書評:『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二)

アドラー心理学ではないのですが、私が中身が実は似ているのではないかと思っている池谷裕二さんの脳科学の本です(正確に言うと、アドラー心理学は科学上の位置づけは、仮説に過ぎないと私は思っています。近年、脳科学の発達や、心理学の正確性が上がる事により、アドラーの心理学の仮説が正しい事が間接的に証明されつつあると思っているという意味です)。池谷さんは、脳科学の一流の研究者です。

この本は、新しい本ではないのですが、脳科学の全体像が分かりやすくまとまっていると私は思います。私が読んだ池谷裕二さんの本では一番おすすめの一冊です。

脳科学者である池谷裕二さんが、母校の高校で高校生に脳科学を教えた一冊で、脳みそがどういうしくみになっていて、それ故にどのような特徴があるのかを分かりやすく、平易な言葉で説明しています。脳みそのうまい使い方なども教えてくれている気がします。

最近、Deep Learningなどの人工知能での解明も進んでいますが、脳みそのメカニズムは単純。でも、私は複雑というのは本質を言い得ているように私は思います。

「脳みその処理のほとんどは無意識なので、その無意識系をうまく使うと良い」とか、「ひらめきと直感は違う」などが、科学論文ベースでしっかりと書かれているけど、高校生に分かるレベルに噛み砕かれて説明されています。なんか、幼児を公文式にいれてひらがなとか覚えさせるより、公園で遊ばせて、遊具でつまづかないようにする方が、子どもの脳の発達には良さそうだなという気がしてきました。

これを読んで、私は、次の3点を行動に活かしていこうと決めました。

1:「睡眠時間はちゃんと取る」
(=脳みそは寝ている時に情報を処理しているらしく、寝ないと身に付かない)

2:「論理じゃない部分の脳を使い、直感を活用して効率的にやる」
(=脳みそは超パラレル処理で、認知的なところではなく、否認知的な情報処理が無意識にやられている部分の処理量が多い。これは、論理では説明できないが、直感としてでてくる)

3:「でも、直感に頼っては行けない錯覚が生じがちのところをしっかり意識して勘違いしないようにしよう」
(=脳みそは結構錯覚が多い。認知バイアスなどを正しく理解して、判断を間違えないように意識していく事は重要)

子どもの教育に際しては、「子どもに睡眠をしっかりとらせる」「幼児の頃はお勉強の優先度は下げて、外で子ども同士で十分遊ばせる」「親が錯覚を理解し、認知バイアスを避けて子どもに接する」というのを意識していこうと思っております。

『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二) 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?