書評:『叱らない子育て』

私が敬愛する岸見一郎さんの新刊が出ました。その名も『叱らない子育て』

私としては、前作の『子育てのためのアドラー心理学入門』を読んでいたので、内容的には特に新しいところは無く、1時間ほどで本を読んでしまい、
「良くまとまっているけれども、同じ内容を何冊も買う必要は無い。けれども、これから、人に薦めるなら分かりやすいからこの1冊にしよう」
という感想を持ちました。

「叱っちゃだめよ」「褒めてもだめよ」というおなじみの内容は私としてはなんら抵抗がありませんでした。

「勇気づけ」については、一つ発見がありました。

私が、子育てをしていていつも難しいのは「子供を勇気づける」ことです。
この点について、新たな発見があったのです。以下の事例がそうです(岸見さん、本のネタバレでしたらごめんなさい。皆様、興味を持ったら本を買うなり借りるなりしてみてください)

岸見一郎さんは、ミルクをこぼしてしまった子供を例に出しておられますが、「それみたことか」とミルクをこぼした子供を怒鳴り散らすのはまったくの効果がない。

なので、
(1)原状回復させる
(2)正しい方法を教える

の二つが正解だそうです。具体的には、ミルクをこぼしたのであれば、ふきんかぞうきんを渡して子供にふかせるという「原状回復」をさせたあとに、
「どうすれば、次はこぼさないんだろうね?」と話し合ってみる。で、正しい方法、例えば、「両手でコップを持つ」などがあれば、それを教える、ということです。

良くやってしまいがちなのは、
「あー、xxちゃん、だから言ったじゃないの。気をつけてミルクはのみなさいって言ったでしょ。いつも言ってるよねー、ミルクはこぼさないって。もう。いつも集中力がないからいけないのよ。ほら、よそ見なんかしていないで、ミルクを飲む時は飲む。こぼさない飲みなさい、もう、3歳なんだから」
(と言いながら、ママが牛乳を布巾で拭く)

というパターンではないでしょうか
(うちのママはアドレリアンじゃないので、こんな会話です)。

原状回復を子供にやらせてみるとできるし、「解決方法を子供に聞くと知っていることも多い」と私は思います。

そして、私が、大事だと思うのは「子供に正しい方法を教える」ことです。
教えた方法を強制するのではなくて、

パパ:「あー、ミルクこぼれちゃったね。ふきんでふこうね」
   「はい。あー、ふけたね。」
   「長男君、どうすれば、ミルクはこぼれないと思う」
長男:「わかんない。気をつけてたんだけど・・・」
パパ:「きっとね、長男君はまだ手が小さいから、両手でコップを持っていたらミルクはこぼれにくいとパパは思うよ」
長男:「わかった。両手でのむ」

のような形になると、理想だと私は思っています。

ありがちな間違いとしては、起きてしまった過去の原因をネチネチ聞いたあげく、「だからいわんこっちゃない」と、ここぞとばかりに子供のした失敗を強調して、責め立てること。「子供の行為が如何に間違っていて駄目なのかをクドクドと説明する」というやつは(典型的な嫌な説教ですが)、アドラー心理学によると、子供の成長には役に立たないようです。

子供に必要なのは、正しい方法に関する知識であり、もっと言うと、知識を与えることでもなく、正しい方法を自ら見つけたり考えたりして身につける能力をつけてやることだと思います。だから、ダメな理由をくどくど言ったところで、解決せず、意味が無い。難しい課題でウダウダ原因分析を言うのであればまだしも「ミルクをこぼす」という簡単な課題であれば、解決策を教えることは容易で、子供の代わりに親が原因を分析するより有益でしょう。であるから、親が原因ばかりを子供に言うのは、親の意思の問題であって、親の能力の問題とは言いがたい。全ては親の心がけ次第だと思うので、私は、解決策を教えるというところはしっかりやろうと思います。

(「勇気づけ」を単純化しすぎるのも良くないかもしれませんが、)まずは、「子供に原状回復をさせ、正しい方法を話し合う」のは良い行動指針になると思うので、私はこれをやっていこうと思います。

なぜダメなのかを子供に解説しても意味が無いと思うので、正しい方法、例えば、ドアをばたんと閉めるのであれば「ドアをばたんと閉めないっ!(怒)」と怒鳴るのではなく、「ドアをゆっくりしめてくれませんか?」とお願いをし、子供が部屋の中を走り回るのであれば「部屋の中を走り回らない!(怒)」ではなくて、「部屋の中では歩いてくれませんか?」と言うように心がけています。

最近、少しは実践できるようになってきました。


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