようで、それを親が訂正してやらねばなりません。だいたい、人間がそういう扱いをするので、狼は絶滅してしまったのです。そして、キツネは、家畜を襲うという人間の勝手な理由によってのみ、悪役にされて数が減ってしまいます。キツネの保護という意味でも、このアニメーションはよろしくないと思います。

まあ、原作が古く、完全な昭和なアニメーションなので、時代設定があまりあっていないというのはありつつも、キリスト教的な人間の自分勝手な設定のストーリーには辟易するところがあります。かなりのバイアスがかかっており、人間に役立つものが善、特に大人に有益なものが善、大人に害があるものは悪、イエスキリストに近いものが善、それを邪魔するものが悪として描かれるストーリーは、明らかな害悪であると言えましょう。一見、教育に良さそうな立て付けをしているだけに、害が大きい。

戦争や争いは、お互いが自分を善と思い込んで起きるものだというのが、基本的なアドラー心理学の設定だと思うので、この仮定からすると、このアニメーションはいただけません。

昭和という時代には成り立ったのかもしれませんが、平成から年号が変わるこの21世紀の時代には、大人が懐かしんで見るとか、以外の用途には使わずに、子供向けのアニメーションとしては、お蔵入りにしてほしいものです。

という意味で、アドラー心理学を信奉するパパさんとしては、子供に見せるアニメーションとしての『ニルスのふしぎな旅』はお勧めしません。


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四谷三次郎

アドラー心理学と子育てと私

パパが子育てにて、アドラー心理学の実践しています。 といいつつ、最近、ただの子煩悩日記になっています。 長男、次男の男兄弟で、三歳差です。
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